子供の頃は、カブトムシやクワガタ、セミやちょうちょなど、身の回りにいる虫を怖がらずに触れたり、瓶に捕まえて飼ったりした記憶がある方も多いのではないでしょうか。しかし、大人になるにつれて、漠然とした不気味さや嫌悪感を抱くようになる……そんな複雑な感情を、私たちが昆虫に対して抱くのはなぜでしょう? 今回は、中国のゲームメディア「触乐(Chuapp)」が、「文化昆虫学」というユニークな視点から、日本のゲームに深く根付く昆虫文化の魅力に迫る記事を再構成し、日本語読者の皆さまにご紹介します。デジタル世界の昆虫たちが、私たちにどんな「好き」を教えてくれるのか、一緒に探ってみましょう。
ゲームと昆虫:日本文化が育んだ不思議な関係
なぜ大人になると虫が苦手になるのか?
記事の筆者は、幼い頃はカマキリやクワガタ、毛虫など、どんな虫にも怖がらずに触れていたといいます。しかし、成長するにつれて、虫を見ると「ゾッとする」感覚を覚えるようになり、実際に触れることもほとんどなくなったそうです。この「大人になると虫が苦手になる」という現象には、いくつかの説があります。
例えば、人類が進化する過程で、昆虫が病気や死をもたらす脅威だったため、本能的に恐怖を感じるようになったという説や、昆虫の表情が読み取れない、頭部が固定されているといった外見的特徴から、人格化しにくく、親近感が湧きにくいという説などがあります。一方で、子供はまだリスク意識や感情認識が十分に形成されていないため、恐怖を感じにくいのかもしれません。
確かに、SNSでは「ヤスデ」のような虫の画像が投稿されると、不快感を表明するコメントが多数寄せられるなど、虫への嫌悪感は多くの人が共通して抱く感情です。しかし、不思議なことに、多くのゲームでは「虫取り」が非常に魅力的な要素としてデザインされています。『集合啦!动物森友会(あつまれ どうぶつの森)』や『我的暑假(ぼくのなつやすみ)』など、緻密で豊かなデザインは子供時代の記憶を呼び起こし、これらのデザインに嫌悪感を抱く人はほとんどいません。
特に日本のゲームでは、昆虫との関連性が非常に強い傾向があります。日本のゲームクリエイターにとって「昆虫採集」は、昔から親しまれている夏の定番活動であり、重要な自然教育の一環として位置づけられているのです。例えば、『ホロウナイト』シリーズの主人公は直接的な「虫」ではないものの、その環境や敵キャラクターのデザインには昆虫の特徴が巧みに取り入れられています。
「文化昆虫学」が解き明かすカブトムシの魅力
日本の「武士」とカブトムシの意外な繋がり
筆者は、今回の記事を書くにあたり「文化昆虫学(Cultural Entomology)」という学問に触れたといいます。これは、人文社会科学の観点から、昆虫と人類文化の相互作用や影響を研究する学際的な分野です。この分野の研究は、ゲームコンテンツとも興味深い接点を持つことがあります。
例えば、日本ではカブトムシが非常に高い地位を持っています。特にクワガタムシやカブトムシは「武士」や「勇者」と称されることが多く、その巨大な角は兜(ヘルメット)を連想させ、威厳に満ちた姿が日本の「武士道」の精神と視覚的にリンクしていると考えられています。1960年代半ば以降、日本の多くの特撮番組や漫画にも、SF的なカブトムシの装甲と強い戦闘性を持つキャラクターが登場し、この「カブトムシ文化」をさらに深めていきました。懐かしの『テッカマン』などにも、その影響が見て取れます。
ゲームの世界でも、この文化的な背景は色濃く反映されています。『あつまれ どうぶつの森』には、リアルなカブトムシが多数登場し、プレイヤーを楽しませています。
注目の新作ゲーム『兜虫公園』と『虫虫生態箱』
今年5月には、まさに「斗虫(虫相撲)」をテーマにしたゲーム『Kabuto Park』がリリースされました。このゲームの公式中国語名は『兜虫公园(兜虫公園)』。当初筆者は「兜虫」を「斗虫(斗う虫)」の音の響きと「網で虫を捕らえる」イメージから来た造語だと考えていたそうです。しかし、後に「兜虫」が日本語でカブトムシを指し、その「兜(カブト)」がヘルメットを意味し、前述の武士文化に繋がることを知って感銘を受けたと語っています。これは翻訳者の意図的な表現なのか、プレイヤーに深い理解をもたらす巧みなネーミングと言えるでしょう。
『Kabuto Park』は、虫を捕まえ、強化して他のプレイヤーと戦うシンプルなゲームですが、純粋な楽しさに満ちています。虫の大きさはランダムで、アップグレードでは変更できないため、最強の「闘虫」を育てるには努力と運も必要です。そのグラフィックは非常に清新で、リラックスした雰囲気を味わえます。
同じく5月にリリースされた中国国産インディーズゲーム『虫虫生態箱(Bugarium)』も注目に値します。これは癒し系の放置型昆虫飼育ゲームで、美しい昆虫や造形が科学的にも正確に再現されています。制作チームは昆虫好きで、デジタルノマドとして実物の昆虫を飼うのが難しいことから、ゲームを通じて昆虫飼育の楽しさを提供したいと考えたそうです。
まとめ:デジタルで育む、現代の昆虫愛
現実世界で、子供の頃に好きだった昆虫が大人になると少し苦手になるという感情の変化は、私たちの心の成長や好奇心の減退、都市化の進行と無縁ではないかもしれません。それは少し残念なことでもあります。
しかし、もし現実の昆虫と向き合うのが難しいとしても、ゲームの中でなら、彼らと楽しく触れ合うことができます。デジタル空間で昆虫たちと遊び、その奥深い文化や生態を学ぶことは、現代における新たな昆虫愛の形と言えるでしょう。日本の豊かな昆虫文化が、これからも多くのゲームを通じて世界に発信されていくことに期待が高まります。
元記事: chuapp
Photo by Ayyeee Ayyeee on Pexels












