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「KOF」草薙京の再認識:ゲーセンの不良から開発現場の主人公へ

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中国のゲームメディア『触楽』が2025年9月24日に公開したコラム「触楽怪話」より、一人のゲーマーの人生とキャラクター「草薙京」の認識が交差する興味深い記事をご紹介します。少年時代のゲームセンター体験から、ゲーム開発者としてKOFのIPに深く関わる中で、彼の草薙京へのイメージがどう変化していったのか。キャラクターの魂とストーリーテリングの重要性を問う、開発現場の裏側まで描かれた必読の内容です。

少年時代の衝撃と「不良」のイメージ

筆者は90年代に地方都市の郊外で育ち、幼少期の経験からゲーム内の戦闘要素には特別な直感を抱いていたといいます。そんな彼が初めて『KOF』(拳皇)と出会ったのは、小学校の帰り道にあったゲームセンターでした。当時幼かった彼も、画面に映る光と影に吸い寄せられるように店内へ。

そこで目にしたのは、『KOF』シリーズの主人公、草薙京を操るプレイヤーの姿でした。豪快なアクション、拳が肉を捉えるような打撃感、そして目に焼き付くような派手なスキルエフェクト。コントローラーを激しく揺らし、ボタンを叩きつけるプレイヤーの熱中ぶりに、観客である筆者も引き込まれていきました。特に印象的だったのは、草薙京がCPUにボコボコにされた際、プレイヤーのお兄さんが方言で激しい罵声を浴びせていた光景だったそうです。

しかし、時の流れを忘れて見入っていた筆者は、親に探し出され、平手打ちを食らってしまいます。この一件以来、ゲームセンターは「不健全」の象徴となり、筆者の中では草薙京も「とんでもない不良少年」というイメージが定着してしまいました。SNKが描く草薙京のイメージも、当時の筆者の認識と大きくかけ離れていなかったようです。

開発現場での再会とキャラクターの再認識

大学卒業後、筆者はひょんなことからゲーム会社の開発部門に入社し、KOFに関連するIPプロジェクトに携わることになります。この時、彼は草薙京に対するこれまでの偏見を正し、その真の魅力を認識する機会を得ました。草薙京は正義感に溢れ、毒舌ながらも自信家。一見気まぐれに見えても、いざという時には非常に頼りになるキャラクターです。さらに「万年留年生」という設定は、多くのプレイヤーに親近感を与えます。まさに「物語を語るのに非常に便利な人物」だと筆者は再認識しました。

しかし、当時のスタジオでは「物語を語る」ことは重視されていませんでした。MMO(多人数同時参加型オンラインゲーム)の典型的な手法が主流で、プレイヤーを途切れない日常のルーティンに引き込み、ソーシャル要素やチャレンジコンテンツを通じて課金を促すことに注力していたのです。キャラクターのストーリーが持つ価値は、ほとんど顧みられることがありませんでした。

当時のスタジオには、神秘的な経歴を持つチーフシナリオプランナーN氏がいました。同僚の多くは彼の素性を知りませんでしたが、どんなリストラの波も乗り越えてきたことには皆が気づいていました。筆者はN氏が担当するゲーム脚本の講義に参加し、シナリオプランナーという仕事の奥深さを知ります。誰もが中国語を話せるゆえに、文章作成の技術は、その実力がピンキリであることを痛感したそうです。

「巨作」プロジェクトと衝撃の没シナリオ

時が経ち、プレイヤーがゲームコンテンツに求める水準は高まり、ついにN氏が重責を任される時が来ます。スタジオのトップは、N氏のストーリーテリングの手腕に賭け、選りすぐりの開発精鋭とKOFというエースIPを投入し、これまでに培った最も成熟したプロジェクト経験を活かした「巨作」を生み出すことを決意します。こうして、筆者のお気に入りのキャラクターである草薙京は、N氏のペンによって新たな物語を紡ぐことになったのです。

プロジェクトの参加者である筆者も、完成したゲームの物語については多くを語りませんが、結果についてのみ触れています。プロジェクト公開から1年後、筆者は動画を通じてゲームのストーリーを大まかに理解しました。そこで描かれた草薙京の姿は、彼のこれまでの印象をある程度覆すものでした。かつては洒脱で自信に満ち、口達者でありながらもいざという時に頼れる強者だった草薙京が、このゲームではより冷徹で傲慢な印象を与えるキャラクターとして描かれていたのです。開発チームが彼の新たな可能性を探求したかったのかもしれません。

しかし、筆者が後に耳にした衝撃的な没シナリオは、IP作品におけるキャラクター造形の難しさを物語っています。それは、「……道路中央で発生した交通事故で、恋人の小雪が草薙京をかばって重症を負い、病院の集中治療室に運ばれる。生き残った草薙京はその重い現実を受け入れられず、以後、暴走行為にのめり込む……」というものでした。

この話を聞いた筆者は、このシナリオが最終的にゲームに採用されなかったことに、心底安堵したと振り返っています。

まとめ

『KOF』の草薙京は、一人のゲーマーの少年時代に強烈なインパクトを与え、その後の人生においても特別な存在であり続けました。筆者の個人的な思い出から、ゲーム開発の舞台裏、そしてIP作品におけるキャラクター造形とストーリーテリングの難しさまでが凝縮されたこのコラムは、ゲームを愛する日本の読者にも深く共感を呼ぶのではないでしょうか。

単なるキャラクターへの愛に留まらず、IP作品の「魂」とも言えるストーリーテリングがいかに重要であるか。そして、キャラクターが持つ本質的な魅力をどのように守り、発展させていくべきか、改めて考えさせられる内容でした。今後も、作り手のキャラクターへの敬意と、プレイヤーの期待が融合するような作品が生まれることを期待せずにはいられません。

元記事: chuapp

Photo by Lukas on Pexels

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