中国江蘇省揚州市が、最先端技術分野への大規模な投資を目的とした「数智電子情報融合産業マザーファンド」を設立し、その運営を担うGP(ゼネラルパートナー)の公募を開始しました。総額23億元(日本円で約480億円)という巨額の資金が、集積回路、電子情報、スマートグリッド、人工知能といった戦略的新興産業に注ぎ込まれる予定です。
この動きは、中国が掲げる「新しい質の生産力」の構築と、産業チェーンの強化を目指す国家戦略の一環であり、日本のテクノロジー企業にとっても無視できない重要な動向と言えるでしょう。
揚州の「数智電子情報」産業ファンド、その全貌
江蘇省と揚州市は、戦略的新興産業の発展を加速させ、新しい質の生産力を生み出す重要な拠点となることを目指し、この特別ファンドを共同で設立しました。
設立の背景と目的
「新しい質の生産力」とは、従来の労働集約型産業から脱却し、イノベーションを核とした高度な技術、データ、環境に配慮した持続可能な生産力を指します。この目標達成のため、江蘇省戦略的新興産業マザーファンド(省級マザーファンド)と揚州市が共同で、今回の「江蘇揚州数智電子情報融合産業特別マザーファンド」を立ち上げたのです。
ファンドの主な目的は、揚州市における戦略的新興産業クラスターの融合発展を推進し、地元の現代産業システムを最適化することにあります。
ファンドの規模と出資構造
この産業特別マザーファンドの総規模は23億元(約480億円)に上ります。その出資構造は以下の通りです。
- 揚州戦新ファンド管理有限公司(GP):0.25億元(約5億円)、全体の1.09%
- 省級マザーファンド:5.75億元(約118億円)、全体の25%
- 揚州市新世代情報技術産業投資ファンド:17億元(約350億円)、全体の73.91%
有限パートナーシップ(LP)形式で運営され、存続期間は15年(投資期間7年、回収期間8年)と、長期的な視点での投資が計画されています。
ターゲットは最先端テクノロジー!重点投資分野とは?
このマザーファンドは、揚州市が推進する「1650」産業システムと「51010」戦略的新興産業クラスターの構築を中心に、幅広い最先端技術分野に投資を行います。
注力する技術領域
重点投資分野として挙げられているのは、以下の戦略的新興産業です。
- 集積回路
- 電子情報
- スマートグリッド
- 人工知能(AI)
さらに具体的には、チップ製造、パッケージング・テスト、人工知能、ビッグデータ、スマートデバイスの研究開発、スマートグリッドなどの細分化された分野におけるサブファンド設立や直接投資プロジェクトが対象となります。これらを通じて、産業チェーン全体の「強鏈補鏈延鏈」(強化・補完・延長)を推進していく方針です。
「強鏈補鏈延鏈」とは?
これは中国政府の産業政策で頻繁に用いられるスローガンです。「強鏈」は産業チェーンの主要部分を強化すること、「補鏈」は不足している部分やボトルネックを補完すること、「延鏈」は新しい分野や高付加価値工程へと産業チェーンを延長することを意味します。つまり、産業チェーン全体をより堅固で、欠陥がなく、かつ未来志向で拡張していくという戦略を示しています。
「1650」と「51010」産業システムとは?
元記事には具体的な説明はありませんが、これらは揚州市が独自に定めた産業発展に関する数値目標やクラスター形成計画を指すものと考えられます。中国の地方政府が、具体的な数値目標を設定し、それに基づいて戦略的な産業育成を進めていることが伺えます。
まとめ:中国地方政府の巨大な技術投資が示すもの
今回の揚州市による巨額ファンド設立は、中国の地方政府が国家戦略と連携し、半導体、AI、スマートグリッドといった基幹技術分野への投資を加速している現状を明確に示しています。これは、技術自立と産業高度化を目指す中国の強い意志の表れと言えるでしょう。
このような大規模な資金投入は、中国国内の技術革新をさらに促進し、関連産業の競争力を大きく高める可能性があります。日本のテクノロジー企業にとっては、競争激化の一因となる一方で、場合によっては新たな協業や市場開拓の機会が生まれる可能性も秘めています。中国の地方レベルでの産業政策の動向は、今後も注視していく必要があるでしょう。
元記事: pedaily
Photo by Mikhail Nilov on Pexels






