近年、中国のソーシャルメディアでは、真偽不明な情報が瞬く間に拡散する傾向が見られます。特に注目されるのは、電気自動車(EV)の駐車料金制度や大規模な交通事故といった社会的な関心の高い話題、さらには身近な健康情報に至るまで、多岐にわたるデマがネット上を駆け巡っている点です。しかし、これらの情報の中には、事実と異なるものが多く含まれています。中国当局はこうしたフェイクニュースに対し、公式にその真偽を明らかにし、国民に注意を呼びかけています。情報過多の時代において、何が真実で何がデマなのかを見極めることは、日本を含むすべてのネットユーザーにとって重要な課題と言えるでしょう。
中国を駆け巡るデマ情報:EV充電と大規模事故の真相
中国のSNS上では、時に目を疑うような情報が拡散され、人々の間で不安や混乱を招くことがあります。最近報じられたデマの中には、新疆ウイグル自治区の有名観光地での大規模事故や、EVの普及が進む深セン市での新たな駐車料金制度に関するものがありました。
新疆ウルムチの多重衝突事故、実はデマ
最近、複数のネットユーザーがSNSに「新疆ウルムチ・カナス景勝地で多重衝突事故が発生した」とする動画を投稿し、大きな注目を集めました。動画には複数の車両が絡む事故現場が映し出されており、深刻な被害がうかがえる内容でした。しかし、地元当局が調査した結果、この動画の内容は事実ではないことが判明しました。カナス景勝地を含む新疆エリアで、動画に示されているような大規模な多重衝突事故は最近発生しておらず、投稿された動画は現実とは異なる「ネット上のデマ」に分類されるとのことです。
深セン市「EV駐車料金導入」もフェイクニュース
同じく最近、別のデマが深セン市民を驚かせました。「2026年1月より、深セン市が全国で初めて、電気自動車の駐車料金をシステム的に徴収する超大都市となり、宝安区の西郷坪洲地下鉄駅などが試行拠点に選ばれ、1日あたり2元(約40円)を徴収する」という内容がネット上で広まりました。EVユーザーにとって直接影響のある情報だったため、大きな関心を集めましたが、これもまた事実ではないと確認されました。深セン市の関連部門は、EV駐車料金の試行導入に関するいかなる政策や通知も発表しておらず、「全国初のEV駐車料金徴収都市」に関する公式な計画も存在しないとのことです。
健康情報にも潜む罠:目薬の誤用が招くリスク
インターネット上の誤情報は、社会問題だけでなく、私たちの健康にも影響を及ぼすことがあります。特に身近な医薬品である目薬に関する誤解は、かえって目の状態を悪化させる危険性があります。
「目が乾いたら目薬」はNG?専門家が警鐘
「目が乾いたり疲れたりしたら、すぐに目薬を差す」という行動は、一見すると適切な自己ケアに見えるかもしれません。しかし、専門家は「目薬は医薬品であり、医師の指示に従って使用すべきである」と警鐘を鳴らしています。不適切な目薬の使用は、かえって目の乾燥感を悪化させる原因となり得るのです。その理由として、以下の2点が挙げられます。
- 目薬の種類選択の誤り: 短期的に血管を収縮させる成分が含まれる目薬は、一時的な不快感を和らげる効果がありますが、長期的な使用は涙液のバランスを損ない、目の乾燥を悪化させる可能性があります。
- 防腐剤入り目薬の頻繁な使用: 防腐剤入りの目薬を頻繁に使用すると、眼の表面組織に損傷を与え、かえって不快感が増すことがあります。
正しい目のケアと、症状改善しない場合の対応
目の乾燥症状がある場合、まずは以下の方法を試すことをお勧めします。
- 室内の湿度を加湿器などで適切に保つ
- 意識的にまばたきの回数を増やす
- 長時間のスマートフォンやパソコンの使用を避ける
- 目をこすらない
- 目の周りを10~15分間温めることで不快感を和らげる
これらの対策で症状が改善しない場合は、防腐剤の含まれていない人工涙液を1日6回まで使用することを推奨します。もし3日以上使用しても症状が緩和されない場合は、速やかに眼科医の診察を受けるべきです。
当局の厳格な対応:サイバー暴力・デマ撲滅へ
中国当局は、ネット上のデマやサイバー暴力が社会に与える悪影響を重視し、その撲滅に積極的に取り組んでいます。四川省のサイバーセキュリティ部門は、ネット環境の健全化を図るため、最近摘発されたデマおよびサイバー暴力の典型的な事例10件を公表しました。
四川省が公開した典型的なデマ・サイバー暴力事例10選
公開された事例は、以下のような多岐にわたる内容を含んでいます。
- 成都地下鉄「同性愛者集団」デマ: 成都の地下鉄に関する偽の情報が拡散されました。
- 「救助権限制限女性」デマ: 救助活動における女性の権利が制限されているかのような偽情報。
- HIV感染デマ: 感染症に関する根拠のない情報が拡散。
- 楽山大仏「身投げ」デマ: 有名観光地での悲劇的な出来事に関する偽情報。
- 龍門中学校「集団食中毒」デマ: 学校での集団食中毒に関する虚偽の報告。
- 綿竹「花祭り」シリーズデマ: 地域イベントに関する誤情報が複数拡散。
- ネットカフェでの「サイバーいじめサービス」提供: ネットカフェがサイバーいじめを助長するサービスを提供していた事例。
- 「ビッグパンダ保護」を名目としたサイバー暴力: パンダ保護を装い、特定の個人を攻撃するサイバー暴力。
- 他人に対するサイバーいじめ: 特定の個人やグループへの誹謗中傷、嫌がらせ。
- 市民の個人情報侵害に関するサイバー暴力: 個人情報を不正に入手・拡散し、他人を攻撃する行為。
これらの事例は、ネット上のデマやサイバー暴力が、個人の利益を侵害し、社会の風紀を乱す深刻な問題であることを示しています。当局は、このような行為に対し断固たる姿勢で臨み、オンライン環境の浄化を継続していく方針です。
まとめ
中国で日々発生し、当局によって真相が明らかにされている多様なネットデマは、情報が瞬時に拡散する現代社会において、私たち全員が直面する課題を浮き彫りにしています。EV充電や大規模事故といった社会経済に関わる情報から、目薬の誤用といった個人の健康に関わる情報まで、その内容は多岐にわたります。こうしたフェイクニュースは、人々の不安を煽り、誤った判断を誘発するだけでなく、サイバー暴力のような深刻な被害にもつながる可能性があります。
中国当局がデマの撲滅とネット環境の健全化に力を入れているように、日本においても情報リテラシーの向上は不可欠です。私たちがネット上の情報を目にする際には、その情報源が信頼できるものか、複数の情報源で裏付けが取れるか、といった視点を持つことが重要となります。一見魅力的な、あるいは衝撃的な情報であっても、鵜呑みにせず、常に批判的な思考で真偽を確かめる習慣を身につけることが、情報社会を賢く生き抜くための鍵となるでしょう。
元記事: pconline
Photo by Hartono Creative Studio on Pexels












