世界のプライベートエクイティ(PE)市場が、巨額の資金調達によって活況を呈しています。2025年10月には、世界有数の投資会社が相次いで大規模ファンドの組成を発表。特に、クリーンエネルギー転換やインフラ投資といった分野で、数百億ドル規模の資金が動員されています。同時に、中国国内でも政府系ファンドや大手投資会社による巨額ファンドの設立が続き、国内外の投資トレンドが鮮明になっています。本記事では、このダイナミックな動きを深掘りし、その背景と今後の展望を考察します。
世界的な「移行」と「インフラ」への巨大投資
2025年10月、グローバルなPEファンドによる大規模な資金調達が立て続けに発表されました。これは、世界経済の構造変化に対応する形で、特定のセクターへの投資が加速していることを示唆しています。
Brookfieldがクリーンエネルギー転換で200億ドル調達
カナダの大手資産運用会社Brookfield(ブルックフィールド)は、傘下の旗艦ファンドである「Brookfield Global Transition Fund II(BGTF II)」の最終クロージングを完了し、総額200億ドル(約3兆円)の資金を調達したと発表しました。このファンドは、その名の通り「エネルギー転換戦略」に特化しており、クリーンエネルギーへの移行を加速させるプロジェクトに投資されます。
BGTF IIは、目標額を上回っただけでなく、第一期ファンドが樹立した記録も更新し、クリーンエネルギー転換に焦点を当てたプライベートファンドとしては世界最大規模となりました。世界の機関投資家からの幅広い支持を集め、中にはBrookfieldの転換戦略に初めて投資する機関も含まれています。具体的には、ALTÉRRAから20億ドル、Norges Bank Investment Managementから15億ドルのコミットメントがすでに発表されています。
Ardianが欧州インフラに200億ドル投資
グローバルなプライベート投資機関であるArdian(アルディアン)もまた、旗艦インフラプラットフォームで200億ドル(約3兆円)の資金調達に成功しました。この資金は主に欧州市場のインフラ投資に充てられる予定です。
Ardianのインフラプラットフォームは、「Ardian Infrastructure Fund VI(AIF VI)」とその共同投資で構成されており、AIF VI単体でも上限である135億ドルに到達しました。これは前ファンド「Ardian Infrastructure Fund V」の規模を90%も上回るもので、投資家のインフラ分野への関心の高さとArdian独自の戦略の有効性を示すものです。同ファンドは、エネルギー、交通・輸送、デジタルインフラの3つのコア分野に注力し、欧州の競争力強化に貢献していくとしています。
中国国内でも巨額ファンドが続々誕生
グローバルな動きと並行して、中国国内でも大規模な投資ファンドの設立が相次いでいます。中国政府の産業政策と結びついた動きが顕著です。
CICC Capitalが320億元の新ファンド設立
中国の金融大手、CICC Capital(中金資本)は、国家企業信用情報公示システムによると、9月30日に「中金河鋼(河北)発展股権投資基金合夥企業(有限合夥)」を設立しました。このファンドの出資額はなんと320億元(約6,400億円)に上ります。
CICC Capitalが運営パートナーを務め、河北省の大手国有企業である河鋼集団が主要なパートナーとして名を連ねています。このファンドは、プライベートエクイティ投資、投資管理、資産管理、ベンチャー投資などを事業範囲とし、特定の産業分野への投資を加速させる役割を担うと見られます。
上海の静安資本も発足、政府系資金を統合
10月10日には、上海市で「上海静安資本投資運営有限会社(静安資本)」が正式に発足しました。これは、上海市静安区の国有資産投資事業をさらに統合・発展させるための動きです。
静安資本は「政府系ガイドファンド+直接投資+市場化」という独自の運営モデルを採用し、百億元(数十億ドル)規模の投資マトリックスを形成する計画です。すでにDaoji Gaoxin FundやFudan Innovation Fundなど、8社のファンド会社と協力協定を締結しており、地域の産業振興とイノベーション促進に大きく貢献すると期待されています。
まとめ:グローバルとローカルが連携する投資の新時代
2025年10月に見られたこれらの大規模な資金調達の動きは、世界の投資環境が新たなフェーズに入ったことを示しています。グローバルな投資家は、気候変動対策としてのクリーンエネルギー転換や、経済成長を支えるインフラ整備といった長期的なテーマに巨額の資金を投じています。
一方で中国国内では、政府の政策誘導と市場の活力が結びつき、特定の産業や地域への戦略的な投資が加速しています。これらの動きは、日本企業にとっても、新たなビジネスチャンスやパートナーシップの機会を創出する可能性を秘めています。
持続可能性へのシフト、デジタル化の推進、そして地域経済の活性化といったグローバルな課題に対し、巨大な資本がどのような影響をもたらすのか、今後の動向から目が離せません。
元記事: pedaily
Photo by Alex wolf mx on Pexels












