「あのドラマのA市って、まさか南寧だったとは！」――中国のSNSで、ある地方都市が熱い注目を浴びています。人気微短劇（ミニドラマ）に登場する華やかなA市が、実は広西チワン族自治区の省都、南寧（ナンニン）を舞台にしていたことが判明し、多くの視聴者が驚きの声を上げています。高層ビルが立ち並ぶ金融街や、見慣れた橋の風景……ドラマの世界と現実が交錯する南寧の、知られざる素顔に迫ります。
南寧が魅せる「二つの顔」
「覇道総裁」（俺様社長）が登場するドラマの舞台として、一見すると現代的な大都市に見える南寧。しかし、実際にこの街を訪れると、その印象は大きく変わるでしょう。高層ビル群が織りなす国際的なスカイラインのすぐそばには、古くからの街並みが残り、人々の生活感あふれる活気が満ちています。昼間の洗練された顔とは裏腹に、夜の南寧は全く異なる表情を見せます。煌びやかなオフィスビルの間からは、ドラマの「総裁」ではなく、地元の人々で賑わう夜市の明かりがこぼれ、街全体が熱気に包まれるのです。
地元民が愛する「南寧夜市」の魅力
南寧の夜の主役は、何と言っても活気あふれる夜市です。特に歴史ある中山路夜市は、明清時代にまで遡る由緒ある地域で、1929年に孫文を記念して中山路と改名されました。2000年代からは地元のグルメが集まる中心地として栄え、「広西一の美食街」と称されるほどです。数百軒もの屋台がひしめき合い、広西チワン族自治区ならではの酸味の効いた料理「酸嘢（スアンイエ）」、タニシ麺「螺蛳粉（ルオスーフン）」、老友粉（ラオヨウフェン）、アヒルの足煮込みなど、多種多様な絶品B級グルメが楽しめます。昨年から改修工事が進められており、今年末にはより一層きれいで現代的な姿で再オープンする予定です。
また、青秀区にある建政路夜市も地元の人々に愛される定番スポットです。ここでは、タニシとアヒルの足を揚げてから煮込んだ「螺蛳鴨脚煲（ルオスーヤージアオバオ）」が大人気で、いつも長蛇の列ができています。南寧に来たら外せないのが「嗦螺（スオルー）」と呼ばれるタニシや石巻貝の炒め物。紫蘇と酸笋（サンソン：タケノコの漬物）と一緒に炒めた独特の味わいは、まさに地元っ子のソウルフードです。昨年には、人気俳優の王祖藍（ウォン・チョーラム）夫妻がここを訪れ、その美食を絶賛。以来、多くの有名人が南寧の夜市を訪れるようになりました。建政路夜市では、ベトナム風のフルーツデザート「越南水果撈（ユエナンシュイグオラオ）」も人気で、「絶品」とSNSで話題を集めています。マンゴーやドリアンなど、豊富なフルーツにヨーグルトやタピオカのような「糯玉米（ヌオユーミー）」を加えて作るこの一品は、それだけでお腹いっぱいになるほどです。
甘いものが恋しくなったら、埌西夜市（ランシーイエシー）へ足を運びましょう。ここでは、氷豆花（ビンドゥーホア）や揚げ氷、タイ式ミルクティーなど、様々な甘味が堪能できます。他の夜市で美味しい地元料理を楽しんだ後、デザートはここで、という巡り方もおすすめです。
この他にも平西夜市、農院路夜市、富興街など、南寧には数多くの夜市が存在し、その選択肢の多さには舌を巻きます。多くの観光客が夜市目当てで南寧を訪れるのも頷けます。南寧の夜市を満喫するには、いくつかの胃袋が必要になるかもしれません！
古都南寧の新たな魅力
ドラマの舞台として注目を集める南寧ですが、実際は1700年以上の歴史を持つ古都でもあります。東晋時代（西暦318年）にまで遡る、百越（ひゃくえつ）の地としての豊かな歴史を背景に持ち、現代の活気ある文化と共存しています。
南寧の魅力は、単なる現代的な都市景観だけではありません。ドラマで描かれるような華やかさと、夜市に代表されるディープな地元文化、そして悠久の歴史が融合した、多面的な顔を持っています。このユニークな魅力は、今後さらに多くの人々を引きつけ、観光や経済の新たな活力を生み出すことでしょう。日本の皆さんにも、ぜひ一度、この隠れた美食の都、南寧を訪れて、その「野性的な」魅力を肌で感じていただきたいと思います。
元記事: pedaily
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