中国の商業不動産大手「星盛商業管理股份有限公司(以下、星盛商業)」が、子会社である常州商業管理有限公司(以下、常州商管)の全株式を、人民元550万元(約1億1800万円)で現金売却すると発表しました。これは、同社が抱える賃貸負債や運営リスクを解消し、ビジネスモデルを「軽資産(ライトアセット)型」へと転換することで、経営の安定化とリスク低減を図る戦略的判断です。常州武進区における商業競争の激化と物件の老朽化が背景にあるとされ、今後はブランドおよび管理受託によるサービス収入を継続する方針です。
星盛商業、子会社「常州商管」の全株式を売却
星盛商業は先日、常州商管の株式100%売却に関する追加公告を発表しました。今回の取引は全額現金で、売却価格は人民元550万元(約1億1800万円)と設定されています。
公告によると、2025年12月31日時点での常州商管の監査前純資産は約人民元391万元(約8400万円)、監査後の純利益は約人民元488万元(約1億490万円)でした。売却価格は、常州商管のこれまでの経営実績と将来的な成長可能性を総合的に考慮し、純資産に対して一定のプレミアムを上乗せして決定されたとされています。
この取引により、星盛商業は常州商管が抱える賃貸負債や運営リスクを一切負う必要がなくなります。その一方で、同社はブランド使用料や管理受託サービスを通じて、今後もこのプロジェクトからサービス料収入を得る計画です。
「軽資産モデル」への戦略転換の背景
激化する競争と物件の老朽化
星盛商業は、今回の事業モデル転換の背景として、いくつかの重要な要因を挙げています。常州商管が事業を展開する常州武進区では、商業施設の競争が極めて激化しています。さらに、常州商管が運営する物件は比較的築年数が古く、中長期的な競争力に課題を抱えていました。
これまでの事業モデルでは、星盛商業は固定の賃料負担と運営コストを抱え、テナントの退去リスクなど潜在的なリスクに直面していました。これにより、投資回収の変動性が高まるという課題もありました。
リスク低減と収益安定化
軽資産(ライトアセット)モデルへと転換することで、星盛商業はテナントとの直接的な関係や日々の運営に関わる大きな負担を回避できるようになります。また、固定の賃料義務からも解放されます。この「軽資産・低リスク」の運営モデルは、同社が長期戦略として掲げる「賃貸モデル事業の縮小」と合致しています。
今回の売却は、星盛商業がより効率的でリスクの少ない事業構造へと移行し、ブランド力とマネジメント能力を活かした持続的な収益モデルを確立するための重要な一歩と言えるでしょう。
まとめ
星盛商業による常州商管の全株式売却は、中国の商業不動産市場における事業環境の変化と、それに対応する企業の戦略的なポートフォリオ見直しを示す事例です。激化する市場競争と物件の老朽化という課題に対し、同社は資産を売却し、ブランドと管理能力を活かした軽資産モデルへと舵を切ることで、リスクを低減し、より安定した収益基盤を構築しようとしています。
この動きは、日本企業にとっても示唆に富むものです。グローバルな不動産市場や商業施設運営において、所有からサービス提供へとビジネスモデルを転換する流れは加速しており、市場の変化に柔軟に対応し、リスクを管理しながら持続的な成長を目指す企業の戦略は、今後も注目されるでしょう。
元記事: pcd
Photo by Matheus Lara on Pexels












