テクノロジー界の巨人イーロン・マスク氏が、インドで開催されたグローバルフォーラムで、大胆な未来予測を披露し、世界中で大きな注目を集めています。投資家ニキル・カマス氏が司会を務めるポッドキャスト番組「WTF is」の中で、マスク氏はAI(人工知能)とロボット技術の指数関数的な進化が、人類社会の根幹をどのように変革するかについて深く語りました。
彼の予測によれば、今後10年から15年の間に、私たちの「仕事」に対する認識が劇的に変わるかもしれません。単なる生活の糧ではなく、個人の選択肢、あるいは趣味のような存在へと変容するというのです。さらに、マスク氏は物質的な豊かさが極限に達し、全人類が高水準の収入を得る「ユニバーサル高所得(UHI)」時代が到来すると予言しました。これは一体どのような未来なのでしょうか?
マスク氏が描く未来像:仕事は「趣味」になる?
10〜15年後の働き方
マスク氏は、AIとロボットが大部分の労働を代替することで、人間は「仕事」から解放されると主張します。彼は「誰かが野菜を自分で育てることを選ぶように、未来の仕事もまた選択肢の一つとなる」と例え、仕事をするもしないも個人の自由になる世界を描写しました。「参加することも、完全に他の追求に専念することもできる」と語るマスク氏の言葉は、これまでの「働くことが生きること」という概念を根本から覆すものです。
都市のあり方が変わる
もう一つの興味深い予測は、都市集中の必要性が失われるという点です。インドの急速な都市化に言及しつつ、マスク氏はリモートワーク技術が成熟し、物質生産が完全に自動化されれば、人々は職を求めて都市へ移住する必要がなくなると指摘しました。「未来社会は真の意味で地理的に脱中心化される」と彼は強調し、職場という概念が消滅し、創造性を刺激するあらゆる場所が仕事の場となると予言しています。
UBIからUHIへ:全人類高所得時代の到来
「ユニバーサル高所得(UHI)」とは
マスク氏は、既存のUBI(ユニバーサルベーシックインカム:最低限の生活を保障する所得)ではなく、「ユニバーサル高所得(UHI)」という概念を提唱しました。これは、技術進歩によって膨大な富が創出され、その恩恵によって誰もが最低限の生活レベルをはるかに超える収入を得られるようになるという考えです。彼は「機械が90%の仕事をこなすとき、人類は90%の余暇を楽しむべきだ」と述べ、これは受動的な所得分配ではなく、技術革新が生み出す富の自然な副産物であると説明しました。
「欲しいものが手に入る世界」
今回の対話で最も目を引いたのは、マスク氏が描いた物質的な豊かさの究極の姿です。「あなたが特定の製品やサービスを明確にイメージできるのであれば、技術システムがそれを現実のものにできる」という「需要即供給」の世界です。まるで魔法のようなこのビジョンは、議論の余地があるものの、聴衆の想像力を大いに掻き立てました。このユートピア的な未来が実現可能か問われた際、マスク氏は「歴史上、全ての技術革命は、それが現実になるまで幻想と見なされてきた」と答え、その可能性を力強く示唆しました。
まとめ:議論を呼ぶ未来予測、日本への示唆
イーロン・マスク氏のこれらの予測は、インドのテック業界だけでなく、グローバルに未来の働き方や社会のあり方について活発な議論を巻き起こしています。彼の描くビジョンを、究極のテクノロジー楽観主義と捉える支持者がいる一方で、社会格差の拡大を懸念する批判的な意見も存在します。
しかし、どのような立場を取るにせよ、この対話がテクノロジーと社会の関係性を再考する新たな視点を提供したことは間違いありません。日本においても、少子高齢化や労働力不足といった課題を抱える中で、AIやロボットによる社会変革は避けて通れないテーマです。マスク氏の提言は、日本の未来の働き方、都市計画、そして社会保障制度のあり方について、私たちに深く考えるきっかけを与えてくれるでしょう。技術の進化がもたらす未来を、どのようにデザインしていくべきか、今こそ真剣に議論する時なのかもしれません。
元記事: pcd
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