中国の内陸都市、合肥(ごうひ)が、ロボットおよびAI分野で世界的な注目を集めています。かつては北京、上海、深圳といった大都市が独占していた先端技術企業の誘致競争に、合肥が「投資+応用シーン創出」という独自の戦略で参戦し、目覚ましい成果を上げています。特に、グローバル市場で影響力を持つ「極智嘉(Geek+)」や「優艾智合(Youibot)」といった大手企業の誘致成功は、合肥が「次なる産業のハブ」となる可能性を強く示唆しています。このダイナミックな動きは、単なる地方創生に留まらず、中国全体の産業構造変革を象徴するものです。なぜ合肥は、これほどまでに企業を引き付けることができるのでしょうか?
中国テック企業の「聖地」を巡る新たな戦い
現在、中国ではロボット分野のスタートアップ企業を巡る激しい争奪戦が繰り広げられており、一方は北京、上海、深圳といった伝統的なテック拠点、もう一方は急成長中の合肥が主役を演じています。
長江デルタ地域の政府関係者によると、近年、合肥の企業誘致担当者は北京、上海、広州、深圳などで積極的に活動しており、主に「基金投資」を名目に最先端企業を合肥に誘致しようと試みています。上奇産業通のデータによれば、過去2年間で、上海、北京、深圳のロボット企業がそれぞれ13社、10社、8社、合肥に進出しました。これには、登録地の変更、完全子会社の設立、株式参加子会社、支配子会社設立など、さまざまな形態が含まれます。
AI分野では、同時期に上海から32社、北京から22社、深圳から21社、杭州から13社が合肥に進出しています。これらのデータから、合肥がロボットおよびAI分野で特に上海と北京、次いで深圳からの企業誘致に注力していることが分かります。
具体的な成功事例として、例えばグローバル倉庫移動ロボットの上場企業である極智嘉は北京に本社を置いていますが、その中国国内で最大の生産拠点を合肥の肥西に誘致し、2024年11月に稼働を開始する予定です。また、合肥は深圳からインテリジェントな技術を持つ優艾智合という注目の企業を誘致しました。2024年6月、合肥の「東城産業投資」が総額約14億元(約290億円)を投資し、優艾智合の本社が合肥に設立されました。同社は2024年の売上高で世界の産業用移動操作ロボット業界および半導体分野でトップにランクインしており、今年9月には香港証券取引所に上場申請を行っています。
合肥を牽引する「投資+応用シーン」戦略
前述の企業誘致担当者は、「合肥には資金力があるのはもちろんですが、それ以上に誘致担当者が専門的で安定している点が挙げられます。最も重要なのは、産業チェーンが非常に充実していることです。多くの企業が合肥への投資を決めるのは、産業シナジーを重視しているからです」と語っています。
優艾智合の創業者である張朝暉氏は「中国企業家」の取材に対し、「合肥は『シーンオフィス』を設置し、優艾智合のような企業がパネルや自動車などの産業と連携し、具体的な応用シーンを創出できるよう支援しています」と述べています。張朝暉氏はさらに、「中国は現在、技術力は不足していませんが、(ロボットなどの)製品が市場で活用される『シーン』が不足しています。ロボットが開発された後、その能力を最大限に引き出すためには、政府がこのような役割を果たすべきです」と強調しています。
「投資+応用シーン」こそが、合肥がロボット分野で優位性を築くための二大戦略となっているのです。かつて「最も成功したベンチャー投資都市」と評された合肥は、この知能産業において、次なる中国の大手ディスプレイメーカー「京東方(BOE)」や新興EVメーカー「NIO(蔚来汽車)」のような大型企業を育て上げることができるのでしょうか?
「ロボット都市」合肥の未来像と産業構造
過去数十年間における急速な発展を経て、合肥は「チップ、新型ディスプレイ、新エネルギー車、AI融合」という産業地図を築き上げてきました。しかし、この八大産業のリストには、もともとロボット産業は含まれていませんでした。
合肥がこのように戦略的にロボット産業の誘致と育成に力を入れる背景には、既存の産業基盤との連携強化、そしてさらなる産業の高度化を目指す狙いがあると考えられます。特にAIとの融合は、新たなスマート産業エコシステムを形成し、都市全体の競争力を高める鍵となるでしょう。
まとめ
中国・合肥が展開する「投資+応用シーン」戦略は、単なる資金提供に終わらず、企業が成長するための具体的な市場と環境を提供する点で画期的です。このモデルは、地方都市が産業競争力を高め、イノベーションの中心地へと変貌を遂げるための新たな道を示しています。日本においても、地方創生や産業振興の文脈で、このような政府主導による戦略的な企業誘致や応用シーン創出の重要性が再認識されるかもしれません。合肥が今後、ロボット・AI産業の新たなメガハブとして、どのように進化していくのか、その動向に注目が集まります。
元記事: pedaily
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