中国不動産大手・恒大集団(Evergrande)の債務問題が、その影響を広げています。特に注目されるのは、「最大の債権者」とされる南通三建控股が、恒大からの巨額の未払い金により苦境に陥り、保有する上場企業「精芸(Jingyi)」の株式を競売にかける事態にまで発展したことです。香港高等法院による恒大創業者への資産凍結措置と時を同じくして、中国経済の負の連鎖が浮き彫りになっています。
中国恒大創業者の資産凍結、そして債権者への影響
9月16日、香港高等法院の最新判決により、中国恒大の清算人が創業者である許家印氏のグローバル資産の管理権を掌握しました。約547億元(日本円で約1兆1300億円相当)に上るこれらの資産は、許氏による処分が禁止されています。この措置は、恒大が抱える債務問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。
清算人による資産管理が進む一方で、恒大問題に巻き込まれた他の多くの債権者は、自力での厳しい状況に直面しています。その中でも特に注目されるのが、本記事の主役となる「最大の債権者」と呼ばれる企業です。
「最大の債権者」南通三建を追い詰める巨額債務
恒大からの360億元債務が引き金
「最大の債権者」と称される南通三建(南通三建控股の主要子会社)は、恒大から約360億元(約7400億円)もの巨額な未払い金を抱えています。この債務の返済が滞る中、南通三建は資金繰りのために次々と資産を手放さざるを得ない状況に追い込まれています。長年、債務の重圧に苦しんできた同社は、まさに瀬戸際に立たされています。
「最後の切り札」精芸株式の競売
そのような中、南通三建控股が保有していた上場企業「精芸」の全株式が、大手ECサイト京東(JD.com)傘下の資産取引プラットフォームで競売にかけられることになりました。これは、南通市海門区人民法院の指示によるものです。これらの株式は精芸の総資本の約30%を占めており、今回の競売によって精芸の支配権が変更される可能性もあります。
競売の開始価格は約7.25億元(約150億円)で、市場価格は約8億元(約165億円)とされています。精芸は近年、安定して収益を上げており、昨年は売上が37億元を超え、純利益も2700万元を計上しています。今年上半期も約23.8億元の売上と1000万元超の純利益を記録しており、優良な上場企業の支配権を数億元で手に入れられる可能性があるため、この競売は非常に高い関心を集めています。9月17日時点で、すでに300人以上が注目し、閲覧者数は5万7千人を超えています。
南通三建控股は、精芸の株式を過去2回(2019年5月、2021年10月)にわたり、南通市海門区国有資本を背景に持つ「海潤集団」に全額質入れしていました。これは、子会社への信用保証の担保としての措置でした。この「最後の切り札」とも言える精芸株式を手放すことは、南通三建控股にとって非常に痛手であると推測されます。
深刻化する南通三建の財務状況
天眼査(中国の企業情報プラットフォーム)のデータによると、9月16日時点で、南通三建(子会社)は数千件の訴訟に関与しており、1200件以上の終結済みの案件で39億元を超える未履行金額があります。また、南通三建控股(親会社)も数十件の訴訟に関与し、22億元以上の未履行金額を抱えています。両社は裁判所によって「被執行人」(強制執行の対象)に指定され、高額消費の制限も課されています。
上海証券取引所が5月に発表した南通三建の社債年次報告書によれば、2024年の同社の親会社株主に帰属する所有者持分はマイナス2.94億元、通期の純利益は8.11億元の損失を計上しており、財務状況の深刻さが伺えます。
まとめ:中国不動産市場の不安定化と今後の展望
中国恒大集団の債務問題は、もはや恒大一社の問題に留まらず、その取引先や債権者にも深刻な影響を及ぼしています。特に「最大の債権者」が、自らの資産を競売にかけざるを得ない状況は、中国不動産市場全体の不安定化と、関連企業の厳しい経営環境を象徴しています。
今回の南通三建の事例は、中国経済のサプライチェーンにおける負の連鎖が、いかに広範囲に影響を及ぼすかを示しています。日本市場への直接的な影響は限定的かもしれませんが、中国経済全体の動向は、グローバル経済に大きな影響を与えるため、今後もその推移を注視していく必要があります。
元記事: pedaily
Photo by Andrea Piacquadio on Pexels












