パソコンやスマートフォンのストレージに欠かせないNAND Flashの価格が、衝撃的な急騰を見せています。2025年第1四半期以降、その価格はなんと累積で246%も上昇し、特に直近60日間で約7割もの大幅な値上がりが集中。この異常な状況に対し、ストレージ業界の巨人Kingstonの幹部は「29年のキャリアでこれほど急峻な価格カーブは見たことがない」と警鐘を鳴らしています。NAND FlashはSSD生産コストの約9割を占めるため、この値上げは最終的に私たち消費者の手に届く製品価格に避けられない影響を与えるでしょう。今、私たちがシステムをアップグレードする最適な時期なのか、それとも市場の動向をもう少し見守るべきなのか、難しい選択が迫られています。
ストレージ価格、過去に例を見ない急騰の背景
NAND Flash価格、驚異の246%上昇とKingstonの警告
最新の業界報告によると、ストレージモジュール業界は前例のない変動期を迎えています。NAND Flashの価格は2025年第1四半期から累積で246%も急騰しており、このうち約7割の上昇が直近の60日間に集中しているとのことです。
この状況に対し、世界的なストレージメーカーKingstonのデータセンターSSD事業責任者であるキャメロン・クランドール氏は、業界インタビューで率直に「29年間のキャリアでこれほど急峻な価格上昇は経験したことがない」と述べました。彼はNAND FlashがSSD生産コストの約9割を占めることを指摘し、「製造メーカーはもはやこのコスト上昇を自社で吸収できず、値上げの波は最終的に消費者に転嫁されるのは避けられない」と強調しています。
長期的な上昇サイクルと供給抑制のジレンマ
クランドール氏の分析では、現在のストレージ市場は長期的な上昇サイクルにあるとされています。しかし、半導体チップの原製造メーカーは、AI需要が継続的に旺盛であるにもかかわらず、増産に対して非常に慎重な姿勢を崩していません。これは、技術ロードマップの不確実性があるため、企業が新たな製造工場(ファブ)の建設にリスクを冒したがらないことが主な理由であり、結果として供給不足の状況をさらに悪化させています。
Kingstonはグローバル最大のファブレスストレージモジュールメーカーであり、その市場予測は業界の方向性を示す重要な指標となります。データによれば、同社は2024年にDRAMモジュール市場で81%、NANDモジュール市場で36%のシェアを誇っています。コンシューマー向け市場からのMicron撤退という動きに対しても、クランドール氏はKingstonがその市場空白を埋め、チャネル領域を深耕し続けると明言しました。
業界各社の予測と消費者の選択
各社が予測する値上げの継続と長期化
Kingstonの見解は、他の主要メーカーの予測とも一致しています。Phisonの会長は値上げサイクルが2026年上半期まで続くと予測し、InnoGrit Technologyは現在のストレージの需給ギャップがすでに200%に達していると指摘しています。
さらに、金融・産業界の予測データもこの緊迫した状況を裏付けています。スイスの金融大手UBSの分析では、今年の第4四半期にはDDR契約価格が前期比35%上昇、NANDは20%上昇すると見られています。さらに2026年第1四半期にはそれぞれ30%と20%の上昇が続き、DRAMの供給不足は2027年第1四半期まで及ぶ可能性が示唆されています。そして、SK hynixの内部文書は、需給の不均衡な状況が驚くべきことに2028年まで続くと予測しています。
このような予測を受けて、OEMメーカーは契約発注量を増やしていますが、独立系グラフィックカードメーカーSapphire Technologyの広報担当であるエドワード・クリスラー氏は、「過剰な在庫確保は将来的に大量の注文キャンセルにつながる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
今買うべきか、待つべきか?専門家の見解の相違
市場の買い時については、専門家の間で意見が分かれています。クリスラー氏は、PCゲーマーに対してパニック買いを一時的に控えるよう助言しています。彼はハードウェアのアップグレードサイクルは通常3〜4年であり、現在の市場の不確実性は今後6〜8ヶ月で緩和される可能性があると指摘します。
これに対し、ストレージメーカーは一貫して値上げの継続を予測しており、この矛盾はサプライチェーン全体の透明性不足を浮き彫りにしています。チップの原製造メーカーを除いては、市場参加者全員が実際の需要と供給のギャップを正確に判断するのが難しい状況です。
このような需給を巡る駆け引きの中で、私たち消費者は難しい選択を迫られています。高騰した価格を受け入れてすぐに機器をアップグレードするのか、それとも市場の調整を待つのか。今後の動向が注目されます。
まとめ
今回のNAND Flash価格の急騰は、PCやスマートフォン、データセンターなど、私たちのデジタルライフを支えるあらゆる分野に影響を及ぼす可能性があります。特に、Kingstonのような業界大手が未曽有の状況と警鐘を鳴らし、今後の値上げ継続を予測していることは、ストレージ製品の購入やシステムのアップグレードを検討している方々にとって、非常に重要な情報です。
短期的には価格上昇が続く可能性が高いため、早めの購入を推奨する声もありますが、過度な買い込みが将来的な価格調整を引き起こす可能性も指摘されており、市場は複雑な様相を呈しています。日本では特に、円安の影響も相まって、海外からの輸入に頼るストレージ製品の価格はさらに上昇圧力を受けることも考えられます。
いずれにせよ、当面はストレージ製品の価格動向から目が離せない状況が続くでしょう。購入を検討する際は、最新の情報を常に確認し、ご自身のニーズと予算に合った最適なタイミングを見極めることが賢明です。
元記事: pcd
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