中国の革新的な深海技術企業「衛鯨深海(Weijing Deepsea)」が、このほど数千万元規模(日本円で数億円規模に相当)のエンジェルラウンド資金調達を完了しました。英諾天使基金(Inno Angel Fund)と奇績創壇(MiraclePlus)からの出資を受け、同社は次世代水中自律作業プラットフォーム「スーパーカエルマン(超級蛙人)」の開発を加速させます。このプラットフォームは、世界初の広範囲海域における水中自律作業実証プロジェクトと水中データ収集センターの構築を目標とし、深海探査や軍民両用分野に革新をもたらす可能性を秘めています。
技術革新のフロンティア:深海自律ロボット「スーパーカエルマン」
衛鯨深海の核心製品は、「スーパーカエルマン」と名付けられた水中具身(ぐしん)プラットフォームです。このプラットフォームの潜水深度、作業範囲、作業時間といった主要な技術パラメーターは、エリートフロッグマン(特殊部隊員)の数倍の性能を誇るとされています。従来の水中作業の限界を打ち破る、まさに「スーパー」な能力が期待されています。
構成と機能:自律性と持続可能性を両立
「スーパーカエルマン」は、主に二つのモジュールで構成されています。一つは水中自律認識処理ロボット、もう一つは水中原位置給電基地局です。
- 水中自律認識処理ロボット:複数の物理場複合探査システム、スマート航行システム、高精度二重アーム作業モジュールを統合しています。これにより、目標の認識・探査から自律的な作業まで、一連のプロセスを全てロボット単独で実行する能力を持っています。
- 水中原位置給電基地局:深海の海流エネルギーを捕捉することで、エネルギーの自給自足を実現します。システム全体に対し、長期かつメンテナンスフリーの電力と通信サポートを提供し、持続的な運用を可能にします。
このプラットフォームはモジュール化設計を採用しており、異なる任務要求に応じて水中実行モジュールを柔軟に構成できるため、幅広い用途に対応可能です。
「スーパーカエルマン」が拓く応用分野
「スーパーカエルマン」プラットフォームは、大きく分けて二つの分野での応用が期待されています。
- 軍事分野: 水中偵察、水中目標の処理、水中インフラの保護および対抗策などに利用されます。
- 民生分野: 海底光ケーブルやパイプラインの長距離巡回・保守、海洋石油・ガスおよび鉱物資源の探査、海洋科学調査およびデータ収集、洋上風力発電設備の水中メンテナンス、水中救助など、多岐にわたる任務を遂行できます。
同社は現在、軍事ニーズを初期の突破口としつつ、より広範な民生市場への展開も視野に入れています。
未来の水中市場を再定義:人間不要の自律作業へ
創業者の張大福氏によると、現在の世界の水中ロボット市場は約500億人民元(約1兆円)規模ですが、その市場規模を制限する主な要因は、人間がリアルタイムで遠隔操作する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」という作業モデルにあります。これには数千トン級の母船によるリアルタイム制御が必要となり、水中ロボットの使用シーンが大幅に制限されていました。
しかし、衛鯨深海は「スーパーカエルマン」具身プラットフォームを通じて、人間がリアルタイムで関与しない「ヒューマン・アウト・オブ・ザ・ループ」の水中完全自律作業を実現します。1キログラム未満の自律探査・認識・決定モジュールが、深海において数千トン級の母船によるリアルタイム遠隔制御を代替できるようになるのです。これにより、水中作業のコストと難易度が大幅に低減され、将来的には数兆円規模の水中自律作業市場をリードしていくと見込まれています。
牽引する若き才能と投資家の期待
衛鯨深海のコアチームは、西安交通大学の出身者で構成されています。創業者である張大福氏は1998年生まれの若き才能で、西安交通大学の助教授であり博士号も取得しています。学生時代から深海装備の研究開発に情熱を注ぎ、国家自然科学基金博士生プロジェクトを主導。筆頭著者としてSCI 1区論文を10篇以上発表し、中国国際大学生イノベーションコンテストではチームを率いて2度の全国金賞を受賞するなど、輝かしい実績を誇ります。
投資家である英諾天使基金は、「商業宇宙飛行や低空経済といった分野と同様に、海洋装備も逆模倣開発から順方向開発へと変革の時を迎えている」とコメントし、深海には無限の機会と挑戦が秘められていると、衛鯨深海の可能性に大きな期待を寄せています。
まとめ:深海の新時代を切り開く中国スタートアップ
衛鯨深海の今回の資金調達は、中国が深海技術分野でいかに革新的な一歩を踏み出しているかを示すものです。「スーパーカエルマン」が実現する完全自律型の水中作業は、これまで想像もできなかったような深海の活用を可能にし、軍事・民生の両面で世界に大きな影響を与えるでしょう。特に、海洋国家である日本にとっても、深海における安全保障、資源探査、環境調査など、多方面での技術進化は注目に値します。この中国発の深海イノベーションが、今後の海洋産業にどのような変革をもたらすのか、その動向から目が離せません。
元記事: pedaily
Photo by Magda Ehlers on Pexels












