投資の神様として知られるウォーレン・バフェット氏が95歳を迎え、自身の「引退」を宣言する感謝祭の公開書簡を発表しました。長年務めたバークシャー・ハサウェイの年次報告書執筆や株主総会でのスピーチから身を引くことを表明し、後任CEOのグレッグ・アベル氏への全幅の信頼を表明。さらに、総額13億ドル(約2000億円)以上の資産を子供たちの財団へ寄付するという巨額の慈善活動も行いました。このメッセージには、彼が80年以上にわたる人生で培った深い洞察と、私たちへの貴重な教訓が込められています。
伝説の投資家、95歳で「沈黙」を宣言
「オマハの賢人」ことウォーレン・バフェット氏は、感謝祭の公開書簡を通じて、バークシャー・ハサウェイの年次報告書執筆と、毎年恒例だった株主総会での長時間のスピーチから完全に身を引くことを発表しました。英国の表現を借りて「私は“沈黙する”だろう」と述べ、自身の引退を明確に宣言した形です。
しかし、株主や自身の子供たちとのコミュニケーションを完全に絶つわけではありません。今後は毎年感謝祭の時期にメッセージを寄せる形で、バークシャー・ハサウェイの事業運営に関する事柄を共有する意向です。この変更は、彼が会社の将来をいかに真剣に考えているかを示しています。
また、バフェット氏は、2025年末にグレッグ・アベル氏がCEOに就任することを改めて明言。アベル氏の能力を「期待をはるかに超える」と絶賛し、会社の取締役会、そして自身の子供たちも100%支持していると強調しました。バフェット氏自身も、株主がアベル氏への十分な信頼を築くまでは、一部のA株を保有し続けるとして、スムーズな移行を約束しています。
13億ドル超の巨額寄付と慈善活動への哲学
この感謝祭の書簡では、バフェット氏が総額13億ドル以上にも上る資産を、彼の3人の子供たちが運営する財団に寄付したことも公表されました。具体的には、1800株のA株を270万株のB株に転換し、その全額を4つの家族財団に寄付したとのことです。
バフェット氏は、子供たちが既に引退年齢(72歳、70歳、67歳)を超えていることに触れ、彼らが莫大な富を管理する能力を十分に持っていると信頼を示しました。さらに、利益相反のない代替受託者も手配済みであり、慈善活動の継続性を確保しています。
特筆すべきは、バフェット氏の慈善活動に対する哲学です。彼は子供たちに「慈善事業で奇跡を起こすことを要求しない」と述べ、「死後の遠隔操作」には反対すると強調しました。これは、寄付された資金を、受取人である財団が自らの判断で最も効果的に活用すべきだという、彼の自由で信頼に基づく考えを示しています。
バフェットが語る人生の教訓:成功と幸福への道
書簡の中では、バフェット氏自身の人生経験と深い洞察が数多く共有されています。1938年に虫垂炎で命の危機に瀕し、家族の医師に救われた経験や、64年にわたる盟友チャーリー・マンガー氏との絆に触れ、人生の脆さや人との縁の大切さを語っています。また、オマハという地で生まれ育った幸運を「幸運の籤を引いた」と表現しつつ、幸運の分配が公平ではない現実も率直に認めています。
彼はまた、私たちへの貴重な人生のアドバイスも贈っています。
- 過去の過ちを悔やむのではなく、そこから学び前進すること。
- 「改善に遅すぎることはない」という前向きな姿勢。
- トム・マーフィー氏のような適切な手本を見つけて模倣すること。
- 「自分が墓碑銘に何を書いてほしいか考え、それを実現するために行動せよ」という、自身の生き方を問う問いかけ。
そして、「偉大さは他人を助けることから生まれる」「善良さは計り知れない価値がある」と述べ、行動規範として「黄金律(人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい)」を掲げています。自身の人生も完璧には程遠いと謙虚に語りつつ、「清掃員も取締役会長も同じ人間である」という言葉で締めくくられたこのメッセージは、私たち人間としての普遍的な価値を問いかけています。
まとめ
ウォーレン・バフェット氏の引退と巨額寄付のニュースは、単なるビジネスや資産の話に留まりません。95歳という年齢でなお、未来を見据え、自身の理念を明確に示し続ける彼の姿勢は、私たち一人ひとりに深い示唆を与えてくれます。特に、過ちから学び、他人を助け、善良であることの価値を強調する彼の言葉は、現代社会において忘れがちな人間としての普遍的な価値を再認識させてくれるでしょう。彼の人生哲学は、投資家だけでなく、全ての人にとって価値ある指針となりそうです。
元記事: pedaily
Photo by Tara Winstead on Pexels












