周星馳(チャウ・シンチー)監督の最新作『カンフー・サッカー』が公開からわずか4日で興行収入7億元(約140億円)を突破し、大きな話題となっています。特に注目を集めているのが、主演女優の张小斐(チャン・シャオフェイ)氏の出演契約。一見「ノーギャラ出演」と報じられましたが、その裏には、固定ギャラを放棄し、興行収入に応じた成果報酬型契約を結ぶという、したたかなビジネス戦略がありました。この大胆な選択が、彼女を中国映画史上初となる「主演作累計興行収入100億元(約2000億円)超えの85後女優」へと押し上げ、大きな成功を収めているのです。本記事では、この画期的な契約モデルと、その背景にある中国エンタメ界の新たな潮流に迫ります。
「ノーギャラ」の真相:リスクを負い、成果を分かち合う新契約モデル
ネット上で話題となったチャン・シャオフェイ氏の「ノーギャラ出演」ですが、複数の業界関係者への取材から、実際には無報酬ではなかったことが判明しています。彼女は自ら、通常の固定ギャラを全額放棄し、製作側と「興行収入に応じた段階的な純利益分配契約」を締結していました。これにより、個人の収入が映画の市場成績に完全に連動する、まさに「俳優とプロジェクトがリスクとリターンを共有する」新しい協力モデルが実現したのです。
本作の総投資額は3.8億元(約76億円)。国内の映画館収益分配ルールに基づくと、製作費を回収するには興行収入11.4億元(約228億円)が必要と試算されています。もし最終的な興行収入が30億元(約600億円)に達した場合、製作側の純利益は約7.9億元(約158億円)になる見込みです。この段階的な分配契約により、チャン・シャオフェイ氏の最終的な収入は、一般的なトップ女優の固定ギャラを大幅に上回るものになることが予想されています。過去にもこのような分配モデルの事例はありましたが、安定した報酬を放棄し、作品の口コミと興行成績にすべてを賭けるトップ女優は極めて稀だと言えるでしょう。
成功の舞台裏:チャウ・シンチー作品への並々ならぬ情熱と努力
チャン・シャオフェイ氏が周星馳監督の大作への出演を勝ち取るためには、並々ならぬ時間と経済的な犠牲を払いました。彼女は半年間、集中的なトレーニング期間を確保するために、年間全ての商業活動に加え、総額2000万元(約4億円)を超える2本のドラマ出演オファーを辞退。さらに、自己負担で200万元(約4000万円)の違約金まで支払っています。
役作りにおいても、彼女は安楽なゾーンを完全に打ち破りました。長髪を切り落とし、撮影中は常にすっぴんで登場。半年にわたる専門的な運動トレーニングを継続し、体脂肪率を24%から16%まで落としました。高強度のトレーニング期間中には、7足ものプロ用スパイクをすり減らしたとのこと。全てのアクションシーンもスタントマンを使わず、自らこなす徹底ぶりでした。
映画の企画段階では、投資側が人気流量女優への変更を検討する騒動もありましたが、周星馳監督は彼女を引き留めるため、2ヶ月間撮影を中断してまで説得にあたったといいます。劇中関係者によると、他の候補女優たちは髪を切ることや長期の閉鎖訓練といった厳しい条件に躊躇し、様々な追加契約を求めたのに対し、チャン・シャオフェイ氏は一切の交渉なく、全ての撮影要求を受け入れ、積極的に訓練契約を結んだといいます。その演技への純粋な姿勢が監督を感動させ、最終的に主演の座を射止めたのです。
キャリアの飛躍:短期的な利益を捨て、長期的な価値を追求
『こんにちは、私のお母さん』で国民的な温かいイメージと金鶏奨最優秀主演女優賞という栄誉を手にしたチャン・シャオフェイ氏にとって、今回の『カンフー・サッカー』における「闘うアクションヒロイン」という役柄は、彼女のキャリアにおいて決定的なターニングポイントとなりました。業界の批評家たちは、周星馳監督のトップレベルの作品が、彼女を実力派アクション女優として完全に再定義し、アクションやサスペンスといった多様なジャンルへの道を切り開くと分析しています。これは、商業的な評価と映画作品の選択権を長期的に向上させる上で非常に重要です。
数千万元規模の安定収入を短期的に放棄し、稀有なトップ監督との協業機会と画期的な役柄を得た彼女の選択は、業界全体から「長期的視点に優れ、着実に利益を上げる賢明な選択」と高く評価されています。現在のところ、『カンフー・サッカー』の興行収入は引き続き好調を維持しており、チャン・シャオフェイ氏の出演作品累計興行収入は110億元(約2200億円)を突破し、「85後女優の興行収入ランキング」で首位を確固たるものにしています。この一見リスクに見える大胆な挑戦は、短期的な利益に囚われず、専門性を追求し、長期的な個人の演技者としての価値を高める模範例として、業界内外から注目されています。
元記事: gamersky
Photo by Malcolm Hill on Pexels












