イーロン・マスク氏が最近のインタビューで驚くべき事実を明かしました。かつてアップルが極秘裏に進めていた電気自動車(EV)プロジェクト「Project Titan」の期間中、アップルはテスラの優秀なエンジニアを面接なしで既存の給与の2倍という破格の条件で引き抜こうとしました。しかし、テスラのエンジニアたちはその誘いを頑なに拒み続けたというのです。
「Project Titan」Appleの野望とテスラへの猛攻
アップルは2022年から極秘裏にEVの研究開発を進め、「Project Titan」と名付けられたこのプロジェクトでは、2028年までに完全自動運転システムを搭載した車両の発表を目指していました。この壮大な計画を実現するため、アップルは極めて積極的な人材戦略を展開。特にEV分野で先行するテスラから多くの技術者を引き抜こうとしました。
面接なし「給与2倍」の破格オファー
マスク氏によると、アップルはテスラエンジニアに電話で頻繁に接触し、具体的な面接プロセスを経ることなく、現在の給与の2倍という破格の条件を提示していたとのこと。公開情報によれば、アップルは元テスラ従業員を何人か採用することに成功しており、その中には、かつてエンジニアリング担当のシニアディレクターだったマイケル・シュウェクッチ博士も含まれていました。しかし、彼も最終的にアップルには留まらず、航空宇宙企業Archer Aviationに移籍しています。
挫折したApple EVプロジェクトの背景
しかし、アップルのEV開発の道のりは平坦ではありませんでした。そして2024年初頭、アップルは突然「Project Titan」の中止を発表。プロジェクトに関わっていた2000人以上の従業員に社内メールでこの決定が通知されました。アップルは市場競争力のあるEV開発に多大なリソースを投じましたが、最終的に技術的なボトルネックと商業化という二重の課題を乗り越えることができませんでした。
技術的ボトルネックと市場の壁
興味深いことに、テスラはアップルによる度重なる引き抜き行為に対し、法的措置を取ることはありませんでした。これは、他のEVメーカーであるRivianが、アップルの組織的な引き抜きを公然と非難したケースとは対照的です。業界アナリストは、アップルのEVプロジェクト中止は、ハイテク大手企業が自動車製造に参入する際に直面する巨大なリスクを浮き彫りにしたと指摘しています。アップルは消費者向けエレクトロニクス分野で培った技術的優位性とブランド力を持つものの、自動車産業特有のサプライチェーンの複雑さ、厳格な安全認証基準、そして長期にわたる研究開発サイクルは、容易ならぬ高いハードルとなるのです。テスラエンジニアたちがアップルの高額オファーを拒否し続けたという事実は、彼らが自動車産業の生態系と、その中で働くことの意義を深く理解していたことの表れとも言えるでしょう。
まとめ:テック巨人のEV参入が示すもの
今回のイーロン・マスク氏の暴露は、アップルがEV市場に参入しようとした際の熾烈な人材獲得競争と、その裏にあった難しさを如実に示しています。テスラエンジニアたちが破格のオファーを断った背景には、単なる給与以上の、技術への情熱や企業文化への帰属意識があったのかもしれません。アップルほどの巨大テック企業でさえ、EV製造の複雑さと課題に直面し、最終的に撤退を余儀なくされたことは、今後の自動車産業におけるプレイヤーの動向を考える上で重要な教訓となるでしょう。日本企業にとっても、異業種からの参入障壁がいかに高いかを改めて認識させられる出来事と言えそうです。
元記事: pcd












