「アサシン クリード シャドウ」初の大型ストーリーDLC「淡路の爪」が、本体ストーリーのその後を描く形でリリースされました。主人公の奈緒江が母親の生存を知り、弥助と共に日本の淡路島へと向かう新たな冒険が幕を開けます。本作では、壮大な自然景観や歴史的建造物がゲーム内で見事に再現され、まるで電子観光シミュレーターのような没入感を提供。一方で、ゲームプレイの革新性には課題も残るものの、芸術性の高い「人偶戯(人形劇)」の演出や、本編の空白を埋める王道ストーリーは注目に値します。本記事では、その魅力と課題を深掘りします。
美麗なる淡路島を探索:ゲームで巡る日本の絶景
DLC「淡路の爪」の舞台となるのは、日本の瀬戸内海に浮かぶ淡路島です。古くから本州と四国を結ぶ要衝として栄え、起伏に富んだ山々や平原が織りなす壮大な自然、そして独自の文化が息づくこの島が、ゲーム内で驚くほど忠実に再現されています。霧深い森の探索、洲本城の荘厳な眺め、歴史ある神社、賑やかな漁村や港、そして実在する洲本城や岩屋城の壮大な廃墟など、次世代機グラフィックで描かれる淡路島の情景は、まさに息をのむ美しさです。
新たな探索要素とアクション
オープンワールド探索は「シャドウ」の核となる要素ですが、淡路島はその美しさから、シリーズの「神話三部作」(オリジンズ、オデッセイ、ヴァルハラ)以降の新たな魅力、「電子観光シミュレーター」としての側面を強く打ち出しています。島を探索する中で、「山水墨絵」と呼ばれる淡路島の特色ある景観を描く新コンテンツも登場します。特に印象深いのは、鳴門海峡の南西に位置する鳴門の渦潮を巡るシーンです。奈緒江がフックアックスを使い、高低差のある岩場を軽快に駆け巡る様は、「アサシン クリード IV ブラック フラッグ」を彷彿とさせる、スリリングな体験を提供します。また、奈緒江には新武器「長棒」が追加され、3種のスキルと構えを使い分けることで、より多彩な戦闘が可能です。弥助の既存武器にも新たなスキルが加わり、プレイスタイルの幅が広がります。しかし、これらを除けば、コアとなるゲームプレイの大きな革新性は見られませんでした。
「三族一派」との対峙:物語と演出の光と影
DLCのストーリーは、奈緒江と弥助が淡路島で新たな敵対勢力「三族一派」と対峙するところから始まります。首領は聖殿騎士の「木村由香里」。彼女は神器を追って淡路島を占領し、潜入していた奈緒江の母親・紬結を捕らえていました。DLCの導入部分では、この由香里がいかにして淡路島で勢力を築き、紬結を捕らえたのかが、ある特別な演出で描かれます。
心を奪われる「人偶戯(人形劇)」の演出
ゲーム開始直後、摂津で体験する「人偶戯(人形劇)」形式のステージは、本作DLCで最も評価されるべき芸術的な部分です。2.5D横スクロール形式のシンプルなゲームプレイでありながら、浮世絵風の背景と3Dプラットフォームが見事に融合。由香里が桜の下を通り過ぎると花びらが舞い、その後のシーンでは時間が経過して手下の視点に切り替わるなど、時間の流れや登場人物の関係性を繊細かつドラマチックに表現しています。日本の美意識とゲームデザインが融合したこのステージは、息をのむような視覚体験を提供し、プレイヤーに強い印象を残すでしょう。
ボス戦の評価と課題
淡路島に入ると、由香里の手下「三族一派」が至るところに配置されており、毒や撒菱といったトラップも仕掛けられています。これは強制的に戦闘に巻き込まれる機会を増やし、移動中の不快感に繋がる可能性もあり、一部では議論を呼ぶデザインです。約4時間のメインストーリーのほとんどが、敵の情報を集め、ひたすら移動し、戦闘を繰り返す展開となります。
「人偶戯」以降で特筆すべきボス戦は、物語冒頭の「紬結救出」、終盤の「由香里との決戦」、そして奈緒江と「野分」の戦いの3つです。特に野分とのボス戦は、偽物と罠が張り巡らされた霧深い沼地で、音や「鷹の目視覚」を頼りに真の野分を探し出してステルスキルを狙うという、ユニークなデザインが特徴です。しかし、DLCの最適化不足により、PCスペックが低いプレイヤーはフレームレートの低下に悩まされ、暗い環境と相まって罠に引っかかりやすく、ストレスを感じる場面が散見されました。由香里との最終決戦も難易度設定によって評価が分かれ、直前のステージが短く、唐突にボス戦に入る印象を与えました。また、弥助が関わる「留治」との任務は、広大なマップに点在する14人の手下を事前に全て倒す必要があり、その過程は単調で退屈に感じられるかもしれません。
奈緒江の物語としての「王道」
DLCのストーリー全体は、まさに「王道」と呼べるシンプルな構造です。奈緒江の母親を救い、悪役を倒し、神器を取り戻すという明確な目標が掲げられています。物語は主に奈緒江を中心に展開し、弥助は主に戦闘でのサポート役としての役割が大きく、奈緒江の成長や感情移入を深める内容となっています。奈緒江と紬結の対話シーンも多く、奈緒江の視点で物語を追うことで、より深い没入感が得られるでしょう。この王道的な展開は、本編で残された奈緒江の空白を埋め、今後のシリーズの物語に繋がる重要な役割を果たしています。
まとめ:次作への架け橋となるDLC
「アサシン クリード シャドウ」DLC「淡路の爪」は、本編の物語を受け継ぎ、次へと繋がる役割を果たす一方で、わずかながら革新も試みた意欲作と言えるでしょう。日本の美しい淡路島を見事に再現したその世界は、「電子観光シミュレーター」として高い没入感を提供します。特に「人偶戯」の演出は、芸術性とゲームデザインの融合が生み出した傑作であり、一見の価値があります。しかし、ゲームプレイの革新性に欠ける点や、一部のボス戦における最適化不足や単調なタスクといった課題も浮き彫りになりました。
それでも、奈緒江の物語を深め、本編では語られなかった部分を補完し、今後のシリーズ展開への期待感を高めるという点では、重要な位置を占めるDLCです。日本のプレイヤーにとって、馴染み深い淡路島をゲームで巡る体験は、きっと特別なものとなるはずです。
元記事: chuapp
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