中国の化粧品市場で一際存在感を放つ「ベッテーニ(Betteni)」が、新たな戦略的投資に乗り出しました。特に敏感肌向けスキンケアブランド「Winona(薇诺娜)」で知られる同社は、今回、ヘルスケア産業投資ファンド「金雨基金(Jinyu Fund)」に、有限責任組合員(LP)として5000万元(約10億円)を出資することを発表。かつての栄光から時価総額が大きく下落する中、このLP出資が同社の「第二の成長曲線」を切り開く一手となるのか、その背景と狙いを深掘りします。
ベッテーニ、ヘルスケア投資ファンドへのLP出資で新たな一歩
中国の上場企業であるベッテーニは先日、無錫金雨茂物医療健康産業投資合夥企業(有限合夥)(通称:金雨基金)への出資計画を公表しました。このファンドの総出資額は10億元(約200億円)で、ベッテーニは自社資金から5000万元を拠出し、ファンド全体の5%の持分を保有することになります。
中国化粧品大手ベッテーニがヘルスケア分野に照準
金雨基金は、消費者向けヘルスケアや国民の健康向上に関連する幅広い分野への投資を掲げています。具体的には、養生、美容医療、特殊医療、機能性食品といった消費型医療に加え、合成生物学、革新的な新薬、医療機器、医療支援産業、さらにはAI創薬といった先進的な領域にまで投資対象を広げています。これは、化粧品事業で培った経験と知見をヘルスケア産業全体に応用しようとする、ベッテーニの明確な意思表示と見て取れるでしょう。
LP出資の背景にある「第二の成長曲線」への切望
上場企業がLPとしてファンドに出資する場合、その多くは自社の既存事業とは異なる「第二の成長曲線」を模索する目的があります。ベッテーニにとっても、この動きは非常に切迫したものです。
かつて「機能性スキンケアのトップ株」として、時価総額が1200億元(約2.4兆円)を超えるピークを迎えたベッテーニですが、現在の時価総額は200億元(約4000億円)を下回る水準まで落ち込んでいます。この背景には、中国化粧品市場の激しい競争があります。多くの競合ブランドが機能性スキンケア市場に参入し、主力ブランドである「Winona」の成長も鈍化傾向にあります。近年、ベッテーニは医療機器やメイクアップ製品など、ブランドの多角化を進めてきましたが、既存事業の収益に比べるとその貢献度はまだ微々たるものです。
2023年上半期には、売上高と純利益がともに減少しており、新たな収益源の確保は喫緊の課題となっています。今回のヘルスケアファンドへのLP出資は、まさにこの困難な状況を打破し、企業価値を再び高めるための戦略的な一手と言えるでしょう。
かつての支援者への「恩返し」と新たなエコシステム構築
今回の出資先である金雨基金の運営会社「金雨茂物(Jinyu Maowu)」は、2004年に江蘇省で設立された老舗のベンチャー投資機関です。これまでに新素材・スマート製造、新エネルギー・生態環境、新医薬・大健康、半導体・イノベーション技術といった戦略的新興産業に投資し、運用規模は160億元(約3200億円)を超えます。
金雨基金(Jinyu Fund)の地域性と投資戦略
今回のファンドは、名称からもわかる通り、江蘇省との関係が深く、無錫市に登録されています。また、主要なLPには江蘇省の機関投資家が多く名を連ねています。金雨基金が「新医薬・大健康」分野を主要な投資戦略の一つとしている点は、ベッテーニの出資意図と深く合致すると考えられます。
「恩返し」を超えたパートナーシップ
興味深いことに、ベッテーニは創業初期に金雨茂物やレッドウッド・チャイナ(紅杉中国)といった投資機関からの支援を受けて成長を遂げました。まさに「創業と投資は一つの環」という言葉が示すように、かつて支援者であった金雨茂物のファンドに、今度はベッテーニがLPとして出資する形となったのです。これは単なる投資にとどまらず、互いの事業成長を支え合う、より深いパートナーシップの構築を目指す動きと言えるかもしれません。
まとめ
ベッテーニの今回のLP出資は、中国化粧品市場の激動期において、企業が生き残り、さらなる成長を追求するための重要な戦略的転換点を示唆しています。ヘルスケア分野への積極的な投資を通じて、新たな成長機会を掴み、持続可能な企業へと変革できるか、その動向は今後も注目されるでしょう。
中国の消費市場トレンドは常に変化しており、今回の動きは、単一ブランドへの依存から脱却し、隣接する成長市場に積極的に参入する中国企業の普遍的な戦略を反映しています。このような中国企業のダイナミックな動きは、日本企業にとっても、市場変化への適応や新たなビジネスモデル構築のヒントとなるかもしれません。
元記事: pedaily
Photo by Roger Brown on Pexels












