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「砂漠のオアシス」新疆が中国の新たな穀倉に!スマート農業で単収全国一を達成

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乾燥地帯のイメージが強い中国の新疆ウイグル自治区が、食料生産において劇的な変革を遂げています。2024年には、これまで穀物生産地としてほとんど注目されなかった新疆が、単位面積あたりの穀物収量で全国トップに躍り出ました。これは、上海を抜き、全国平均を33%も上回る524.8kg/畝(ムー:中国の土地面積単位)という驚異的な成果です。この記事では、なぜ新疆が「中国の新たな穀倉」と呼ばれるようになったのか、その背景にあるスマート農業技術と国家戦略に迫ります。

「砂漠のオアシス」が「中国の新たな穀倉」へ

中国の主要な穀物生産地と聞けば、通常は黒竜江省、河南省、山東省、吉林省、安徽省といった地域が思い浮かびます。これらの省は長年にわたり、総生産量で上位を占めてきました。特に黒竜江省は、15年連続で穀物生産量トップの座を維持しています。

しかし、単位面積あたりの収量で見てみると、全く異なる様相が見えてきます。2017年以降、その王座は国際的な大都市である上海が占め、7年間にわたりチャンピオンの座に君臨していました。新疆は、その間5回も2位につける実力を見せていましたが、2024年についに上海を抜き去り、歴史上初めて単収全国1位の栄冠を手にしました。

この驚異的な成果の背景には、小麦とトウモロコシの各作物で打ち立てられた数々の記録があります。新疆では、小麦が100畝、1,000畝、1万畝規模の作付面積で、それぞれ795.8kg/畝、756.2kg/畝、720.39kg/畝という全国的な高収量記録を樹立。トウモロコシでも、1,000畝、1万畝、100万畝規模で、それぞれ1,550.15kg/畝、1,392.7kg/畝、1,164.7kg/畝という新たな高収量記録を更新しています。

テクノロジーが拓く食料生産の新境地

新疆は、その乾燥した気候、少ない降水量、そして脆弱な生態系から、伝統的に穀物生産には不利な地域とされてきました。かつて中華人民共和国建国当初、新疆の穀物総生産量はわずか110万トンで、食料不足に悩む地域でした。しかし、この数十年で状況は一変しました。

現在の新疆では、春の種まきシーズンに、タクラマカン砂漠の奥地で、北斗衛星ナビゲーションシステムによる精密な誘導を受けた4台のスマート無人播種機が、わずか10日間で5,000畝の小麦の種まきを完了させます。播種から48時間以内には、精密な点滴灌漑も可能です。このような最先端のスマート農業技術が、新疆の穀物生産を飛躍的に向上させているのです。

単収の増加と並行して、新疆の穀物総生産量も急増しています。2023年には、総生産量が2,000万トンを突破し、2,119.2万トンに達しました。これにより、新疆はそれまでの「域内均衡、わずかな余剰」から「域内余剰、国家に供給」する地域へと転換し、国家の食料供給を支える重要な拠点となりました。2024年には、総生産量がさらに2,330.2万トンに増加し、前年比で211万トンも増産。これは、全国民一人あたり3斤(約1.5kg)の穀物を追加で供給できる量に相当します。2020年から2024年の5年間では、新疆の穀物生産量は746.8万トン増加し、全国の増加量の20.2%を占め、全国1位となっています。この生産量は、浙江省、福建省、チベット自治区、寧夏回族自治区、青海省、海南省の総生産量を合わせたよりも多い規模です。

さらに、量だけでなく質も向上しています。2024年、新疆の一級小麦の比率は96%に達し、全国平均を約30ポイントも上回って全国トップに輝きました。かつては「綿花の里」「果物の里」と呼ばれた新疆は、今や「中国の新たな穀倉」としての地位を確立しています。

まとめ:日本の食料安全保障にも示唆を与える新疆の変革

乾燥した荒野という従来のイメージを覆し、スマート農業技術と国家戦略の組み合わせによって、新疆ウイグル自治区は中国の食料安全保障における重要な柱へと変貌を遂げました。この変化は、中国国内の食料需給バランスに大きな影響を与えるだけでなく、限られた資源や厳しい自然条件下でも技術革新によって食料生産を拡大できる可能性を示唆しています。

ドローンによる精密な種まきや北斗衛星ナビゲーションシステムを活用した灌漑管理など、新疆で導入されている技術は、今後、他の乾燥地域や農業生産に課題を抱える国々、ひいては日本の食料安全保障戦略にも新たな視点とヒントを与えるかもしれません。地球規模での気候変動や人口増加が進む中で、新疆の取り組みは、未来の食料問題解決に向けた一つのモデルケースとして注目されるでしょう。

元記事: pedaily

Photo by Mark Stebnicki on Pexels

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