世界中で愛されるサンドボックスゲーム『Minecraft(マイクラ)』。中国版では、趣味のゲーム開発が本業となり、大きな成功を収めるクリエイターたちが注目を集めています。2026年1月1日には新しい開発者規約が施行され、UGC(ユーザー生成コンテンツ)エコシステムがさらに活性化すると見られています。今回は、中国の伝統的な価値観や社会のプレッシャーを乗り越え、情熱を収入へと変えた開発者たちの物語と、その成功を支える『マイクラ』中国版の魅力に迫ります。
「好き」を仕事に!『マイクラ』中国版で夢を叶えるクリエイターたち
頸椎病から高収入クリエイターへ:棒冰(バンビン)氏の転身
27歳の棒冰(バンビン)さんは、数ヶ月前まで研究の品質検査の仕事をしていましたが、深刻な頸椎病を患い退職しました。実家のある山東省で定職がないことは、中国の伝統的な家庭環境において「体面がない」と見なされ、家族や周囲からの無言のプレッシャーは相当なものでした。彼の両親は、息子が毎日PCに向かって「ゲームばかりしている」と、典型的な「不真面目」な振る舞いだと見ていたのです。
しかし、棒冰さんはそんな重圧を跳ね返し、幼い頃から好きだった『マイクラ』のMod開発を本格的に始めました。そして、上月には共同開発したModプロジェクトが約3万元(日本円で約60万円)という驚くべき月収をもたらしました。彼の住む都市では、月収8000元(約16万円)が高収入とされる中、これは異例の成功です。棒冰さんは現在、自分のペースで仕事ができ、好きなことで過去以上の収入を得る自由を手に入れました。彼の代表作の一つが、プログラマーの酒石酸菌(シュウセキサンキン)氏と共同開発したMod「森羅物語」です。
公式イベントで売上10倍!若手クリエイターの飛躍
棒冰さんの他にも、『マイクラ』中国版で経済的独立を達成した若手クリエイターがいます。2000年代生まれの粘獣(ネンジュウ)氏と查德(チャード)氏もその一人です。アニメをモチーフにしたModシリーズを開発し、リリース当初は月数千元(数万円)の収入でしたが、公式が開催した「特売節」イベントで状況は一変しました。
半額セールと公式ストアでの強力な推薦枠が功を奏し、彼らのModは爆発的にヒット。収入は一気に約10倍に跳ね上がりました。この突然の大成功に、粘獣さんは念願のXiaomi SU7(シャオミ初の電気自動車)を即座に購入したといいます。好きなことを追求し、努力を続けた結果、彼らは想像以上の成功を手にしました。
『マイクラ』中国版のUGCエコシステムと新開発者規約
Java版と基岩版:異なるコミュニティと収益化
『マイクラ』には、初期のPC向け「Java版」と、マルチプラットフォーム対応の「基岩版(Bedrock版)」という二つの主要なバージョンが存在します。Java版のコミュニティは、オープンソースのような雰囲気で、愛好家たちが情熱を原動力にModを制作してきました。しかし、収益化の道は限られていました。
一方、『マイクラ』中国版は、C++ベースの基岩版が主流で、特にモバイルユーザーの基盤が強固です。Modストアシステムが成熟しており、技術に詳しくないプレイヤーでも手軽にModを楽しめるため、開発者にとって収益化のロジックがより明確になっています。既存のJava版Modを直接移植することはできませんが、中国版は独自の豊富なモバイル向けModコンテンツが充実しています。
2026年新規約:開発者支援を強化するプラットフォーム
『マイクラ』のような伝説的なゲームのコミュニティは、プレイヤー、Mod開発者、そしてストリーマーが共同で構築しています。開発者が持続的に創作活動を行うためには、作品からの収入が不可欠です。
そして2026年1月1日、『マイクラ』中国版では新しい「開発者規約」が施行される予定です。この新規約は、旧版よりも格段に明確かつ透明性が高く、開発者にとって一層有利な内容となる見込みです。これは、すべての『マイクラ』中国版開発者にとって、「この世界で、情熱は本当に飯の種になるのか?」という切実な問いに対する、プラットフォームからの肯定的な回答となりそうです。
まとめ:日本のクリエイターにも示唆する可能性
『マイクラ』中国版で活躍するクリエイターたちの成功は、UGCとクリエイターエコノミーがもたらす無限の可能性を雄弁に物語っています。伝統的な仕事観が根強い中国で、ゲーム開発という「好き」を追求することで、社会的な承認と経済的な自由を同時に手に入れた彼らの物語は、私たちに大きな勇気を与えてくれます。
ユーザーがコンテンツを生み出し、それがプラットフォームを豊かにし、さらにはクリエイター自身の生活を支えるというエコシステムは、日本を含む世界のクリエイターにとっても示唆に富んでいます。情熱がビジネスとなり得る現代において、UGCプラットフォームが今後どのような進化を遂げ、クリエイターの夢をどれほど広げていくのか、注目していきたいところです。
元記事: chuapp
Photo by Mahmoud Yahyaoui on Pexels












