2025年6月20日に正式リリースされた即時戦術ゲーム『Broken Arrow』が、Steamで大きな話題を呼んでいます。現代戦争を舞台に、美軍と露軍合わせて300種類ものユニットを自由に組み合わせて「合成化部隊」を編成し、ヨーロッパのバルト海沿岸で激戦を繰り広げる本作は、発売直後にSteam同時接続数3.8万人という即時戦術ゲーム史上最高記録を樹立。半月後も1.5万人を維持するなど、その勢いは止まりません。サーバーの不安定さやシングルキャンペーンのセーブ不可といった課題を抱えつつも、豊富な武器装備と細部へのこだわりが、このジャンルに新たなスタンダードを打ち立てたとして注目されています。
RTSの新基準を打ち立てた『Broken Arrow』とは?
2025年6月20日に発売された即時戦術ゲーム『Broken Arrow』は、発売と同時に世界中のRTS(リアルタイムストラテジー)ファンを熱狂させました。現代戦争を背景に、アメリカ軍とロシア軍からなる300種類以上の歩兵、車両、航空機ユニットを自由に選択し、自分だけの「合成化部隊」を編成して、ヨーロッパのバルト海沿岸で戦いを繰り広げます。その戦略性の高さと、実際の軍事作戦を彷彿とさせるリアルなディテールは、プレイヤーを深く没入させます。
本作は、発売時のSteam同時接続数で3.8万人を記録し、即時戦術ゲームの最高オンライン記録を更新するという快挙を成し遂げました。発売から半月が経過しても、その数は1.5万人を維持しており、その人気の高さが伺えます。一方で、サーバーの不安定さや、シングルキャンペーンモードでのセーブ不可、オフライン遭遇戦モードがないといった課題も指摘されています。しかし、それらのデメリットを上回る圧倒的な数の武器装備と、緻密に作り込まれたディテール設定が、このジャンルの新たな基準を確立したと高く評価されています。
「巨人の肩」の上に立つ革新
『Broken Arrow』は、その革新性の背後に、RTSジャンルの名作からの深いインスピレーションを隠し持っています。特に、スウェーデンのMassive Entertainmentが2007年に手掛けた『World in Conflict』と、フランスのEugen Systemsが開発した『Wargame: AirLand Battle』の二作品から大きな影響を受けています。
『World in Conflict』は、仮想の1980年代を舞台にNATOとワルシャワ条約機構の冷戦が熱戦へと発展する様子を描き、その美しいグラフィックと壮大なストーリーで一時代を築きました。しかし、続編の企画は親会社の買収により頓挫し、Massive Entertainmentは現在「ディビジョン」シリーズの開発元として知られています。
『World in Conflict』の失墜後、RTS軍事ゲームの旗手となったのがEugen Systemsの「Wargame」三部作です。2012年の『Wargame: European Escalation』は、各国の兵種を数値的に差別化し、300種類ものユニットを用意することで、プレイヤーに高度な戦略性を提供しました。その後も、固定翼機を導入した『Wargame: AirLand Battle』(2013年)、戦艦を導入した『Wargame: Red Dragon』(2014年)と進化を続け、『Red Dragon』は発売から10年が経った2024年でもDLCがリリースされるなど、長く愛される作品となりました。
しかし、Eugen Systemsが2022年にリリースした最新作『WARNO』は、冷戦背景という点や、部隊編成の自由度が低い点、高額なDLCなどからプレイヤー離れが進み、かつての輝きを取り戻すには至りませんでした。
『Broken Arrow』誕生秘話:情熱が結集した開発チーム
そんな中、『Broken Arrow』の構想は、元『Wargame: Red Dragon』のプランナーであるフェリックス・ハバート氏の心の中に芽生えました。彼は2018年にEugen Systemsを退社し、「高度にカスタマイズ可能な現代戦ゲーム」という自身の理想を追求します。
ハバート氏は、かつて『Wargame: Red Dragon』の対戦ネットワークで活躍していた多国籍チーム「Steel Balalaika」のメンバーを誘い、2019年には「Steel Balalaika」を開発スタジオとして法人化。世界各国に散らばるメンバーがリモートワーク形式で開発を進め、ハバート氏がディレクターを務めることになりました。Eugen Systemsを離れたことで、『Wargame: Red Dragon』のプログラムやモデルを流用できないため、『Broken Arrow』はUnityエンジンを採用し、全ての300種類のモデルをゼロから制作するという困難な道を歩みました。メンバーの多くが本業の傍らで開発に携わっていたため、開発速度は遅れましたが、情熱の炎は決して消えることはありませんでした。
そして、2023年2月7日にはシングルプレイの公開試遊版がSteamで配信され、ゲームの全貌が徐々に明らかになりました。複数回のクローズド/オープンベータテストを経て、プレイヤーからのフィードバックを元に、ゲームバランスは着実に磨き上げられていきました。特に、固定翼機のバランス調整や、スコアシステムの改良など、綿密な調整が繰り返されたことで、正式版の完成度へと繋がったのです。
緻密なディテールと戦略性が織りなす「合成化部隊」の指揮芸術
『Broken Arrow』の正式版では、プレイヤーの選択肢がさらに拡充されました。アメリカ軍にはストライカー騎兵連隊と特殊作戦部隊、ロシア軍には機械化部隊と自動車化部隊が追加され、より多様な部隊編成が可能となっています。
過去のテストで固定翼機が強力すぎるとの意見が寄せられたことを受け、正式版では固定翼機が撃墜された際のユニット再出撃時間が5分延長されるというペナルティが導入されました。これにより、プレイヤーは飛行ルートの計画をより慎重に行う必要があり、空中と地上部隊のバランスがより戦略的に求められるようになりました。
本作が他の即時戦術軍事ゲームを凌駕する点は、その詳細なディテール設定にあります。例えば、歩兵ユニット一つとっても、4人編成の班で誰がロケットランチャーを携行し、何発のロケット弾を保有しているかまで細かく設定されています。このような緻密な作り込みが、戦場における一つ一つの決断に重みを与え、プレイヤーに奥深い戦略体験を提供しています。
まさに孫子兵法の「以正合、以奇勝」(正をもって合し、奇をもって勝つ)の教えを体現するかのように、プレイヤーは通常の部隊運用(正)と、奇襲や意表を突く戦術(奇)を組み合わせ、勝利を目指すことになります。複雑に絡み合う現代戦の様相を、これほどまでにリアルかつ戦略的に落とし込んだゲームは、他に類を見ません。
まとめ:次世代RTSの旗手として
『Broken Arrow』は、その革新的なシステムと緻密なディテール、そして情熱に満ちた開発チームによって、現代RTSの新たな旗手としての地位を確立しました。サーバーの安定性やシングルキャンペーンのセーブ機能といった課題は残るものの、それを補って余りある戦略性と没入感は、多くのプレイヤーを惹きつけています。
今後、開発チームがこれらの課題を克服し、さらにゲームを磨き上げていくことができれば、『Broken Arrow』は単なる成功作に留まらず、RTSジャンルの歴史にその名を刻む金字塔となるでしょう。日本のRTSファンにとっても、この新たな指揮芸術を体験する価値は十二分にあります。今後のアップデートや拡張にも大いに期待が高まります。
元記事: chuapp
Photo by Amar Preciado on Pexels












