中国の高級EV市場が熱気を帯びる中、理想汽車(Li Auto)が新型フルサイズSUV「理想L9 Livis」を発表しました。旧モデル「L9 Ultra」と比較して12万元(約250万円、現在のレートでは約1,170万円に相当)もの大幅な価格上昇となる55.98万元で登場したこのモデルは、一体どのような進化を遂げたのでしょうか?公式サイトで明かされたその驚くべき技術革新の数々から、高価格化の背景に迫ります。
理想L9 Livis:価格上昇の裏にある進化
デザインとサイズのアップデート
新型L9 Livisは、全体的なデザインを踏襲しつつも、細部で大きな進化を遂げています。特に目を引くのは、一体型となった星型リングライト。以前のように突起せず、車体に溶け込むようなデザインとなり、より洗練された印象を与えます。また、フロント下部のエアインテークグリルは小型化されました。
サイズは全長5255mm、全幅2000mm、全高1810mm、ホイールベース3125mmと、引き続きフルサイズSUVの堂々たる体躯を誇ります。現行モデルからわずかに拡大していますが、全体的な変化は大きくありません。
カラーリングでは、新しくツートンカラーがオプションとして追加され、顧客のカスタマイズに対応します。理想汽車はこの変更を「(顧客の声に)耳を傾けた結果だ」と表明しており、ユーザー中心の開発姿勢が伺えます。
12万元の価格差を正当化する核心技術
しかし、これらの目に見える進化だけでは、旧モデルとの12万元の価格差を説明することはできません。L9 Livisの真価は、その内部に隠された目覚ましい技術革新にあります。
まず特筆すべきは、世界で初めて60万元以下の車両に搭載された800V全自動アクティブサスペンションシステムです。単輪で1万ニュートン(約1トン)を超える持ち上げ力を発揮し、アンチロールバーなしでミリ秒単位の瞬時な応答を実現。「物理法則を覆す」ような車体姿勢制御を可能にします。
次に、世界初の「完全体」全線制御シャシーを搭載。これは、ワイヤーステアリング、四輪ステアリング、そして世界初の全電動機械式ブレーキ(EMB)を統合した革新的なシステムです。
そして、スマート運転システムの中核となるのは、世界最強クラスの演算能力を誇る「スーパー大脳」です。2560 TOPS(テラオペレーションズパーセカンド)もの演算能力を持ち、自社開発の5nmチップ「理想馬赫100」を2基搭載。NVIDIAのThor-Uと比較しても、その有効演算能力は3倍に達するとされています。このシステムは、車両全体を360度カバーするレーザーレーダーと連携し、現時点でのグローバル最強のスマート運転システムであると理想汽車は豪語しています。
さらに、HUAWEI HarmonyOS Smart Travel 9シリーズ旗艦モデルと同様に、L9 Livisも4つのレーザーレーダーを用いた次世代全次元感知アレイを搭載し、360度全方位をカバー。また、超音波レーダーに代わり、新世代UWB(Ultra-Wideband)近距離感知技術を採用し、より高精度な周囲環境認識を実現しています。
パワートレインと航続距離の強化
パワートレインにおいても進化は止まりません。L9 Livisは、理想汽車が自社開発した第3世代レンジエクステンダー(航続距離延長装置)を搭載。メーカーは「同クラス最低のエネルギー消費を実現し、無意識のうちにアイドルストップする」と謳っています。WLTCモードでの燃費は6.3L/100km(約15.9km/L)を達成しました。
バッテリーには、容量72.7kWhの三元リチウム電池を採用。これにより、CLTCモードでの純粋電気航続距離は420km、総合航続距離は1500kmを超える驚異的なスペックを誇ります。
まとめ:進化する中国EV、日本市場への示唆
理想L9 Livisの登場は、中国EV市場の急速な進化と、競争の激しさを如実に物語っています。価格上昇は単なる値上げではなく、800V全自動アクティブサスペンション、全線制御シャシー、世界最強クラスのスマート運転システムといった、目に見えない部分に惜しみなく最先端技術を投入した結果であることが明らかになりました。
このような技術革新は、中国EVメーカーが単にコストパフォーマンスを追求するだけでなく、プレミアムセグメントにおいても革新的な価値を提供しようとしていることを示しています。今後、これらの技術がグローバル市場にどのような影響を与え、日本の自動車メーカーがどのように対応していくのか、その動向から目が離せません。
元記事: gamersky
Photo by Vitali Adutskevich on Pexels












