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トム・ホランドが火付け役!中国アパレル「Semir」が上海で巻き起こした奇跡

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スパイダーマン役で知られる人気俳優トム・ホランドが、中国・上海の街を歩く姿がキャッチされ、その手に持っていたあるショッピングバッグが中国全土で大きな話題となりました。写っていたのは、中国の老舗アパレルブランド「森馬(Semir)」のもの。この予期せぬハプニングが引き金となり、一晩にして「Semir」の売上が急増、SNSでは関連ワードがトレンド入りするなど、一大フィーバーが巻き起こったのです。

スパイダーマン俳優、まさかの中国老舗ブランドを着用!

トム・ホランドは新作映画のプロモーションのため、7月23日に上海を訪れました。この日、上海の中心部では最高気温37度を超える猛暑に見舞われ、市当局からは高温オレンジ警報が発令されるほど。あまりの暑さに、トム・ホランドは街歩きの途中で、あるアパレル店舗に立ち寄ります。そこで購入したのは、なんと「Semir」のデニムショートパンツ。定価239元(割引後159元、日本円で約3,000円強)のそれをその場で履き替え、さらにそのショッピングバッグを手にして歩く姿が通行人に撮影されました。驚くべきは、彼が同時にプラダ(Prada)の靴とアクネ ストゥディオズ(Acne Studios)のシャツを着用していたこと。高級ブランドとローカルブランドの異色の組み合わせが、SNSで瞬く間に拡散され、この老舗ブランドが一夜にして世間の注目を集めることとなりました。

老舗アパレル「Semir」の光速マーケティング戦略

トム・ホランドの写真がネット上で拡散されると、「Semir」は驚くほど迅速な対応を見せました。ブランドの公式アカウントはすぐに「上海、ありがとう」と感謝の意を表明し、オンラインショップの商品リンクには即座に「トム・ホランド同型」というキャッチフレーズが追加されました。さらに、同ブランドはファンを招待してトム・ホランド出演の新作映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を鑑賞するイベントを企画するなど、その勢いは止まりませんでした。

ライブコマースの現場も熱狂に包まれました。「Semir」の各ライブ配信ルームではトム・ホランドの話題で持ちきりとなり、視聴者からは「同型の商品が欲しい」というコメントが殺到。グリーンカラーのショッピングバッグや映画鑑賞券が抽選プレゼントや購入特典として用意され、ライブ配信のテーマやスローガンまで「同型を着用してスクリーンへ行こう」「トム・ホランドが来た!Semirのバッグを持って帰ろう」といった具合に、スター効果を最大限に利用したものに変わりました。深夜にはAIホストが担当する時間帯があるにもかかわらず、急遽人間が徹夜で配信を続けるという異例の事態に。ホストたちはトム・ホランドがショッピングバッグを持つ写真を印刷して掲げたり、彼が撮影された時のポーズを模倣して、あえて大きなブランドロゴを見せつけるなど、ありとあらゆる手法で話題を盛り上げました。

爆発的な売上と「Semir」のブランド復活への挑戦

この熱狂は、実際の売上データにも如実に現れました。写真が拡散された当日夜、「Semir」のタオバオ旗艦店のライブ配信ルームは男性服ランキングで首位を獲得。動画共有プラットフォーム「Douyin(中国版TikTok)」の複数のライブ配信ルームも数万人の視聴者を集め、GMV(商品取引額)は前日の数倍に跳ね上がりました。特に、トム・ホランド同型の七分丈パンツは全色・全サイズが完売し、「8月8日までの予約発送」となるほどの人気ぶりです。

翌日には、トム・ホランドが来店したとされるSemirの店舗内に「同型商品特設コーナー」が急ピッチで設置され、まだ宣伝素材が準備中にもかかわらず、多くの顧客が同型商品を問い合わせる姿が見られました。店内にはまだ一部の在庫がありましたが、緊急で他店舗からの商品調達を進めているとのことです。

「Semir」は1990年代に誕生した老舗ブランドで、かつては「歩行街の王者」として知られ、人気俳優ニコラス・ツェー(謝霆鋒)を広告塔に起用し、周杰倫(ジェイ・チョウ)が広告塔を務める「Metersbonwe」と競い合いました。2011年にはアパレル部門が上場し、5年後には売上高が100億元を突破。2025年末時点でも中国国内に約8,000店舗を構える巨大アパレルグループです。

しかし、現在の市場は「ただ寝ているだけで稼げる時代」ではありません。2025年の決算報告によると、「Semir」のアパレル部門は増収減益。年間売上高は150.90億元で前年比3.17%増となりましたが、純利益は8.92億元で前年比21.54%減少しています。特に、収入の7割を子供服に依存しているという現状もあります。

今回のスター効果は、「Semir」にとって大きな追い風となるでしょう。しかし、この一時的な「流量(トラフィック)」をどれだけブランドの持続的な成長と収益に結びつけられるかが、今後の大きな課題となります。

スター効果を超えて、ブランドの持続的成長へ

トム・ホランドという世界的なスターが偶然にも着用したことで、中国の老舗アパレルブランド「Semir」はかつてないほどの注目を集めました。ブランドの迅速かつ巧みなマーケティング戦略により、この予期せぬチャンスを最大限に活かし、爆発的な売上とブランド認知度の向上を実現しました。

しかし、このフィーバーが一過性のものに終わるか、それともブランドの真の再活性化につながるかは、まだ見守る必要があります。競争が激化する中国アパレル市場において、「Semir」がこの「神風」をどのように長期的なブランド価値の向上と収益構造の改善に繋げていくのか、その動向は今後も注目されることでしょう。

元記事: gamersky

Photo by Ron Lach on Pexels

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