人気シリーズ最新作『Mafia: 故郷』(中国語名:四海兄弟:故乡)が発売から約3週間で、Steamの評価が「賛否両論」(69%)にとどまっている現状は、多くのゲーマーにとって衝撃かもしれません。シリーズの「原点回帰」を目指した本作が、なぜプレイヤーの期待に応えられなかったのか?パフォーマンス問題だけでなく、現代のオープンワールドゲームへの認識のズレが、23年の歴史を持つ『Mafia』シリーズの新たな課題を浮き彫りにしています。古き良きアクションアドベンチャーの魅力と、現代プレイヤーが求めるもののギャップに迫ります。
『Mafia: 故郷』が直面する「原点回帰」の試練
筆者が記事を執筆した時点での『Mafia: 故郷』のSteam評価は、決して芳しいものではありませんでした。低評価の多くは、高性能PCでも動作が不安定、クラッシュが頻発するといったパフォーマンス問題を指摘するもので、これは開発側の問題として理解できます。
しかし、「オープンワールドが退屈だ」という声に対しては、筆者は疑問を呈しています。これは、近年の「ありきたりなオープンワールド」に慣れすぎて、シリーズ初期の作品が持っていた独自の魅力を見失っているのではないか、という指摘です。
「Mafia」シリーズは23年の歴史を持ちながらも、リリースされた作品は2002年の初代、2010年の『Mafia II』、2016年の『Mafia III』、そして今年の『故郷』の計4作品と、決して多くはありません。さらに2020年には初代のリメイク版『Mafia: Definitive Edition』が発売されましたが、新作が出るまでの期間は最短でも6年、前作『Mafia III』から『故郷』に至っては9年もの歳月が流れています。
この作品間の長いブランクは、プレイヤー層の分断を生む大きな要因となっています。かつての熱狂的なファンはゲームから離れてしまったり、初期作品の細部を忘れ、新作に不適切なほどの期待を寄せてしまったりすることがあります。『Mafia III』で評価を落とした後、開発元のHangar 13はシリーズの原点回帰を試みましたが、結果として『故郷』の評価は厳しいものとなり、ゲームの主人公エンツォ・ファバラの運命さながらの苦い結末を迎えることになりました。
「古き良き」アクションアドベンチャーへの回帰
『Mafia: 故郷』は、現代のゲームでは珍しい「古き良きアクションアドベンチャー」のスタイルを貫いています。第八世代以降のゲームによく見られるRPG要素は一切なく、スキルポイントや数値によるキャラクター強化のシステムはありません。キャラクターの強さは、すべてプレイヤーの操作スキルに依存します。
ゲーム中に収集できるアイテムは、わずかなボーナスをもたらす程度で、ゲーム体験を本質的に変えるものではありません。例えば、特定の念珠を装備するとライフル弾の所持数が20発から25発に増えるといったものですが、戦闘中に弾薬が豊富に落ちているため、その恩恵は限定的です。
これは、かつてアクションゲームとRPGが明確に区別されていた時代の設計思想そのものです。アクションゲームでは主人公の能力は大きく変わらず、プレイヤーの腕前がすべてを決めます。一方RPGでは、数値成長やスキル解放によってキャラクターが強くなり、操作が「しっくりくる」ようになるのです。
この観点から見ると、『故郷』は初期の『アンチャーテッド』や『Alan Wake』を彷彿とさせる、第七世代機時代のアクションアドベンチャーのスタイルを受け継いでいます。近年ではこうしたゲームが少なくなっている中で、本作は意図的にこの「老派」なゲームデザインを選んだと言えるでしょう。
ゲームプレイ要素の光と影
『故郷』の具体的なアクション要素は、主に潜入、掩体射撃、ナイフ戦、運転の4つに分けられます。ナイフ戦を除けば、これらはシリーズを通して馴染み深い要素です。
潜入と戦略の欠如
潜入パートは非常にシンプルで、使用できる道具は少なく、敵の数も少ないです。さらに、敵の視界範囲は狭く、プレイヤーを発見してからの反応速度も遅いため、難易度は極めて低いと感じられます。筆者の経験では、敵の目の前に飛び出してしまっても、数秒間は警戒状態に入らず、簡単に隠れ直せてしまうほどです。
また、敵を「素手で気絶させる」か「ナイフで一撃で仕留める」かという選択肢がありますが、ナイフには耐久度があり、他の用途にも使うため、戦略的な選択を促すように見えます。しかし、潜入自体の難易度が低すぎるため、この戦略的な要素がほとんど活かされていません。トロフィー目的でもない限り、素手での気絶で十分事足ります。
掩体射撃とナイフ戦
掩体射撃は良くも悪くもオーソドックスです。時代背景と史実に基づき、登場する武器の種類は多くありません。拳銃が4~5種類、長銃が6~7種類(ライフルとショットガンに分類)といった具合です。『レッド・デッド・リデンプション2』をプレイした方なら見覚えのある銃器もあるかもしれません。
射撃感は『Mafia: Definitive Edition』に近く、入力遅延がやや大きく、キャラクターのアニメーションも長めです。連射武器がないため、全体的に「一発一発を丁寧に撃つ」ような、重厚なシングルバトル感が特徴です。「第二次世界大戦」をテーマにした『コール オブ デューティ』シリーズでボルトアクションライフルを好むプレイヤーには響くかもしれませんが、連射で敵をなぎ倒すような爽快感を求めるプレイヤーには物足りないかもしれません。
ナイフ戦は『故郷』の比較的新しい要素です。これまでの格闘とは異なり、ストーリー上のボス戦に限定されています。斬撃、突き、ガード、回避、ガードブレイクの5つのアクションを駆使し、敵の動きを見極めて攻撃を避けつつ反撃する、欧米のアクションゲームらしい近接戦闘です。初期の『アサシン クリード』のような単純なものではなく、日本のアクションゲームや格闘ゲームに見られる「向き」や「距離制御」といった重要な要素を取り入れている点で、進化が見られます。
まとめ:現代ゲームと「原点回帰」のジレンマ
『Mafia: 故郷』が「原点回帰」を目指したにも関わらず、賛否両論の評価に終わったことは、ゲーム業界全体が直面する課題を浮き彫りにしています。過去のシリーズが持っていた「古き良き」魅力が、現代のプレイヤーがゲームに求める「快適さ」「革新性」「多様性」といった要素と必ずしも一致しないというジレンマです。
プレイヤー層の分断、進化し続けるゲームデザインの潮流の中で、旧作の良さを現代にどう伝えるか、あるいはどのように進化させるかは、非常に難しい問いです。これは『Mafia』シリーズに限らず、多くの老舗タイトルが直面する普遍的な課題と言えるでしょう。Hangar 13と「Mafia」シリーズが今後どのような道を歩むのか、その動向に注目が集まります。
元記事: chuapp
Photo by KoolShooters on Pexels












