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中国ダンスゲーム「QQ炫舞」が示す「見られたい」文化

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中国で18周年を迎えようとしている国民的オンラインダンスゲーム「QQ炫舞(QQダンス)」。広州で開催されたイベント「炫舞節」では、プレイヤーたちの熱気と、ゲームが単なる娯楽を超えて「自己表現」や「社交の場」として深く根付いている現状が垣間見えました。「誰もが見られたいと願う」。そんな普遍的な人間の欲求が、このゲームの中でどのように満たされているのか。中国のオンラインゲーム文化の深層に迫ります。

往年の人気ゲーム「QQ炫舞」が紡ぐ物語

中国テンセントが運営するオンラインダンスゲーム「QQ炫舞」は、来年にも18周年を迎える長寿タイトルです。筆者は今回、広州で開催された大型イベント「炫舞節(Xuanwu Festival)」に参加し、その独特の世界観とプレイヤーコミュニティの深さに触れることになりました。

懐かしのネット小説から見えたゲームの魅力

筆者が初めて「QQ炫舞」に触れたのは、今から約10年前の2015年か2016年頃に読んだネット恋愛小説『〈QQ炫舞〉之猎爱大神』でした。ヒロインがゲーム内で一方的に恋人から「離婚」され、その後「Lv7の紫ドリルプレイヤー」という高ステータスの男性と出会うという、当時のオンラインゲーム恋愛小説にありがちな、ある種「古臭い」展開です。しかし、そこには作者がゲームに傾倒していたからこそ描けた、当時の「QQ炫舞」の世界観が鮮やかに息づいていました。部屋の装飾、華やかなアバターの服装、そして「名刺(プロフィールカード)」の描写からは、ゲームに対する真摯な熱意が伝わってきます。小説の中では、「浅い緑の背景に翠の縁取り、そこに立つイケメンの少年は白い羽の翼を持ち、光を放つ白い礼服を身につけ、銀色の髪型は『願望ランキング』で1位を獲得している」と、名刺の細部までが愛情たっぷりに描かれていました。

10年で進化した「名刺」が示す自己表現の場

そして2025年。イベント会場で、「QQ炫舞」シリーズ総発行プロデューサーの姜涛氏が筆者に見せてくれた『QQ炫舞手游(モバイル版)』の最新プレイヤー名刺は、当時の描写をはるかに超える「美しさ」と進化を遂げていました。きらびやかな衣装や髪型はもちろん、複雑な3Dの立体シーン、人物のポーズ設定、さらには2人でのインタラクションまで可能で、ほぼ全てのパーツがカスタマイズできます。まるで芸術作品のような精緻な3Dアバターが、幻想的なドレスを身につけ、古城を背景に優雅で複雑な動きを見せ、縁取りにはバラの花びらが舞い散るようなエフェクトまで施されているのです。

姜涛氏は、「名刺はゲーム内で非常に重要な『外見表現機能』です」と語ります。「これは一種の社交的な姿勢と言えます。ゲーム内で仲間を探す際、まず相手の名刺を見るのが一般的です。プレイヤーはゲーム内で『こうありたい』と願う姿を表現しており、これはゲーム世界における社交的アイデンティティなのです。そのアイデンティティは、あなたの好み、情報、さらには審美眼を直接的に伝えます。だからこそ、私たちはこのシリーズの核となる価値を『審美実現』と呼んでいるのです」。そして「誰もが見られたいという欲求を満たす必要があります。服装が最も直接的ですが、全てはプレイヤーの『個性化表現』から始まります」と、ゲームが提供する自己表現の重要性を強調しました。

熱狂の「炫舞節」で見つける、もう一人の自分

イベント会場は、屋外に広がる広州琶醍(パァタイ)と屋内の美術館を合わせた大規模なものでした。屋外はまるでオープンエアのダンスフロアのようで、大音量の音楽と光が溢れ、様々なプレイヤーが交流し、ダンスし、語り合っていました。中にはゲームのチャット画面を真剣に見つめる男性や、メッセージボードに友人たちの名前を連ねて「友情永遠」と書き残す女性の姿も見られました。公式NPCはピンク色のスーツに巨大なディスコボールを頭に乗せ、多くの参加者が彼との記念撮影を楽しんでいました。ピンク色の髪に唇や耳にピアスを施し、紫のタンクトップを着た男性がゲームについて語り合ったり、ロングブーツ、ベレー帽、ストライプ、レオパード柄といった「ミレニアム世代」を思わせるファッションに身を包んだ女性たちが鏡に向かってポーズを取ったりと、参加者たちは思い思いのスタイルでイベントを楽しんでいました。

「見られたい」欲求と「審美実現」の追求

もちろん、もっと地味で物静かなプレイヤーもいました。ダンスフロアの隅で遠くから眺めている人たちもおり、注目されると少し戸惑うような表情を見せることもありましたが、イベント全体のリラックスした雰囲気と、途切れることのない馴染み深い音楽が、そうした人々をも包み込んでいるようでした。広場の中央で参加者たちが一体となってダンスを始めると、最初は控えめに見えたプレイヤーたちも、徐々に輪の中に加わっていく姿が印象的でした。ここには、「誰もが見られたい、認められたい」という普遍的な欲求が満たされる場が確かに存在していたのです。

世代を超えて愛される「QQ炫舞」の絆

会場では、人気アイドルグループR1SEの劉也氏がライブ配信を行う一幕もありました。彼はきらびやかな白いスーツ姿で、まるでゲームキャラクターのようなオーラを放っていました。実は彼も長年の「QQ炫舞」プレイヤーだそうです。そんな劉也氏のファンである小蘇さん(29歳)と出会いました。彼女は隣の都市から初めてイベントに参加したそうで、「こんなに大規模なイベントは初めてで、とても新鮮です。普段はインドア派でダンスも苦手ですが、ゲームは2014年からずっとプレイしています。毎日ログインして手先の練習をするのが好きなんです。もう『情熱』みたいなものですね」と語ってくれました。

屋内の会場では、各フロアが小規模な空間に分かれており、DJパフォーマンスやドリンクサービスが提供されていました。ここでは「内向的」なプレイヤーが意外と多いことに気づかされます。入場時に「私はI人(内向型):話しかけないで」と「私はE人(外向型):話しかけて」という性格を表すステッカーを選べるようになっていたのが象徴的です。ゲーム内でも、特定の服装の選択、スタイルの組み合わせ、あるいは所属する舞団(ダンスチーム)や家族(ギルド)を通じて、プレイヤーは自己を表現し、同じような感性を持つ仲間を見つけ出します。まさに「QQ炫舞」は、そのプレイヤーたちに「選ばれた」ゲームであり、共通の「自己表現」を通じてプレイヤー同士の強い絆が生まれる場なのです。

まとめ:ゲームが育む「自己表現」と「コミュニティ」の未来

「QQ炫舞」のイベントは、単なるゲームの祭典ではなく、プレイヤー一人ひとりが「見られたい」という根源的な欲求を満たし、自己の「審美実現」を追求する場でした。ゲーム内のアバターカスタマイズから、リアルイベントでの交流まで、多層的な自己表現の機会が提供され、それが強固なコミュニティ形成へと繋がっています。中国のオンラインゲームが持つ、ユーザーの心理に深く寄り添う設計思想は、今後のゲームデザインやコミュニティ運営において、日本を含む世界の市場に大きな示唆を与えるでしょう。デジタル空間での自己表現と、そこから生まれるリアルな繋がりは、ますます現代社会において重要な価値を持つことになるに違いありません。

元記事: chuapp

Photo by Yan Krukau on Pexels

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