中国のライブコマース市場で、今「団播(トゥアンプォー)」と呼ばれる新しい形態が爆発的な成長を遂げています。年間150億元(約3,000億円)規模に達するこの巨大市場には、卒業したばかりの若者たちが次々と参入し、安定した職と輝かしいキャリアを追求しています。かつてはシンプルな設備で行われるニッチな配信だった団播が、プロ仕様の豪華スタジオを備えた一大産業へと変貌を遂げた背景には何があるのでしょうか。その驚くべき舞台裏と、若者を惹きつける魅力に迫ります。
ライブコマース新時代を牽引する「団播」
中国のSNS、Douyin(抖音、TikTokの中国版)やXiaohongshu(小紅書)で今、「団播」と呼ばれる新しい形のライブコマースが席巻しています。これは、複数の配信者が一つのライブ配信ルームで歌やダンスなどのパフォーマンスを披露する形式で、まさに「集団ライブコマース」と呼ぶにふさわしいものです。
2022年頃から一部で火がつき始めた団播は、当初はシンプルな背景と最低限の機材で行われるニッチな存在でした。しかし、その人気は爆発的に広がり、今やDouyinやXiaohongshuを少しスクロールするだけで目に入ってくるほどに。業界レポート『2025中国ネットワークパフォーマンス業界団体ライブコマース業務現状と発展状況分析報告』によると、2025年には1日平均約8,000の団播配信ルームが開設され、前年比20%以上の成長を見込んでおり、年間収益は150億元(約3,000億円)を突破する見込みです。
単なる流行から、巨大な産業へと変貌を遂げた団播。一体何が、この驚異的な成長を可能にしたのでしょうか。
「コンテンツ工場」化する団播の舞台裏
かつては数人の配信者が簡単な機材でパフォーマンスをするだけだった団播ですが、現在ではプロのステージにも匹敵する「コンテンツ工場」へと進化を遂げています。その実態を探るべく、先月、極客公園が重慶にある団播運営企業「重慶長鯨」を訪れた際、彼らが運営する「鯨・渓」ブランドのライブ配信ルームは、まるでミニコンサート会場のようだったといいます。
プロフェッショナルな設備投資
現場には目を奪われるような豪華な照明設備、プロ仕様の揺動アーム、そして多くの裏方スタッフが配置されていました。初期の団播によく見られた、単色背景、固定照明、単一カメラといったシンプルな構成はもはや過去のものです。
長鯨の配信ルームには、200台以上のプロ用照明機器が「面光(フェイスライト)+輪郭光+染め色光+追光」という層状に配置され、3台の固定カメラと1台のプロ用揺動アームが撮影を担います。さらにディレクターがリアルタイムで全体像、中景、クローズアップを切り替え、ラインアレイ音響システムが伝統楽器の繊細な音色まで再現します。業界調査によると、一つの団播配信ルームのハードウェアコストは、安くても30万元(約600万円)、高価なものでは100万元(約2,000万円)を超えるものもあり、照明設備は中国中央電視台(CCTV)の基準に匹敵すると言われています。
伝統と革新の融合戦略
長鯨の旗艦ブランド「鯨・渓」は、「伝統を基盤に現代要素を融合させる」という戦略を掲げています。これは、運営チームが過去半年間で伝統関連コンテンツの視聴者が30%増加し、かつ視聴者の定着率が非常に高いことを発見したためです。現代のデジタル技術と伝統文化を組み合わせることで、より幅広い層の視聴者を引きつけ、深いエンゲージメントを生み出しているのです。
若者が殺到する理由と今後の展望
このようなプロフェッショナルな環境と、広がり続ける市場規模は、新卒の若者たちにとって大きな魅力となっています。元記事によれば、「安定した仕事、専門的な訓練、そして多様なキャリアパス」が提供されており、従来の芸術・エンタメ業界よりも「より体面が良く、安定したキャリア」を築ける場として認識されているようです。
団播産業は、単なるライブ配信の流行を超え、高度な技術とエンターテインメントが融合した新たなコンテンツ産業の形を確立しつつあります。中国経済全体におけるライブコマースの重要性が増す中、団播の成長は今後も続き、若者の雇用創出や文化コンテンツの多様化に貢献していくでしょう。日本のライブコマース市場にとっても、この中国のダイナミックな動きは、新たなビジネスモデルや技術導入のヒントとなるかもしれません。
元記事: pedaily
Photo by MART PRODUCTION on Pexels












