中国のパワー半導体業界に新たな動きです。炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の開発・製造で知られる大手企業、長飛先進(Changfei Advanced)が、この度10億元(約210億円)を超えるA+ラウンドの資金調達を完了したと発表しました。これは、2023年に達成した38億元(約798億円)超のAラウンド資金調達に続くもので、同社の技術力と将来性に対する市場の強い期待を示すものと言えるでしょう。今回の資金は、主にSiCパワー半導体の全産業チェーンにおける技術開発と市場展開に充てられ、急速に成長する新興市場でのグローバルな優位性確立を目指します。
中国SiCパワー半導体の雄、長飛先進が大型資金調達
長飛先進は、最新のA+ラウンドで江城基金、長江産業集団がリードインベスターとなり、光谷金控、奇瑞汽車傘下のチップ・インテリジェント・カー・ファンドなど複数の機関投資家が参加しました。この大規模な資金注入は、SiCパワー半導体における同社の研究開発能力と生産能力をさらに強化するためのものです。
炭化ケイ素は、シリコン(Si)に比べて電力変換効率が高く、高温動作や高電圧・高電流への耐性にも優れているため、次世代のパワー半導体材料として注目されています。特に、新エネルギー車(EV)、太陽光発電、蓄電システム、充電ステーション、そして電力網といった分野での需要が爆発的に増加しており、長飛先進はこの市場で主導的な役割を果たすことを目指しています。
世界をリードするSiC技術と生産能力
長飛先進は設立以来、SiCパワー半導体の研究開発と製造に特化し、工業用から車載用まで幅広いSiC SBD(ショットキーバリアダイオード)およびMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を提供しています。同社は、継続的な技術革新と核心技術の強化を通じて、製品の歩留まりと信頼性を着実に向上させてきました。
生産体制においても、安徽省蕪湖と湖北省武漢に戦略的に2つの生産拠点を配置し、現在は年間42万枚のSiCウェハ生産能力を誇ります。これは中国国内でトップクラスの規模です。蕪湖拠点のウェハ生産ラインは既にフル稼働しており、武漢拠点は2025年5月に稼働を開始する予定で、その主要な技術指標は国際的な先進レベルに達するとされています。特に新エネルギー車の駆動用チップに求められる高い信頼性と安定した量産要件を完全に満たす見込みです。
中国国家戦略と未来への展望
今回のA+ラウンド資金調達は、長飛先進にとって新たな発展の節目となります。同社は今後も技術開発を深化させ、製品の迅速なサイクルを加速させるとともに、主要な産業分野のトップ企業との戦略的協力を強化していく方針です。これにより、SiCの伝統的な市場と新興市場の両方で優位な地位を確固たるものとし、未来のSiCパワー半導体分野での持続的なリーダーシップを確立するための核となる推進力を提供します。
武漢金控集団の党委員会委員兼副総経理であり、江城基金の董事長である程馳光氏は、「SiCは第3世代半導体の重要な材料であり、新エネルギーや5Gなどの戦略的産業にとって極めて重要です。武漢は国家のストレージ拠点であり、オプトエレクトロニクス産業の重要拠点として、化合物半導体産業の高地を全力で掴もうとしています。長飛先進が武漢に建設中の年間36万枚SiCウェハ生産プロジェクトは、武漢市が推進する『光芯屏端網』(光、チップ、ディスプレイ、端末、ネットワーク)の兆円規模産業クラスター構築戦略と高度に合致しています。私たちは長飛先進が技術革新と生産能力拡大を通じて、地元のSiC産業チェーンにおける『チェーンマスター』としての地位を強化し、九峰山実験室と連携して湖北省が全国をリードする数千億元規模の化合物半導体産業イノベーション区を築くことを断固として支援します」と述べています。
まとめ
長飛先進の今回の大型資金調達は、中国がSiCパワー半導体分野で世界の主導権を握ろうとする強い意思の表れであり、新エネルギーやEV市場の今後の発展に不可欠な技術基盤を強化するものです。中国政府や投資機関の強力な支援を受け、同社が今後も技術革新と市場拡大を加速させることで、世界の半導体業界、特にパワーエレクトロニクス分野における競争環境はさらに激化するでしょう。日本企業にとっても、中国の技術動向と市場戦略を注視し、新たな連携や競争の機会を探る上で重要なニュースと言えます。
元記事: pedaily
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