中国のドリンク市場が今、熱い視線を浴びています。特に、一杯30元(約600円以上)を超える「液体ケーキ」と呼ばれる新感覚ドリンクが、若者を中心に爆発的な人気を博しているのをご存じでしょうか?かつては「甘くない」ことが賛辞だったミルクティーが、今や「少ししょっぱい」という新たなフレーバーを追求。今回は、この「液体ケーキ」の正体と、その背景にある中国の最新消費トレンドを深掘りします。なぜこれほどまでに高額なドリンクが支持されるのか、その秘密に迫ります。
進化する中国ドリンク市場:なぜ「高価」がキーワードに?
中国のミルクティー市場は、今やただ喉を潤すだけの存在ではありません。「高級品」としての価値を追求する方向へと大きく舵を切っています。例えば、原料はベーシックでも味が非凡である「貴州氷浆」のような地域特産品、あるいは味は一般的でもネーミングがユニークな「塩チーズ」、さらにネーミングが普通でも製法が特別な「千目抹茶」など、いずれかの要素が「非ベーシック」であることで、その価格は一気に跳ね上がります。これは、もはや単なるドリンクではなく、ちょっとした贅沢やご褒美消費の象徴となっているのです。
「甘くない」から「少ししょっぱい」へ:進化の方向性
かつて中国の労働者たちがミルクティーに求めた最大の賛辞は「甘すぎない」ことでした。しかし、現在のトレンドは「少ししょっぱい」へと大きくシフトしています。中国全土の地方都市から北京、上海、広州といった大都市まで、ドリンクカップには次々と塩チーズクリームが加えられています。
大手ドリンクブランドもこのブームに乗り、個性的な名前の塩チーズ系ドリンクを次々と投入。中国版Instagram「小紅書(RED)」では、「タイ式塩チーズ」関連の投稿が3115万回以上閲覧され、21.4万件もの議論を呼ぶなど、その話題性は計り知れません。多くの業界メディアも、これが今年の秋冬の「爆款(大ヒット商品)の定番」になると予測しています。
「液体ケーキ」の正体は?チーズティーの究極進化形「咸法酪」
では、この「液体ケーキ」の正体とは一体何なのでしょうか?そのキーワードは「咸法酪(xián fǎ lào)」、つまり「塩チーズ」です。これは、伝統的なチーズクリームの「Pro Max版」とでも呼べる、まさに究極のアップグレード版。簡単に言えば、従来のチーズクリーム液をベースに、さらに濃厚なチーズをたっぷり加えたものなのです。
このわずかな変化が、ドリンクの価値を劇的に高めました。中国の地方都市市場でさえ、この塩チーズドリンクは一杯30元以上で販売され、高価格帯の「県城バラモン(地方都市の高級品)」としての地位を確立しています。ある人気レシピに至っては、1000元(約2万円以上)で転売されるケースも。消費のダウングレードが叫ばれる時代に、上海の人々ですら「よくもそんな値段を!」と驚くほどの高騰ぶりを見せています。
思わぬ落とし穴?「液体ケーキ」販売の裏側
この高まる人気を受けて、塩チーズドリンクの作り方を教えるビジネスも盛況です。しかし、ブームの裏側には思わぬ落とし穴も存在します。例えば、一時期「飲めるティラミス」の屋台が流行しましたが、今年5月には安徽省滁州市で、この屋台が原因で数百人が集団食中毒になる事件が発生しました。人気のドリンクには、品質管理や衛生面への注意が不可欠です。
専門家が徹底検証!「液体ケーキ」の味と価値
この高額で注目の塩チーズドリンクは、果たしてその価格に見合う価値があるのでしょうか?中国のビジネスメディア「水素ビジネス」編集部は、有名ドリンクブランド3社から4種類の塩チーズ新商品を実際に試飲し、その味と品質を徹底検証しました。一杯平均23元という価格帯のこれらドリンクを一口飲むと、「まるで大きな氷の小さな家に入ったようだった」と評されており、その清涼感と特別感がうかがえます。
まとめ
中国のドリンク市場は、単なる飲料提供の枠を超え、消費者の体験価値を最大化する方向へと進化しています。「液体ケーキ」と呼ばれる塩チーズドリンクのブームは、日々のストレスを忘れさせるような「ご褒美消費」や、新しい刺激を求める「ドーパミン消費」という、中国の若者たちの消費行動を色濃く反映していると言えるでしょう。
このトレンドは、日本のドリンク市場にも示唆を与えます。タピオカブームが落ち着いた後、日本の消費者が次に求めるのは、どのような「非日常」や「新感覚」なのでしょうか。中国市場の動向は、今後の日本のドリンク業界のヒントとなるかもしれません。
元記事: pedaily
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