中国の民間宇宙企業「中科宇航(CAS Space)」が開発する運搬ロケット「力箭一号(Lijian-1)」が、2025年12月10日、東風商業宇宙イノベーション試験区より「一箭九星(1基のロケットで9基の衛星)」方式での打ち上げに成功しました。このミッションでは、国際顧客の衛星3機を含む計9機が所定の軌道に投入され、中国の商業宇宙産業の国際化を力強く推進する新たなマイルストーンを確立しました。都市計画や防災、気象観測など多岐にわたる分野で活用される衛星群の打ち上げは、同社の技術力と市場における競争力を改めて証明する形となりました。
中国商業宇宙の新たな節目:力箭一号、9衛星同時打ち上げの快挙
2025年12月10日12時03分(北京時間)、中国の民間宇宙企業である中科宇航(CAS Space)の運搬ロケット「力箭一号(Lijian-1)」遥一モデル、通称「編織未来号(未来を編む号)」が、東風商業宇宙イノベーション試験区から宇宙へと飛び立ちました。今回のミッションは「一箭九星」、つまり1基のロケットで9基の衛星を同時に打ち上げるという画期的な方式が採用され、見事に成功裏に完了しました。
搭載された9基の衛星の内訳は、パキスタン(アリアン813星)、エジプト、ネパールからの国際顧客衛星が3基、そして中国国内の吉星高分07B01星、吉星高分07C01星、吉星高分07D01星、東卡15号衛星、馭星二号09星、逸仙-A星、SPNEX衛星、Slippers2Sat衛星の6基です。これらの衛星は、都市計画、防災減災、水利気象といった幅広い分野で活用される予定です。
今回の成功は、力箭一号ロケットにとって10回目の飛行であり、同シリーズが既に規模化生産、大量納入、常態化運用という成熟段階に突入していることを示しています。これまでに力箭一号は累計で84基の衛星を宇宙に送り込み、総軌道投入質量は11トンを超えています。高いコストパフォーマンス、卓越した信頼性、そして強固な契約履行能力を武器に、中国の民間商業ロケット打ち上げサービス市場において、揺るぎないトップシェアを維持しています。
「考えるロケット」の革新技術
中科宇航が独自開発し、力箭一号に採用されている「深層測控融合の航電システム統合電子プラットフォーム」ソリューションは、このロケットを「考えるロケット」と称される所以です。このシステムは、高速リアルタイムイーサネットを基盤とした分散型統合電子システムを採用しており、測控(追跡・制御)と融合した一体化設計技術により、システムの複雑性を大幅に低減しました。
これにより、従来の運搬ロケットにおける航電システムが完全にオーダーメイドであったモデルを打破し、汎用性の高いシステムへの転換を実現。システムの統合度を大幅に向上させることで、ロケットの信頼性が飛躍的に高まりました。この革新的な技術により、無人遠隔によるワンボタン打ち上げが可能となり、運用効率と安全性が向上しています。この技術は、今後開発される力箭二号ロケットにも継承・発展される予定です。
国際市場での存在感と今後の展望
力箭一号運搬ロケットは、世界の舞台で素晴らしい実績を積み重ね、打ち上げサービス市場におけるプレゼンスを拡大し続けています。今回のミッションでは、パキスタン、エジプト、ネパールの3つの国際顧客からの注文を完璧に履行し、その優れた性能と打ち上げ効率で市場からの高い評価を確固たるものとしました。
中科宇航がサービスを提供した衛星顧客は累計で32社に上り、そのうち国内顧客が26社、国際顧客が6社を占めています。打ち上げサービス事業は、中国、欧州、北米、南アジア、中東、北アフリカなど多岐にわたる国と地域をカバーしており、同社は自主研究開発と国際協力を通じて、その際立った革新力とグローバルな視点を十分に示しています。
中科宇航は、中国商業宇宙の国際化発展における「先頭走者」としての使命を堅持し、中国の航空宇宙技術が世界に進出し、グローバルにサービスを提供する上での重要な担い手となることを目指しています。今回打ち上げられた衛星の一つである「アリアン813衛星」は、上海微小型衛星工程中心が開発した高分光地球観測衛星であり、環境監視や科学研究に貢献することが期待されています。
まとめ
中国の民間宇宙企業「中科宇航」による力箭一号の成功は、同国の商業宇宙産業が技術革新と国際市場開拓において大きな進展を遂げていることを明確に示しています。特に「考えるロケット」としての高い信頼性と、多数の衛星を同時に打ち上げる経済性は、今後の宇宙利用の多様化とコスト低減に貢献することでしょう。日本を含む国際社会にとって、中国の商業宇宙の動向は、新たなビジネスチャンスや協力の可能性を示唆するものであり、引き続き注視していく必要があります。宇宙開発における国際競争が激化する中、中国の果たす役割はますます重要性を増していくでしょう。
元記事: pedaily
Photo by Javier Mendoza on Pexels












