中国最大級のECセール「ダブルイレブン」で、欧米や日本の名だたるブランドを抑え、美容カテゴリの首位に輝いた中国国産化粧品ブランド「珀莱雅(PROYA)」。そのPROYAが、香港市場への新規株式公開(IPO)を目指していることが明らかになりました。粗利率約70%という驚異的な収益性を誇り、中国の消費トレンド「国潮(グオチャオ)」を追い風に成長を続ける同社の戦略と、今後の中国美容市場の行方を探ります。
中国国産ブランドの躍進:PROYAの快進撃
2025年の「ダブルイレブン(独身の日)」は幕を閉じましたが、天猫(Tmall)美容部門のブランドトップ10には、エスティローダー、ランコム、ロレアルパリ、SK-IIといった国際的な有名ブランドが名を連ねる中、首位に輝いたのは中国発の「珀莱雅(PROYA)」でした。この勢いに乗り、PROYAは香港証券取引所への上場を計画しており、CICC(中国国際金融股份有限公司)とUBSが共同スポンサーを務めます。
PROYAは2006年に設立され、2017年には上海証券取引所(A株)に上場を果たした杭州市に本社を置く企業です。特に近年は、ライブコマースをはじめとするオンラインチャネルを強力に活用し、急成長を遂げています。2019年から2024年にかけて、同社のオンライン販売収入の複合年間成長率(CAGR)は44%に達し、業界平均を大きく上回っています。2024年には、中国のオンライン販売において外資系スキンケアブランドを抜き、トップの座を獲得しました。
同社が注目される理由の一つに、約70%という高い粗利率があります。これは、製品の価値創出能力と効率的なコスト管理を示しており、激しい競争が続く化粧品市場において、PROYAの強固な基盤を物語っています。
中国美容市場の現在地と未来:競争激化と潜在的成長
「国潮」トレンドと国産ブランドの台頭
近年、中国では「国潮(グオチャオ)」と呼ばれる、国産ブランドや伝統文化を再評価するトレンドが美容分野でも顕著です。PROYAをはじめとする中国本土ブランドは、優れたコストパフォーマンスと現地に根ざした製品開発力で市場シェアを拡大し、国際ブランドのシェアを徐々に侵食しています。
2024年における中国の国産化粧品ブランドの市場シェアは49.9%に達しましたが、韓国(約83%)や日本(73.2%)と比較すると、まだ成長の余地は大きいと言えるでしょう。
一人あたり消費額に見る市場の伸びしろと課題
また、2024年の中国人一人あたりの化粧品支出は約664元(日本円で約14,000円)にとどまり、日本や韓国といったアジアの先進国の約6分の1程度です。これは、中国の所得水準向上に伴い、化粧品市場が今後さらに拡大する大きな潜在的成長空間があることを示唆しています。
しかしながら、中国の化粧品業界はブランド数が非常に多く、競争が激化の一途をたどっています。PROYAも成長過程で業績の変動を経験しており、今後も様々な挑戦に直面すると予測されています。実際、同社の実質支配者である侯軍呈氏とその親族は、近年一部の株式を売却しており、経営陣の動向も注目されます。
まとめ:PROYAのIPOが示す中国ビューティー市場の進化
PROYAの香港IPOは、中国の国産化粧品ブランドが国際市場での存在感を高めている象徴的な動きと言えます。ECプラットフォームでのデータ活用、ライブコマースによる販売強化、そして「国潮」トレンドを捉えたブランド戦略は、今後の中国市場を読み解く上で重要なヒントとなるでしょう。
日本企業にとっても、中国市場における国産ブランドの躍進は無視できないトレンドです。激しい競争の中での差別化戦略や、変化する消費者のニーズへの対応が、これまで以上に求められることになるでしょう。PROYAのIPOが成功するかどうか、そしてその後の同社の成長戦略が、中国ビューティー市場全体の進化をどのように牽引していくのか、引き続きその動向から目が離せません。
元記事: pedaily
Photo by Sora Shimazaki on Pexels












