メルセデス・ベンツ中国部門で、初の中国人CEOを務めた段建軍(Duan Jianjun)氏が個人的な理由により退任することが発表されました。彼の在任中、メルセデス・ベンツは中国市場で販売を大きく伸ばし、プレミアムブランドとしての地位を確立しました。しかし、近年は中国の新興EVブランドとの競争激化に直面しており、2024年以降、販売台数と業績に深刻な落ち込みが予測されています。今回のCEO交代は、同社が低迷する中国市場で巻き返しを図る上での重要な局面を意味します。
メルセデス・ベンツ中国、初の中国人CEOが退任へ
2月15日、メルセデス・ベンツ中国は複数の重要な人事異動を発表しました。その中でも注目されるのが、北京メルセデス・ベンツ販売サービス有限公司の総裁兼最高経営責任者(CEO)を務めていた段建軍氏の退任です。同社は、段氏が個人の都合により退任を決断したと公表しています。
後任として、2026年3月1日付で現販売執行副総裁の李徳思(Li Desi)氏が総裁兼CEOに就任する予定です。段建軍氏は、2024年4月30日に任期が満了するまで、円滑な業務引き継ぎを確実にするため、戦略顧問として会社に留まることになっています。
段建軍氏の功績と挑戦
段建軍氏は2013年に北京メルセデス・ベンツ販売サービス有限公司に入社し、販売・マーケティング執行副総裁に就任。2019年には最高執行責任者(COO)に昇格し、そして2023年5月には、メルセデス・ベンツが中国に進出して以来、初の中国人CEOとして総裁兼CEOに就任しました。
彼の在任期間中、メルセデス・ベンツの中国における販売台数は目覚ましい成長を遂げました。2013年の21.8万台から、2020年にはピークとなる77.4万台にまで増加し、中国市場でBMW、Audiといった競合を抑え、トップの座を獲得することに貢献しました。また、彼はドイツ国外で最も包括的な現地研究開発(R&D)体制を構築し、メルセデス・ベンツの技術、製品、サービス全般における現地化を推進しました。さらに、ガソリン車から電気自動車(EV)への戦略的転換の基盤を築き、その後のEV製品展開への道筋をつけました。
しかし、近年、メルセデス・ベンツはBMWやAudiと同様に、中国市場におけるEV化の波と、BYDやNIO(蔚来汽車)、Xpeng(小鵬汽車)といった中国の新興EVブランドとの熾烈な競争に直面していました。
激化する中国EV市場、メルセデスに迫る試練
中国の自動車市場は急速にEVへとシフトしており、この変化は伝統的な高級ブランドであるメルセデス・ベンツにとっても大きな試練となっています。
販売台数と業績の深刻な予測
メルセデス・ベンツ中国の販売台数は、2024年以降、下降傾向にあると予測されています。2024年の販売台数は71.4万台で、前年比6.7%の減少となりました。さらに、2025年には大幅に落ち込み、57.5万台にまで減少すると見込まれています。これは前年比19.3%減となり、過去5年間で最も低い販売台数かつ最大の落ち込み幅となります。
販売台数の低迷と連動して、業績も悪化の一途をたどっています。2024年の売上高は231.4億元(約4,850億円)で、前年比8.5%減。2025年には売上高がさらに落ち込み、165.2億元(約3,460億円)となり、前年比28.6%減という大幅な減少が予測されています。これらの数字は、メルセデス・ベンツ中国が販売台数と業績の両面で、深刻な危機に直面していることを示唆しています。
まとめ:中国市場再編とメルセデス・ベンツの未来
今回のCEO交代は、メルセデス・ベンツが中国市場での競争激化にどう対応していくか、特にEV戦略において重要な転換点となります。中国は世界最大の自動車市場であり、EVシフトの最前線です。この市場での成功は、メルセデス・ベンツのグローバル戦略にとって不可欠と言えるでしょう。
中国の新興EVブランドの台頭は、既存の高級自動車メーカーにとって、従来のブランド力だけでは通用しない新たな時代が到来したことを突きつけています。メルセデス・ベンツが、新しいリーダーシップのもと、どのようにして中国市場での地位を再構築し、EV時代の潮流に適応していくのか、今後の動向が注目されます。これは、グローバルな自動車産業全体の未来を占う上でも、非常に重要な動きとなるはずです。
元記事: mydrivers






