中国の「専精特新」企業として注目される珠海富士智能股份有限公司(Zhuhai Fushi Intelligent Stock Co., Ltd.)が、北京証券取引所への上場申請を承認されました。同社は精密構造部品の研究開発・製造を手掛け、家電製品とEV(新エネルギー車)部品の両分野で顕著な成果を上げています。特にEV向けバッテリー部品事業が急成長しており、今回のIPOで約65億円の資金を調達し、さらなる事業拡大を目指す計画です。その技術力と市場戦略に大きな期待が寄せられています。
中国「専精特新」企業、富士智能が北京証取へ
2024年12月26日、北京証券取引所では、一日に5社のIPO申請が受理されるという活況を呈しました。その中でも特に注目を集めたのが、精密構造部品の専門企業である珠海富士智能です。同社は2004年に設立され、国家級の「専精特新(専門的、精緻的、特徴的、革新的)」企業として認定されています。この「専精特新」企業は、中国政府が特定のニッチ分野で高い技術力と市場シェアを持つ中小企業を育成するために設けた制度で、「小巨人(リトルジャイアント)」とも呼ばれています。
急成長を牽引するEV向けバッテリー部品事業
富士智能の事業は、主に消費電子(家電)分野と自動車分野に分かれます。家電分野では、スマートTVやデジタルカメラなどの製品に幅広く応用されており、ソニー、LG電子、ハイセンスといった国内外の有名ブランドを顧客に持っています。
中でも特筆すべきは、EV(新エネルギー車)向けのバッテリーセル構造部品事業です。2023年6月に本格的に事業展開を開始すると、爆発的な成長を遂げました。2024年の売上は1.50億元(約31.5億円)に達し、2023年下半期から111.7%もの成長を記録。2025年上半期も1.29億元(約27.1億円)の売上規模を維持するなど、その勢いは止まりません。同社の自動車精密構造部品は、振動技術や嶺益智造といったサプライヤーを通じて、CATL(寧徳時代)やEVE Energyなどの主要リチウム電池メーカーのサプライチェーンに組み込まれています。
IPOでさらなる飛躍へ:資金使途と財務健全性
今回のIPOでは、約3.08億元(約64.7億円)の資金調達を計画しており、その使途は以下の通りです。
- 電子部品精密構造部品プロジェクトの生産能力拡大:1.2億元(約25.2億円)
- 車載カメラ精密構造部品生産ラインの建設:8000万元(約16.8億円)
- 研究開発イノベーションセンターの建設:6800万元(約14.3億円)
- 運転資金の補充:4000万元(約8.4億円)
これらの投資により、新エネルギー車関連製品の生産能力が大幅に向上すると見込まれています。
富士智能の財務状況も極めて堅調です。売上高は2022年の5.69億元から2024年には9.75億元へと着実に増加。純利益も2023年の約3083.95万元(約6.47億円)から2024年には約8403.05万元(約17.65億円)へと大幅に伸長しており、北京証券取引所の上場基準を完全に満たしています。
まとめ
中国の新エネルギー車市場が成長の転換期を迎える中、珠海富士智能は持続的な技術革新と顧客基盤の拡大により、家電と自動車部品の「両輪駆動」という強固な事業構造を確立しました。特にEVの心臓部となるバッテリーや、高度化する車載カメラなどの精密構造部品に対する需要は、今後も世界的に高まることが予想されます。同社のフルプロセス生産能力と多様な顧客構造は、市場の変動期においても重要な競争優位性となり、今後のグローバル市場での展開にも期待が寄せられます。
元記事: pcd
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