中国市場で長らく親しまれてきたグローバルブランドの動向に、再び大きなニュースが飛び込んできました。昨年スターバックスが中国事業の支配権を手放したのに続き、今度は世界的なファストフードチェーン、ハンバーガーキングの中国事業が中国資本の手に渡ることが決定しました。
中国の有力投資会社CPE源峰（CPE Yuanfeng）が、ハンバーガーキング中国事業の主要株式を取得し、大規模な事業拡大を計画しています。この戦略的提携により、今後10年間で中国国内の店舗数を現在の約1250店から4000店以上へと、実に約3倍にまで増やすという驚くべき目標が掲げられています。この動きは、激変する中国外食市場におけるグローバルブランドの新たな戦略を示すものとして、大きな注目を集めています。
ハンバーガーキング中国、中国有力投資会社の傘下へ
財経網（Caijing.com）の報道によると、2023年11月10日、CPE源峰はアメリカの飲食ブランドであるハンバーガーキングとの戦略的提携を発表しました。両社は合弁会社「ハンバーガーキング中国」を設立し、これによりハンバーガーキングの中国事業は新たな経営体制へと移行します。
これまでのハンバーガーキング中国は、親会社であるRestaurant Brands International（RBI）の子会社が株式のほぼ100%を保有していました。しかし今回の取引により、CPE源峰がハンバーガーキング中国の株式約83%を取得し、RBIは約17%を維持することになります。CPE源峰は、ハンバーガーキング中国に対し初期資金として3.5億米ドル（日本円で約520億円、1ドル149円換算）を投入する予定です。この巨額な資金は、店舗の新規出店や既存店の改修、大規模なマーケティング活動、メニューの革新、そして運営能力の向上に充てられます。
また、ハンバーガーキング中国の関連企業は、今後20年間にわたり中国国内でハンバーガーキングブランドを独占的に展開する「マスター開発契約」を締結しました。この契約により、CPE源峰が主導する新体制のもと、中国市場でのハンバーガーキングの成長が加速することが期待されます。
中国有力投資会社CPE源峰とは？
今回の買収を主導するCPE源峰は、中国を拠点とする有力なプライベートエクイティ（PE）ファンドです。彼らはこれまでチェーン型消費サービス分野に深くコミットし、この分野への累計投資額は約100億人民元（約2000億円、1人民元20円換算）に上ります。
CPE源峰が投資してきた企業は多岐にわたり、代表的な例としては、中国で絶大な人気を誇るアイスクリーム・ドリンクチェーン「蜜雪氷城（Mi XUE Bing Cheng）」や、若者を中心に熱狂的な支持を集めるデザイナーズトイブランド「泡泡瑪特（POP MART）」などが挙げられます。これらの実績からも、CPE源峰が中国の消費トレンドを的確に捉え、成長性のあるブランドを育成する手腕に長けていることが伺えます。
10年で3000店増！中国市場の競争激化とハンバーガーキングの挑戦
この戦略的提携の最も注目すべき点は、大胆な店舗拡大計画です。両社は、ハンバーガーキングの中国国内店舗数を、現在の約1250店舗から2035年までに4000店舗以上にまで増やすことを目指しています。これは今後10年間で、年間約300店舗ものペースで新規出店していく計算になります。
この取引は、規制当局の承認を経て2026年第1四半期に完了する見込みです。
中国の外食市場は、巨大な人口と中間層の増加を背景に、世界でも有数の成長市場として知られています。しかし同時に、国内外のブランドがひしめき合う激しい競争環境でもあります。今回のハンバーガーキング中国の買収と大規模な拡張計画は、中国市場においてグローバルブランドが地元の強力な資本と手を組むことで、更なる成長を目指すという新たなトレンドを象徴していると言えるでしょう。日本の外食産業にとっても、この中国市場のダイナミックな動きは、今後の国際戦略を考える上で示唆に富む事例となるに違いありません。
元記事: gamersky
