中国で人気を誇る伝統的なデリ惣菜「滷味(ルーウェイ)」の巨大ブランドたちが、今、大きな転換期を迎えています。これまでテイクアウトが主流だったルーウェイ店が、突如としてイートイン可能な「定食・ファストフード店」へと業態転換を加速させているのです。既存市場の飽和と激化する競争を背景に、彼らは日々の「食」という高頻度なニーズに応えることで、新たな成長の可能性を探っています。中国飲食業界の老舗たちが仕掛ける、この大胆なビジネス戦略に迫ります。
中国老舗ルーウェイブランドの業態転換:危機と挑戦
「滷味(ルーウェイ)」とは、様々な肉や野菜を特製のタレで煮込んだ、中国で日常的に親しまれる惣菜です。これまで、多くのルーウェイブランドはテイクアウト専門店として発展してきました。
しかし、近年そのビジネスモデルに変化が見られます。例えば、大手ブランドの一つ「煌上煌(ホワンシャンホワン)」は、江西省南昌市に「熱滷店(温かいルーウェイ店)」をオープンしました。この新業態店は、これまでの「買ってすぐ持ち帰る」スタイルを大きく変え、店内にテーブルと椅子を設置。温かいルーウェイだけでなく、ご飯、麺、飲み物などを組み合わせたセットメニューを提供し、ランチ、ディナー、さらには夜食といった様々な食事シーンに対応しようとしています。看板には「新鮮な熱滷、作り置きなし」と掲げ、出来立て感を強調しています。
煌上煌だけではありません。「周黒鴨(ジョウヘイヤ)」、「絶味食品(ジュエウェイシーピン)」、「久久丫(ジウジウヤ)」など、中国を代表する大手ルーウェイブランドも次々と主食メニューを導入し、「ファストフード化」へと舵を切っています。
なぜ今、伝統ブランドが「定食」に活路を見出すのか?
この業態転換の背景には、各ブランドが抱える深刻な経営課題があります。煌上煌の事例を見ると、店舗数は2020年の4,627店舗から、今年上半期には2,898店舗にまで減少。今年の第3四半期までの総売上も前年同期比で5.08%減少と、業績は低迷の一途を辿っています。
これは、ルーウェイ市場全体の飽和と、競争激化がもたらした結果と言えるでしょう。既存市場での成長が鈍化する中、ブランド各社は「存量市場(既存市場)における『シーン突破』」という戦略を採っています。これは、より頻繁に利用され、人々の生活に不可欠な「ファストフード」や「定食」といった日常食の市場に積極的に参入し、新たな成長エンジンを見つけ出す試みです。
例えば、煌上煌の熱滷店では、「一人前満腹セット」として、手羽先の煮込み炒飯、牛肉、野菜、クリスピーソーセージのセットや、混ぜ麺と牛肉、野菜、クリスピーソーセージにサンザシローズティーが付いたセットを23.9元(約490円)で提供しています。さらに、ルーウェイ混ぜ麺とレンコンなどの野菜を組み合わせた8.9元(約180円)の格安セットもあり、消費者の多様なニーズと予算に応えることで、幅広い層の顧客を取り込もうとしています。
まとめ
中国の伝統的なルーウェイ大手ブランドが、生き残りをかけてファストフード・定食市場へ参入する動きは、飽和した市場で新たな活路を見出そうとする中国飲食業界のダイナミズムを象徴しています。従来のテイクアウトモデルから、イートインと主食を組み合わせた「ファストフード化」への転換は、日々の食シーンに深く切り込み、顧客との接点を増やすことで収益拡大を目指す大胆な戦略です。
この試みが成功すれば、中国の飲食業界に新たなトレンドを生み出す可能性を秘めています。また、市場の変化に迅速に対応し、事業モデルを再構築しようとする彼らの挑戦は、日本の飲食業界にとっても示唆に富む事例となるでしょう。
元記事: pedaily






