NVIDIAが最近発表した「DLSS 5」技術が、ゲームコミュニティで大きな物議を醸しています。このAI超解像度技術を有効にすると、ゲーム内のキャラクターモデルの見た目が予想外に変化してしまうというのです。プレイヤーはもちろん、多くのゲーム開発者からも困惑と疑問の声が上がっており、SNS上ではこの「過度な美化」現象を揶揄するミーム(画像ネタ)が飛び交い、ちょっとした騒動になっています。一体何が起きているのでしょうか?
NVIDIA DLSS 5が引き起こす「過度な美化」騒動
ゲーミングPCの世界で、グラフィックカードの性能を最大限に引き出すNVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)技術は、今や欠かせない存在となっています。しかし、先日発表された最新バージョン「DLSS 5」を巡っては、その効果に疑問符が投げかけられています。
多くのプレイヤーからの報告によれば、DLSS 5を有効にすると、ゲームキャラクターの顔や体つきが不自然に「美化」され、まるで別人のようになってしまう現象が発生しているとのこと。これに対し、X(旧Twitter)などのSNSプラットフォームでは、この「過度な美化」を皮肉るミーム画像や動画が多数投稿され、ゲーム開発者たちも絵文字やスタンプ形式でこの事態を揶揄する動きを見せています。公開されたNVIDIAのプロモーション動画内でも、キャラクターの顔が不自然に変化しているように見える点が指摘され、一般ユーザーからの不満の声は高まる一方です。
ゲームアートの根幹を揺るがす技術か?専門家の見解
この騒動に対し、Massive Damage Inc.のアートディレクターであるブライアン・シムチェック氏は、より踏み込んだ見解を示しています。
開発者が語る「アート表現の逸脱」
シムチェック氏は、「NVIDIAの開発意図は理解できる」と前置きしつつも、現在のゲーム開発における技術変革に言及しました。現代のレイトレーシングやパストレーシングといった最新技術は、かつてゲームの視覚スタイルを特徴づけていた「テクスチャテクニック」や「ベイクドライティング」といった伝統的な手法を徐々に置き換えつつあると説明します。
「NVIDIAは、本質的な問題点を迂回し、技術を強引に推進しようとしているように見えます。しかし、このアプローチが多くの予期せぬ結果を生み、見る者に不快感を与えているのです」とシムチェック氏。彼はさらに、「これはゲームのアートクリエーションの本来の意図から完全に逸脱しており、私を不安にさせます」と懸念を表明しました。
具体的な例として、あるゲームに登場する「Grace」というキャラクターを挙げました。このキャラクターは特定のビジュアルイメージでデザインされたにもかかわらず、DLSS 5を適用すると顔や髪の特徴が明らかに変化してしまうとのことです。「この効果はまるで、Instagramでフォロワーが10万人を超えるアカウントのプロフィール画像を1万枚集めて平均化したような、平板で画一的なビジュアルに仕上がってしまうのです。」と、その効果を厳しく批判しました。
シムチェック氏は、開発者がこの技術の効果を自主的に制御できることの重要性を強調しています。かつてFromSoftwareが『Demon’s Souls Remake(デモンズソウル リメイク)』のアートディレクションに不満を抱いた事例にも触れ、「本来公式の視覚表現として意図された機能が、予期せぬ変更を受ける事態には、細心の注意を払うべきです」と警鐘を鳴らしました。
まとめ
NVIDIAのDLSS技術は、パフォーマンス向上と高画質化を両立させる画期的なものとして、多くのゲーマーに支持されてきました。しかし、今回のDLSS 5における「過度な美化」問題は、単なるバグ以上の、ゲームのアート表現の根幹に関わる課題を浮き彫りにしています。AIによる超解像技術が進化する中で、開発者のクリエイティブな意図を尊重し、それを損なわないような制御機構が、今後より一層求められることになるでしょう。日本のゲーム開発者やプレイヤーにとっても、この動向は他人事ではありません。NVIDIAがこの問題にどのように対応し、技術とアートのバランスをどのように取っていくのか、今後の動向が注目されます。
元記事: gamersky
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