中国映画界に衝撃が走っています。大手映画会社ボナ・フィルム・グループ(博納影業)が製作に関わった最新作『飛馳人生3』(原題:《飞驰人生3》)は、2024年の春節(旧正月)映画として約30億元(約630億円)という驚異的な興行収入を叩き出し、堂々の首位を獲得しました。しかし、この大成功とは裏腹に、同社のA株(中国本土株)の株価は取引開始直後にストップ安を記録。大ヒット作にもかかわらず株価が急落した背景には、市場の期待と現実の大きなギャップがありました。
中国映画界の異変:大ヒット作も株価下落を止められず
中国にとって春節は、家族が集まり映画を楽しむ最大の商戦期です。そんな中、ボナ・フィルム・グループが手掛けた『飛馳人生3』は、約30億元(約630億円)もの興行収入を上げ、今年の春節映画興行収入ランキングで見事な1位に輝きました。通常であれば、このような大ヒットは株価に好影響を与えるはずです。
しかし、ボナ・フィルムのA株は、取引開始直後に1株あたり11.49元(約241円)のストップ安を迎え、時価総額は157.9億元(約3兆3159億円)まで減少。120万株を超える売り注文が殺到し、同日には映画館関連の株価も全体的に下落するなど、市場全体に冷水を浴びせる形となりました。
市場の「過剰な期待」と現実のギャップ
なぜ大ヒット作にもかかわらず株価は下落したのでしょうか? ボナ・フィルムの担当者は、今回の株価変動は「春節映画の興行収入が市場の予測を下回ったことに関連している可能性が高い」と説明しています。
以前の市場では、2023年の春節映画の歴史的な興行収入95.10億元(約2兆円)を参考に、今年の市場動向を楽観的に予測し、映画関連株の株価を押し上げていました。しかし、2024年の春節映画の興行収入総額はわずか57.52億元(約1.2兆円)にとどまり、前年を大幅に下回る結果となりました。さらに、『飛馳人生3』の興行収入も、2023年の覇者『ナタ~魔童降臨~』の48.39億元(約1兆円)と比較すると、大きく及ばない水準でした。
このように、事前の過剰な市場期待と実際の興行収入との間に大きな乖離が生じたことが、今回の株価暴落の主な要因と考えられます。
ボナ・フィルム自身の苦境と今後の展望
株価下落の背景には、興行収入の期待外れだけでなく、ボナ・フィルム自体の業績不振も指摘されています。2023年の同社の純利益は12.61億元から14.77億元(約265億~310億円)の赤字と予測されており、前年と比較して赤字幅が45%から70%拡大する見込みです。これは主に、公開作品数の不足や、一部作品での大きな損失が原因とされています。
ボナ・フィルムは現在、『四渡』『クルーズプリンセス号』『彼女は殺した』など、複数のプロジェクトが後期制作段階にあり、今後も順次公開していく予定であると発表しています。これらの新作が、現在の苦境を乗り越える起爆剤となるか、注目が集まります。
中国映画市場の未来:逆風を乗り越えられるか
大ヒット作の誕生と、それに伴う企業の株価暴落という、中国映画市場の複雑な現状が浮き彫りになりました。ボナ・フィルム・グループが抱える課題は深く、新作ラインナップが市場の期待に応え、業績を回復させることができるかが、今後の大きな焦点となります。激動の中国エンターテイメント市場が、この逆風をどのように乗り越えていくのか、その動向は日本からも引き続き注視されるでしょう。
元記事: gamersky
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