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中国テック大手「美団」2025年会計報告:激化する競争とAI戦略の全貌

artificial intelligence brain tech competition - 中国テック大手「美団」2025年会計報告:激化する競争とAI戦略の全貌

中国の巨大テック企業「美団(Meituan)」は3月26日、2025年第4四半期および通期の業績を発表しました。年間売上は順調に成長したものの、即時小売業界の熾烈な競争、通称「内巻(過当競争)」の影響を受け、純損失を計上。しかし美団は、このような厳しい事業環境下でも「即時小売+テクノロジー」戦略を堅持し、AIや国際事業への巨額な投資を継続しています。この記事では、美団が直面する課題と、未来を見据えたその大胆な戦略に迫ります。

激化する競争と美団の戦略転換

年間売上は成長も、国内事業は苦戦

美団の2025年会計報告によると、年間収入は3649億元(約7.8兆円)に達し、前年比8%増と堅調な伸びを見せました。しかし、即時小売業界における「内巻式」競争、つまり極度の価格競争とサービス合戦が収益を圧迫。結果として年間純損失は234億元(約5000億円)、営業損失は170億元(約3650億円)となりました。特に、中核である国内商売部門(フードデリバリーなど)の営業損失は69億元(約1480億円)を計上しています。

これに対し、美団の王興CEOは「外部環境がどう変化しようとも、美団の戦略的方向性は常に明確である」と述べ、「『反内巻』を断固として支持し、テクノロジーイノベーション、供給アップグレード、エコシステム共創を通じて、ユーザーと加盟店により良いサービスを提供し、『より良い食、より良い生活』という企業の使命を果たす」と強調しました。これは、単なる価格競争からの脱却と、より質の高いサービス提供へのシフトを目指す美団の意思を強く示しています。

即時小売の優位性維持と新事業の躍進

厳しい競争環境にもかかわらず、美団は即時小売分野で堅調なGTV(流通総額)市場シェア60%以上を維持し、中高価格帯の市場では圧倒的な優位性を保っています。年間アクティブユーザー数とユーザーの消費頻度も過去最高を記録しました。

また、新たな成長エンジンとして期待される「新事業」部門は、年間収入が1040億元(約2.2兆円)に達し、前年比19%増と力強く成長しています。生鮮品Eコマースの「小象超市(Meituan Maicai / Meituan Instashopping)」は全国39都市に進出し、商品力で業界をリード。国際事業であるフードデリバリープラットフォーム「Keeta」もグローバル展開を加速。香港市場では地位を固め、第4四半期にはユニットエコノミクスが黒字転換を果たしました。さらに、中東湾岸地域の主要国をカバーし、ブラジルでも事業を展開するなど、新たな市場での成長を確かなものにしています。

AIと無人化技術で未来を切り拓く美団

研究開発への巨額投資

美団は「即時小売+テクノロジー」戦略の中心にAIを据え、AI投資を継続的に強化しています。2025年の研究開発費は260億元(約5600億円)に達し、前年比23%増と過去最高を更新。物理世界(リアルワールド)におけるAI基盤と行動能力の構築に注力しています。

無人配送の進化とAIアシスタントの活用

テクノロジー投資の具体例として、美団は無人機(ドローン)や無人配送車などの技術開発を進めています。2025年末までに国内外で70の無人配送航路を開設し、累計78万件以上の注文を完了。香港のある村では、高齢者向け専用配送航路を開設し、以前は1時間半かかっていた食事の配達時間をわずか10分に短縮しました。また、広州、深圳、上海などの都市では、低空域での医療品配送航路を開通させ、検体や緊急物資、特殊医薬品の迅速な輸送を実現しています。

さらに、美団は自社開発の多モーダル大規模言語モデル「LongCat」シリーズを基盤に、ユーザー向けAIアシスタント「小美(シャオメイ)」と「小団(シャオトゥアン)」を発表。春節期間中には、1億人以上のユーザーが「小団」を通じて飲食や娯楽の計画を立て、1億回以上検証された全国の加盟店情報と13億件のユーザー評価を組み合わせることで、オフライン消費の増加に貢献しました。加盟店向けにもAI経営アシスタントを提供し、340万以上の加盟店がAIツールを活用することで運営コストの削減を実現しています。

まとめ

美団の2025年会計報告は、中国のテック企業が直面する「内巻」という激しい市場競争の現実と、それに対する大胆な対応策を浮き彫りにしました。売上成長と国際展開の成功は評価されるものの、国内事業の収益性は依然として課題です。しかし、美団は赤字覚悟でAIや無人配送といった先端技術への巨額投資を続け、物理世界におけるAIの応用とエコシステムの構築を通じて、未来の「より良い食、より良い生活」というビジョンを実現しようとしています。

この戦略は、単なる価格競争からの脱却だけでなく、テクノロジーによる新しい価値創造を目指す美団の強い決意を示しています。中国市場の動向、特にAI技術の社会実装の加速は、日本のビジネスやテクノロジー業界にとっても、常に注目すべき重要なトレンドと言えるでしょう。

元記事: pconline

Photo by cottonbro studio on Pexels

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