中国が宇宙開発における新たなフロンティアを切り開こうとしています。北京市科学技術委員会と中関村科学城管理委員会(中国の宇宙技術関連機関も関与すると考えられます)は、地上700kmの軌道上に超大型データセンターを構築する壮大な「宇宙データセンター建設計画案」を発表しました。
地球の周回軌道上に、なんとGW(ギガワット)級の電力を持ち、数百万基ものサーバークラスターを収容可能なデータセンターを配置するという、まるでSFのような構想が現実味を帯びてきたのです。この計画は、2035年までの3段階ロードマップで進行し、未来のデータ処理とAIインフラに革新をもたらす可能性を秘めています。
中国が壮大な「宇宙データセンター」構想を発表!
今回発表された計画案は、地上700~800kmの太陽同期軌道に、GW級の電力を備えた集中型の超大型データセンターシステムを建設するというものです。
地上700km、GW級の巨大計算能力
この宇宙データセンターは、複数の宇宙空間に配置される施設で構成されます。各施設はそれぞれ約1GWの電力を供給し、数百万枚の計算カード(GPUやCPUなどのサーバーユニット)を収容するサーバークラスターを展開します。これにより、宇宙空間を拠点としたデータ中継伝送と計算サービスの提供が可能になると見込まれています。
空間コンピューティング、中継伝送、地上管制の三位一体
システム全体は、「空間コンピューティング」「中継伝送」「地上管制」の3つのサブシステムで構成されます。宇宙空間で高性能な計算を行い、それを地球と円滑にやり取りし、地上からコントロールするという、複雑かつ高度な連携が求められるプロジェクトです。
計画は3段階で進行!実現へのロードマップ
この壮大な計画は、2035年までの長期的な視野で、以下の3つの段階を経て実現を目指します。
第一段階(2025-2027年):基盤技術確立と初期展開
まず最初の段階では、宇宙データセンターのエネルギー供給や熱放散(冷却)といった重要な基盤技術の突破が目標とされています。試作衛星の反復開発を進め、総電力200KW、計算能力1000POPS(ペタオペレーション/秒、1秒あたり1000兆回の演算能力)を目標とする第一期計算能力衛星コンステレーション(衛星群)を構築します。これにより、「宇宙のデータを宇宙で計算する」アプリケーションの実現を目指します。
第二段階(2028-2030年):軌道上組立とコスト削減
続く第二段階では、宇宙データセンターの軌道上での組み立てや建設に関するキー技術を確立し、建設および運用コストの削減に注力します。ここで第二期計算能力衛星コンステレーションを構築し、「地上のデータを宇宙で計算する」応用目標の達成を目指します。
第三段階(2031-2035年):大規模展開と未来の「宇宙計算」へ
最終段階となる2031年から2035年には、衛星の大規模量産とネットワーク展開を進め、軌道上での大規模な宇宙データセンターを完成させます。これにより、将来的な「宇宙ベースの主要計算」を強力にサポートする体制を構築する計画です。
宇宙データセンターの圧倒的メリット
なぜ、わざわざ宇宙空間にデータセンターを構築するのでしょうか。そこには、地上データセンターにはない、宇宙ならではの大きなメリットがあります。
無尽蔵の太陽エネルギーと理想的な冷却環境
宇宙データセンターは、豊富な太陽エネルギーを電力源として利用できるため、地上での土地占有や電力供給の制約を受けません。さらに、宇宙空間の低温環境は、機器の熱放散(冷却)に非常に適しています。これにより、地上データセンターが抱える高いエネルギー消費と熱放散の難題を根本的に解決できると期待されています。
「辰光一号」衛星、年内にも打ち上げへ
この構想を実現するため、既に革新的な共同体が一連の核心技術を突破しています。第一世代の試作衛星である「辰光一号(Chenguang-1)」の製品開発は完了しており、現在最終組立試験の段階です。早ければ今年末、遅くとも来年初めには打ち上げられる予定であり、計画は着実に進行していることがうかがえます。
まとめ:未来のデータインフラを巡る競争
中国が発表したこの宇宙データセンター計画は、今後のデータ処理とAIインフラのあり方を大きく変える可能性を秘めています。膨大な計算能力を宇宙空間に展開することで、地球上のあらゆる場所からのデータ収集・処理を効率化し、次世代の通信やAI技術の発展を加速させることが期待されます。
特に、エネルギー問題と冷却問題というデータセンターが抱える二大課題を宇宙空間で解決するという発想は、技術革新の新たな方向性を示すものです。日本をはじめとする各国も、この壮大な宇宙インフラ競争にどのように対応していくのか、今後の動向から目が離せません。
元記事: mydrivers
Photo by panumas nikhomkhai on Pexels












