イギリスで、世界中で愛されるクリスマス映画『ホーム・アローン』のアイデアが悪用されるという衝撃的な事件が発生しました。薬物密売組織の一員が、警察の目を逃れ、自らの違法なビジネスを守るために、映画さながらの「誘殺罠」を自宅に仕掛けていたのです。この男は裁判で懲役7年の実刑判決を受け、映画の無邪気なイメージとはかけ離れた、危険で深刻な犯罪の実態が明らかになりました。警察が発見した武器や麻薬、そしてその巧妙な隠し場所とは一体どのようなものだったのでしょうか。
映画を模倣した巧妙な罠と危険物
英国のシェフィールド刑事法院で先日、60歳のイアン・クローソン被告に対し、懲役7年の実刑判決が言い渡されました。彼の罪状は、薬物密売と、その拠点で多数の危険物を不法に所持していたことです。この事件が特に注目を集めたのは、クローソン被告が1990年公開のコメディ映画『ホーム・アローン』に触発され、自身の所有する3つの物件に「誘殺罠」を設置していたと公言した点にあります。
警察の家宅捜索では、その手口の危険性が浮き彫りになりました。発見されたのは、ガソリンを充填し、ろうそくを貼り付けた改造火炎放射器、花火を詰めて密閉したプラスチックパイプ製のパイプ爆弾、そして膝の高さに張られた釣糸とバッテリー、電気接続器を組み合わせた仕掛け線など、実に多岐にわたります。
侵入者を阻む工夫と隠された武器
仕掛け線の一部は警笛と繋がっており、侵入があった際にクローソン被告に警告を発する仕組みになっていました。さらに、彼は「侵入者をマーキングする」目的で、塗料の入った袋を仕掛ける計画も立てていたようです。また、高性能エアガンやクロスボウといった武器も押収されており、彼の警備に対する執念が窺えます。
この事件は、2024年5月8日にヒースロー空港の英国国境警備隊が、中国からレスリー・クローソン(イアン被告の元妻、59歳)の住所宛てに送られた郵便物を押収したことから始まりました。その中には、本物の回転式拳銃を模倣した5丁の銀と黒色の折りたたみ式「スイッチガン」が入っていたのです。
大規模な捜索と隠蔽された薬物ネットワーク
この押収を受けて警察がイアン・クローソン被告の関連物件を捜索した結果、約100世帯の住民が避難する大規模な事態へと発展しました。警察は100メートルもの警戒線を張り、3日間にもわたる厳戒態勢が敷かれ、陸軍の爆弾処理専門家や国家犯罪対策庁(NCA)の職員も現場に投入され、危険物の安全な処理にあたりました。
隠し部屋と驚くべき密輸手口
捜索の結果、物件内からは様々な危険物だけでなく、大規模な薬物栽培・密売の実態が明らかになりました。特に注目すべきは、隠し部屋で栽培されていた24株の大麻草、1.5kgものアンフェタミン(覚醒剤)、そしてソファに縫い付けられていた27,000ポンド(約500万円)の現金です。さらに、冷凍庫のチョコレート菓子「マルテザーズ」の箱の中や、パン箱に隠されたスナック菓子の袋からもアンフェタミンが発見されるなど、その隠蔽工作の巧妙さには驚かされます。
これらの証拠から、クローソン被告の薬物密売組織は総額62,000ポンド(約1,150万円)相当の違法取引を行っていたと推定されています。最終的に、彼は違法銃器の所持、爆発物の不法所持、薬物製造、そして犯罪収益の所持などの罪で有罪となりました。元妻のレスリー・クローソンも、一部の容疑で懲役21ヶ月(執行猶予2年)の判決を受けています。
まとめ
映画『ホーム・アローン』のユーモラスな設定が、現実世界でこれほどまで悪質かつ危険な犯罪に悪用されたことに、多くの人が衝撃を受けたことでしょう。クローソン被告は映画のアイデアを犯罪組織の防御に使い、結果として自らを追い詰めることになりました。
この事件は、エンターテイメント作品の描写が予期せぬ形で犯罪に影響を与える可能性を示唆しています。同時に、薬物密売組織がその活動を守るために、どれほど巧妙かつ危険な手段を用いるかという現実を突きつけます。日本においても、海外の犯罪動向は決して無関係ではありません。映画やゲーム、インターネットを通じて得た情報が、安易に犯罪に利用されないよう、倫理観と法の遵守が改めて問われる事件と言えるでしょう。
元記事: gamersky
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