約7年前、NVIDIAは革新的なTuringアーキテクチャを発表する直前、次世代グラフィックカードシリーズの名称を一時的に「GTX 20」から「RTX 20」へと変更し、レイトレーシングという新たな時代の幕開けとなりました。しかし、この名称変更の裏で、幻の「GTX」プレフィックスを冠する試作カードが密かに製造され、一部が流出。今回ついに、GTX 2070やGTX 2080に続き、シリーズのフラッグシップとなるはずだった「GTX 2080 Ti」のプロトタイプが初めて姿を現し、大きな話題を呼んでいます。
幻の「GTX 20」シリーズ、その痕跡
NVIDIAが「GTX 20」シリーズから「RTX 20」シリーズへと名称を変更した背景には、レイトレーシング(光線追跡)技術とAI処理を担うTensorコアを統合したTuringアーキテクチャの登場がありました。この新しい時代を象徴するため、「RTX」という新たなブランド名が採用されたのです。
しかし、名称変更が決まる前に製造された少数の「GTX」ブランドのプロトタイプは、NVIDIAの製品開発史における貴重な遺産となりました。これまでにも、未発表のGTX 2070やGTX 2080といったエンジニアリングサンプルが、コレクターや一部のルートを通じて流通していることが報告されていました。
Redditで発見されたプロトタイプの詳細
今回、この幻のシリーズの頂点に位置するはずだったGTX 2080 Tiのプロトタイプが、Redditユーザー「SubstantialMark959」氏によって公開されました。
SubstantialMark959氏は、「友人が修理のためにこれをくれたのですが、画面が表示されませんでした。調べてみたら、ただのエンジニアリングサンプルだったんです。このカードの存在がオンラインで知られたのは、今が初めてのようです。私が発見した時には手遅れで、様々なRTX 2080 TiのBIOSを試しましたが、どれも成功しませんでした。もし修理できなければ、本棚の飾りになってしまうでしょうね」とコメントしています。
さらに、同氏が提供したBIOSのスクリーンショットからは、このグラフィックカードの開発日が2018年7月15日頃であること、ボード番号がPG150、SKUが30であることが確認できます。これは、後に発表されたRTX 2080 Tiの仕様と完全に一致しており、最終的に製品名が変更される前の、まさにNVIDIA社内での開発バージョンであったことを強力に裏付けています。
修理の試みと残された課題
SubstantialMark959氏は、この貴重なプロトタイプを動作させるべく、複数のRTX 2080 TiリファレンスBIOSのフラッシュを試みましたが、残念ながらすべて失敗に終わったとのことです。これは、プロトタイプと量産品の間でSubIDや回路定義に何らかの変更が加えられている可能性が高いことを示唆しています。
技術的には、非対応のBIOSを強制的にフラッシュすることも可能ですが、そのプロセスは非常に複雑で、専門的な知識と技術が求められます。一般的なユーザーが手軽に行える作業ではないため、このGTX 2080 Tiプロトタイプが再び動き出すには、さらなる研究と高度な技術が必要となるでしょう。
まとめ:PC史に刻まれた幻の遺産
今回のGTX 2080 Tiプロトタイプの発見は、NVIDIAの製品開発における知られざる側面を垣間見せてくれる、非常に興味深いニュースです。製品名変更の舞台裏にあった開発段階のカードが、7年の時を経て日の目を見たことは、PCパーツ愛好家やテクノロジー史に興味を持つ人々にとって、大きなロマンを感じさせる出来事と言えるでしょう。
修理が困難な状況ではありますが、このカードが物理的に存在するという事実自体が、NVIDIAがレイトレーシング時代へと舵を切る直前、どのような試行錯誤を重ねていたのかを示す、極めて貴重な歴史的資料となります。今後のPCパーツ市場や技術トレンドに直接的な影響を与えるものではありませんが、過去のイノベーションの軌跡を辿る上で、見過ごせない発見であることに間違いありません。
元記事: gamersky












