中国の電気自動車(EV)市場で、次世代バッテリーの呼称をめぐる重要な動きがありました。市場での混乱を防ぐため、これまで「半固体電池」と呼ばれてきたものが、今後は「固液電池」として統一される見込みです。この名称変更は、全固体電池への移行期にあるバッテリー技術の定義を明確にし、消費者の理解を深めることを目的としています。さらに、中国からは全固体電池の量産化に向けた具体的なロードマップも示され、EVの未来を大きく左右するバッテリー技術の進化が加速する予感が高まっています。
「半固体電池」の名称が「固液電池」に統一へ
2023年10月27日、第一財経日報の報道によると、中国の関連当局は市場での「半固体電池」と「固体電池」の混同を避けるため、新文書の制定を進めています。これにより、「半固体電池」は一律で「固液電池」と命名されることになります。
なぜ名称変更が必要なのか?
「半固体電池」とは、一部に液体の電解液が添加されているバッテリーのことで、完全に固体の電解質のみを使用する「全固体電池」への過渡期にある技術と位置づけられています。しかし、この「半固体」という表現が「全固体」に近いものとして誤解されやすく、消費者に不必要な混乱を招く可能性がありました。
業界内では、液体電解質が部分的に含まれるソリューションは一般的に「半固体電池」と称され、さらに全固体に近い、液体電解質の割合が非常に少ない場合は「準固体電池」と呼ばれることもあります。こうした状況下で、「固液電池」というより直感的な名称を用いることで、その特性を明確にし、市場の健全な発展を促す狙いがあると見られます。
全固体電池がEVの未来を拓く:中国のロードマップ
全固体電池は、現在主流のリチウムイオン電池に比べて、多くの点で優位性を持っています。
全固体電池が持つ革新的なメリット
具体的には、高い安全性(発火リスクの低減)、より高いエネルギー密度(航続距離の延長)、長い使用寿命、そして超高速充電が可能といったメリットが挙げられます。これらの特性は、EVの普及をさらに加速させ、ユーザーエクスペリエンスを劇的に向上させる可能性を秘めています。
中国が描く全固体電池の量産化シナリオ
中国は、この次世代バッテリー技術の開発に国家戦略として力を入れています。今年2月、中国電動自動車百人会の関係者は、新エネルギー車分野において、2027年には全固体電池が車両に搭載開始され、2030年には量産化が実現するとの見通しを示しました。
さらに、中国科学院の欧陽明高院士は、第2回中国全固体電池イノベーション発展サミットにおいて、具体的な技術ロードマップを提示しています。
- 第1世代全固体電池(硫化物電解質ベース):2025年~2027年に量産開始予定。エネルギー密度は400Wh/kgを達成目標。
- 第2世代製品:2027年~2030年に量産開始予定。エネルギー密度は500Wh/kgに向上。
- 第3世代製品:2030年~2035年に投入予定。目標エネルギー密度は600Wh/kgを突破。
これらの目標は、全固体電池が単なる夢物語ではなく、具体的な技術開発と量産計画に基づいた現実的な未来として描かれていることを示しています。
まとめ
中国における「半固体電池」から「固液電池」への名称統一は、次世代バッテリー技術の定義を明確にし、市場の透明性を高める上で重要な一歩となるでしょう。そして、それ以上に注目すべきは、全固体電池の量産化に向けた具体的なロードマップが示されたことです。2025年以降、段階的に進化する全固体電池がEV市場に投入されることで、安全性、航続距離、充電速度など、EVの性能は飛躍的に向上する可能性があります。
この中国の動きは、日本のバッテリーメーカーや自動車メーカーにとっても大きな影響を与えることになります。国際的な開発競争が激化する中で、日本企業も独自の強みを生かし、この革新的な技術の進化に対応していくことが、今後のEV市場での競争力を維持するために不可欠となるでしょう。全固体電池がもたらすモビリティの未来に、引き続き注目が集まります。
元記事: mydrivers
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