中国のサブカルチャー界で、この数年顕著な変化が起きています。かつては大規模なイベントが限られていた時代から、今は小規模なオンリーイベントやファン交流会「茶会」が各地で盛り上がりを見せています。本記事では、中国のゲームメディア「触楽(Chuapp)」の編集者が綴る体験談を通して、中国におけるサブカルチャー愛好家の「推し活」の変遷と、各世代が直面する「良い時代」への想いを掘り下げます。特に、地方都市でのイベント開催や、人気作品「エヴァンゲリオン」の中国における受容の歴史にも触れ、日本と似て非なる中国サブカルチャー文化の多様な側面をご紹介します。
サブカルイベントの変遷:公式から非公式、そして多様化へ
中国のACG(アニメ・漫画・ゲーム)サブカルチャー界では、過去10年ほどでイベントの様相が大きく変化しました。約10年前、愛好家の数は決して少なくありませんでしたが、日本のコミックマーケットのような大規模な同人イベントは限られていました。省都クラスの都市でさえ、頻繁に大規模なアニメ・漫画イベントが開催されるわけではなく、同好の士が一堂に会する場所を見つけるのは困難だったと筆者は振り返ります。
しかし、学生だった筆者たちは、自分たちなりの交流方法を見つけ出していました。記憶に深く刻まれているのは、民間の自主上映会です。これらは「文芸」的な組織が特定のカフェや小さな映画館を借り切り、皆が好きな作品を上映するというものでした。特に印象的だったのは、オフィスビル内のドリンク店で行われた上映会です。店主自身がサブカルチャー愛好家で、店内はロック調の内装に、本や音楽、映画のディスクが並んでいました。毎週、プロジェクターを使ってニッチな映画が上映され、入場はドリンク代のみ。週末には映画鑑賞の前後でクッキー作りなどのイベントも開催され、当時の筆者たちはそこで充実した午後を過ごしたと言います。
また、大学の学生サークルも、国内で正式に公開・導入されていないアニメを独自に上映する活動を行っていました。筆者が「エヴァンゲリオン」シリーズの『Q』や『終』を初めて観たのは、こうした形式だったそうです。公式な視聴が難しい状況の中、ファン同士が集まって作品を共有し、熱く語り合う体験は、かけがえのない思い出となりました。数年後、日本で公開された『エヴァンゲリオン劇場版 終』が中国で『天鷹戦士:最後の衝撃』というタイトルで正式導入された際、筆者は学生時代の心情とは全く異なる感慨を覚えたと語っています。
「推し変」と「良い時代」への郷愁
現在の中国のサブカルチャー界では、かつて筆者たちが経験した非公式な集まりが、より洗練された形で「茶会」や「オンリーイベント」として広がりを見せています。「茶会」は、小規模なオンリーイベントのミニチュア版のようなもので、参加人数は少ないながらも同人誌などの交換が行われ、食事をしながらゲームをしたり、ファン同士が純粋に交流を楽しむ場となっています。参加費にはドリンクが含まれ、様々なゲーム活動やコスプレ撮影のスペースが用意されるなど、当時の活動よりもはるかに充実した内容です。
特に、人数の少ない「茶会」は、主催者側のコストが低く、手続きも簡素なため、「冷門IP」(マイナーな作品やジャンル)のファンコミュニティにとって理想的な開催形式となっています。筆者が以前熱中していた「冷坑」(マイナーなジャンル)のイベントが、つい最近「茶会」から「オンリーイベント」へと規模を拡大し、さらには上海以外の地方都市でも開催されるようになったことに、筆者は驚きと喜びを感じています。
しかし、筆者自身は既にそのジャンルから「推し変(爬墙)」をしてしまったため、現在の活発なイベントには参加しづらいと感じているようです。グッズ交換がメインのイベントに手ぶらで行くのは気が引けるし、既に熱が冷めたジャンルのグッズを入手しても、いずれ「ホコリをかぶるだけ」だと寂しそうに語ります。筆者は、このように盛り上がる「二次元経済」(サブカルチャー経済)の潮流に乗り切れなかったことに、一種の「良い時代を逃した」という後悔を抱いています。
しかし、筆者は考えを改めます。おそらく、どの世代のサブカルチャー愛好家にもそれぞれの「良い時代」があり、それぞれの問題に直面しているのだろうと。筆者の学生時代は、同好の士との交流は容易ではありませんでしたが、作品に対する批判的な目は今ほど厳しくはありませんでした。昔の同人グッズは今ほど精巧ではありませんでしたが、経済的な負担も少なかったのです。すべてが順風満帆な環境で生きる人は稀であり、もしかしたら、苦労しながらも仲間と共有した経験こそが最も貴重なものなのかもしれないと、筆者は記事を締めくくっています。
まとめ
中国のサブカルチャーイベントは、愛好家たちの情熱によって多様な発展を遂げてきました。公式展開が限られていた時代には、ファン自身が作り出す非公式な集まりが大きな意味を持ち、それが現在の小規模イベントの原型となっています。日本でもオンリーイベントや茶会は盛んですが、中国では特に、作品に対するアクセス制限があった歴史が、独特の共有文化を育んだと言えるでしょう。この「二次元経済」(サブカルチャー経済)の拡大は、今後も中国のサブカルチャー界を活性化させ、新たな「良い時代」を形作っていくことでしょう。中国のファン活動の進化は、日本のサブカルチャーシーンにも新たな視点を提供してくれるかもしれません。
元記事: chuapp
Photo by Otto Rascon on Pexels












