中国広州市の国有企業を中心に、新たな大規模投資ファンド「AIC基金」が設立されました。総額10億元(約200億円)規模のこの基金は、次世代情報技術、新エネルギー車、バイオ医薬品など、多岐にわたるハイテク産業への投資を通じて、広州市増城区の産業高度化と地域経済の活性化を目指します。中国の地方政府系ファンドが、どのように先端技術分野を支援し、経済成長を促進しようとしているのか、その戦略に注目が集まります。
広州市発、10億元規模のAIC基金が始動
最近、増城産投集団、広州産投(広州産業投資集団)、そして工銀投資(中国工商銀行の投資部門)の三者が、「広州産投工融東進創新投資パートナーシップ企業(有限パートナーシップ)」(通称:AIC基金)の契約を締結しました。この基金は、広州市増城区の全額出資国有企業が初めて参加するAIC基金であり、その総規模は10億元に上ります。三者は先行して合意した協力関係に基づき、増城区における産業高度化のための新たなプラットフォーム構築を共同で推進していきます。
狙いは次世代ハイテク産業の育成
今回設立されたAIC基金の主な投資分野は、多岐にわたる最先端技術に焦点を当てています。具体的には、次世代情報技術、スマート&新エネルギー車、バイオ医薬品&健康、スマート機器&ロボット、軌道交通、新エネルギー&省エネ環境保護、新素材&ファインケミカル、そしてその他広州市および増城区が重点的に発展させる産業領域です。これにより、単なる資金提供に留まらず、イノベーションチェーン、産業チェーン、資金フロー、人材チェーンの深度融合を促進し、企業の資金調達と産業発展のニーズに的確に対応することを目指しています。
工銀投資にとっては、広州増城区で設立する初のAIC株式投資試験基金となります。この基金は、工銀投資と広州産投が持つ豊富なリソースを活用し、多様な協力投資環境を醸成することで、増城区のイノベーション主体を積極的に育成し、産業発展の新たな優位性を再構築。東部中心に「現代の活力核」を高品質で築き上げるための新たな原動力を注入する役割が期待されています。
まとめ
このAIC基金の設立は、中国の地方政府が主導する産業振興策の一環として非常に象徴的です。単なる資金提供にとどまらず、金融機関や地域企業が連携し、イノベーションエコシステム全体を強化しようとする強い意志が感じられます。特に、中央政府が強調する「新質生産力」(新しい質の生産力)の概念にも合致し、ハイテク産業の育成を通じて経済構造の転換を図る狙いがあると考えられます。日本企業にとっても、中国の巨大な地域市場で勃興する新たな技術トレンドや協力機会を注視する上で、重要な動きとなるでしょう。
元記事: pedaily
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