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中国消費は「低欲望」にあらず!品質とイノベーションで進化する市場

DJI drone POPMART blind box - 中国消費は「低欲望」にあらず!品質とイノベーションで進化する市場

近年、日本では『失われた30年』に関する議論が盛んになる中、「中国の消費市場も『低欲望』の罠に陥るのではないか」という懸念が一部で囁かれ始めました。しかし、最新のデータと市場の動向を見る限り、この懸念は杞憂に終わる可能性が高いようです。

中国の消費市場は、日本とは異なる独自の進化を遂げ、その活力を証明しています。2025年第3四半期の中国オンライン消費ブランド指数(CBI)は62.65に達し、2023年同期比で4.4%、2024年同期比で0.92%の成長を記録。2023年以降、毎四半期にわたり前年同期比で上昇を続けています。この指数が示すのは、消費者が単に「手に入るもの」から「より良いもの」へと、品質や体験を重視する消費へとシフトしている実態です。

「低欲望」論を覆す中国消費の活力

CBIは、消費者が高品質なブランド品を購入する割合を計測する独自の指標です。この指数の上昇は、中国の消費構造が着実に高度化していることを示唆しています。単なる価格競争ではなく、製品の革新性やブランドの提供価値が重視される傾向が強まっているのです。

事例から見る「消費高度化」の具体像

具体的な企業の成功事例は、このトレンドを明確に裏付けています。

  • DJI(大疆):プロ向けの映像技術を一般消費者市場へと展開し、旅行やサイクリングといった多様なシーンに合わせたアクションカメラを投入。2024年には主要ECプラットフォームでの売上高が前年比160%以上増加しました。専門技術を日常に落とし込むことで、新たな需要を創出しています。
  • POPMART(泡泡玛特):独自のIP(知的財産)とコミュニティ文化を通じて若者を魅了しています。大幅な割引がなくても、ファンは収集価値や「仲間と共有する体験」のために積極的に購入しており、感情的な価値が消費を動かす典型例と言えるでしょう。

精明な日本と中国の消費行動

「低欲望」と評される日本の消費市場でも、興味深い類似点が見られます。日本のファッションメディア「FASHIONSNAP」が国内トップバイヤー8社と共同で発表した2025年人気メンズブランドランキングでは、上位6ブランド中5つが国内ブランドであり、そのうち4つが2010年以降に設立された新興ブランドでした。これらはデザインとクラフトマンシップを重視しており、ユニクロのような高いコストパフォーマンスを誇るブランドと市場を二分しています。

日本の学者である三浦展氏は、こうした現象について「これは節約ではなく、消費行動がより精明(せいまく)になった証拠だ」と指摘しています。消費者は日用品にはコストパフォーマンスを求める一方で、感情的な価値をもたらす商品には惜しみなく投資するという、メリハリの利いた消費行動を取っているのです。

中国Z世代が牽引する新たな消費トレンド

この「精明な消費」の傾向は、中国市場、特にZ世代において顕著です。彼らの買い物リストを見ると、旅行関連の消費が36.9%、音楽フェスやライブハウスなどのエンターテインメント消費が31%を占めており、これらは伝統的な物質的商品の割合を上回っています。彼らは「自己満足」や「体験」に価値を見出し、それを満たすためには投資を厭いません。

同時に、93.1%のZ世代がセールに参加し、約40%が「年間最低価格」を検証するなど、合理性も追求しています。喜びと合理性のバランスを巧みに取ることが、Z世代の消費行動の大きな特徴です。

イノベーションを支えるエコシステム

中国の消費高度化の背景には、産業チェーンとECプラットフォームが一体となった強力なエコシステムが存在します。DJIが迅速に製品を改良できるのは、深圳や珠江デルタ地域の優れたサプライチェーンと豊富なエンジニアリング人材の恩恵です。

また、淘宝(タオバオ)や京東(JD.com)といった主要ECプラットフォームは、トラフィックの配分ロジックを調整し、質の高いコンテンツやブランド価値に傾倒するようになりました。オリジナルブランド向けに専用の展示エリアを設けるなど、イノベーションを後押しする施策を強化しています。2024年には、15万以上の高品質な新規事業者がこれらのプラットフォームに参入し、3年以内の新ブランドで年間取引額が1億元(約20億円)を超える企業は276社、1000万元(約2億円)を超える企業は5026社にも上りました。

さらに、プラットフォーム側は2026年までに50の「ブルーオーシャン」(未開拓市場)分野、例えばスマートロボットから外出着兼用ホームウェアまでを発掘し、さらなるイノベーションの余地を提供しています。

まとめ

中国の消費市場は、「低欲望」というレッテルをはねのけ、独自のイノベーションと品質重視の道を歩んでいます。テクノロジーの進化、Z世代を中心とした新しい価値観、そしてそれらを支える強力なエコシステムが、市場の持続的な高度化を推進しているのです。このダイナミックな変化は、日本企業にとっても新たなビジネスチャンスや市場戦略のヒントとなるでしょう。中国市場の「精明な消費」は、単なる節約ではなく、消費者の成熟と目が肥えた証拠であり、今後もこのトレンドは加速していくと見られます。

元記事: pcd

Photo by Deva Darshan on Pexels

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