中国の革新的なeVTOL(電動垂直離着陸機)開発企業である沃飛長空(WFCL)が、このほど数億人民元規模のCラウンド資金調達を完了したと発表しました。今回の資金調達は、中国国内の地方政府系企業である杭州市実業投資集団、サウジアラビアの有力VCであるProsperity7 Ventures(P7)、そして松禾資本が主導し、既存投資家も追加出資を行うなど、国内外から大きな期待が寄せられています。
この資金調達は、単なる企業の成長資金にとどまらず、中国が国策として推進する「低空経済」戦略を加速させ、中国のeVTOL産業を世界的なリーダーシップへと押し上げる重要な一歩と見られています。
中国eVTOLの雄「沃飛長空」が巨額資金調達を完了
沃飛長空は、すでに中国国内で4回の市場化投資を完了しており、研究開発から製造、そして運用に至るまで、サプライチェーン全体をカバーする強固な体制を構築しています。特に、自主開発した国内初の有人eVTOL製品「AE200-100」の初号機が成都でラインオフし、耐空性適合性検証作業を先行して開始するなど、研究開発の面で国内をリードする存在です。
生産体制についても、成都のグローバル本社基地の一期プロジェクトが間もなく完成し、2026年には本格稼働を開始する予定です。これにより、「AE200」シリーズおよび将来の製品の生産能力と効率が大幅に向上すると期待されています。
「国内首位」から「国際標準」へ:沃飛長空の挑戦
グローバル展開と「標準主導」への野望
今回の資金調達に参画したProsperity7 Ventures(P7)は、世界をカバーする広範なリソースネットワークを持つことで知られています。沃飛長空はP7のネットワークを活用し、国際的な航空機関や海外の運航プラットフォーム、そしてサプライチェーンの主要パートナーとの連携を強化する方針です。これにより、中国のeVTOL技術をグローバルな低空交通システムへと統合し、これまでの「製品輸出」から「標準主導」へと産業の質的向上を図るという、壮大な目標を掲げています。
既に数千機規模の商業受注を確保
沃飛長空は、成都・重慶経済圏、長江デルタ、珠江デルタ、京津冀(北京・天津・河北)など、中国の主要経済圏で数千機規模の商業受注を既に獲得しています。これらのeVTOLは、空港送迎、ビジネス移動、そして低空観光といった幅広い分野での応用が期待されています。
実際、同社が主導する「四川・重慶低空観光回廊」の試験飛行活動も順調に進んでおり、全国初となる省をまたぐ低空観光アプリケーションとして、観光産業における「低空+観光」の新たな融合モデルを構築しています。
商業化に向けた資金の使途
今回の数億人民元の資金は、主に以下の3つの重要分野に投入される予定です。
1. 耐空性認証の加速:厳格な航空規則を遵守し、型式証明(TC)の早期取得を目指します。
2. 量産能力の構築:将来の規模化された製品供給に備え、生産ラインの建設とプロセス最適化を加速します。
3. 商業化パイロットプロジェクトの探索:運航パートナーと連携し、特定地域での実証飛行を通じて、持続可能な低空移動の商業モデルを構築します。
まとめ:日本のモビリティ産業への示唆
沃飛長空の今回の資金調達と急速な事業展開は、中国政府が推進する「低空経済」戦略がいかに本気であるかを示しています。有人eVTOLの実用化に向けた動きは、法整備やインフラ整備を含め、中国で加速度的に進んでいます。
日本においても「空飛ぶクルマ」の実用化に向けた取り組みが進められていますが、中国のこのスピード感と国家戦略としての位置づけは、日本のモビリティ産業にとっても大きな示唆を与えるでしょう。グローバルな低空交通システムが構築される中で、日本の技術や基準がどのように連携し、貢献していくかが今後の焦点となりそうです。
元記事: pedaily
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