大ヒット作『隐形守护者』を世に送り出したNew One Studioの最新インタラクティブ映画『盛世天下』が、ついに9月9日に国内外で同時配信されることが決定しました。中国のゲームメディア「触楽」がメディア向けクローズドプレビュー会に参加し、本作「媚娘編」の一部を試遊。前作でその革新性と卓越した物語性が高く評価されたNew One Studioが、唐の武則天時代を舞台に、壮麗なビジュアルと緊迫の宮廷サバイバルを描きます。初回割引価格は39元(約800円、為替レートにより変動)となっており、インタラクティブ映画の新たな金字塔となるか、早くも大きな注目が集まっています。
宮廷の深淵へ:『盛世天下』の魅せる世界観
息をのむ4K映像と盛唐の美学
本作の最も目を引く特徴の一つは、その圧倒的なビジュアルです。『盛世天下』は、唐の女帝・武則天の時代とそこに生きた人々の生涯をベースに、壮麗な盛唐の風情を想像力豊かにデザインしています。公開されている情報を見る限り、建築の配置や色彩の組み合わせは、中国古典美学の真髄を伝えつつも、現代の「視覚的に心地よい」審美眼を兼ね備えています。単なる歴史考証に終わらず、現代的な感覚で美しさを追求している点が特徴です。
また、カバーの配色が象徴するように、作品は鮮やかな対比色で「外面的な繁栄が内包する本質的な残酷な生存」を表現し、同時に低彩度の柔らかな色調を背景に用いることで、物語の衝突が始まる前から、作品が持つ独特の感情がほのめかされています。
前作『隐形守护者』が1080Pの静止画アニメーション形式だったのに対し、『盛世天下』では高精度の4K実写映像へと全面刷新されました。これにより、より多くの画面の細部が鮮明に描写され、プレイヤーは一層深い没入感を味わうことができるでしょう。
「生死一線」の緊張感が織りなす物語
物語の中心に据えられているのは、プレイヤーが操作する主人公「伍元照」と、タイトル「盛世天下」の象徴たる女帝との関係です。伍元照は、危険に満ちた宮廷の権力闘争の中で幾度も死線を潜り抜け、最終的に権力の頂点へと上り詰めます。
New One Studioの作品に共通するのは、「孤立無援に近い主人公が、深い淵の綱渡りのように慎重に進み、一歩間違えればすべてを失う」という基本設定です。これは『隐形守护者』で、主人公・肖途が地下党員(秘密組織のメンバー)としての身分を得た時に感じた、まさに「深淵に臨む」ような基調と重なります。強い生存の矛盾が物語全体の雰囲気を作ることで、どんな小さな自己犠牲も、ひときわ輝きを放つのです。
『盛世天下』でも、この「生死一線の緊張感と絶望の中の精神的光輝」という究極のドラマが踏襲されています。激しい死闘の舞台は「地下工作」から「宮廷の争い」へと移り、その衝突の強度はさらに増しています。前作の肖途にはまだ退路がありましたが、伍元照は入宮したその時から、後退する道は一切ありません。
没入感を極める多層的な物語構造
プレイヤーの選択が紡ぐ「死の体験」
『盛世天下』のプロデューサーであるDemi氏は、開発における物語制作について「脚本は最も時間をかけて磨き上げる部分です。プレイヤーは選択をする前に、自分が誰で、どこにいて、何をしたいのかを明確に理解している必要があります。それができない場合、没入感に問題があるとして調整します」と語っています。この言葉が示すように、このジャンルにおいて「物語」は絶対的な核心です。
『隐形守护者』と同様に、多くのプレイヤーは物語の結末にたどり着くまでに、様々な選択肢で「多種多様な死に方」を経験することになるでしょう。「難易度が高すぎるのでは?」という疑問を持つプレイヤーもいるかもしれませんが、実は「主人公の死」こそが、本作の核となる体験を構成する要素なのです。
つまり、物語に参加する過程で「一度も失敗せずにクリアすること」は求められません。まるで伝統的なRPGの一般的なステージデザインのように、あるルートはメイン目標には繋がらないものの、その終点にはプレイヤーに何らかの報酬、すなわち「探索の成果」が与えられます。『盛世天下』では、プレイヤーが様々な選択肢を試し、主人公が「死亡」に至った後、関連する収集要素を獲得できます。これらはプレイヤーへの報酬であると同時に、断片的な物語要素(例えば、サイドキャラクターの物語を補完するイースターエッグなど)としても機能し、最終的にはより壮大で複雑な物語設計へと統合されます。「すべてのキャラクターにはそれぞれの物語がある」というわけです。
本質に迫る「レイヤード・ナラティブ」
これも『盛世天下』の多層的な物語設計の一部です。もしメインストーリーだけで登場人物全員の物語を完全に描こうとすれば、物語のテンポと情報量の配分に深刻な問題が生じるでしょう。そこで本作では、メイン部分で主人公の「宮廷サバイバル」を巡る核心的な対立を描き、物語の最も緊迫した主体とします。そして、章の終わりに複数の「二次的な物語」、つまり他のキャラクターの視点からの物語の断片を、メインストーリーの補足として提示します。さらに、キャラクター紹介や実績収集といったシステムの中にも、断片的な情報が散りばめられています。ストーリーの進行に合わせて、これらの多層的な物語の内容が組み合わさり、メインストーリーが展開する時空間の全貌、すなわち各キャラクターのそれぞれの経験や変遷が明らかになるのです。
例を挙げると、物語の中で主人公の生死に関わる最初の重要な選択肢「牡丹を愛する貴妃への返答」には、いくつかの階層の物語情報が込められています。プレイヤーがメイン、分岐、そして断片的な情報から得る内容は、階層的に進み、互いに補完し合います。情報の多寡によって、プレイヤーのその場面に対する理解も異なり、最終的にはこれらすべてを統合して見る必要があります。
このように、同じプロットでも異なる層で見ると、全く異なる印象を与えることがあります。第一層では「偶然の死線からの生還」のように見え、第二層では「悪人の企みを巧みに見破った」となり、そして第三層では「定められた運命の交錯、次もあるだろう」と捉えることができます。プレイヤーが第三層を理解したとき、物語は「脚本家の意図的な仕掛け」から「登場人物の必然的な運命の出会い」へと昇華され、その内在的な合理性と感情への訴求力は頂点に達し、プレイヤーは物語の表層からさらに深い意味を探求するようになるでしょう。
しかし、この設計は間違いなく脚本家にとって大きな挑戦となります。素晴らしいメインストーリーを一つ作り上げるだけでも大変なことなのに、枝葉となるキャラクターたちにそれぞれ独自の物語の弧と合理的なプロットを与え、最終的にそれらをメインストーリーに融合させ、全ての人物の物語が論理的にそれぞれ合理的で、互いに矛盾しないようにすることは、途方もない作業となるでしょう。
これまでのPVから、『盛世天下』のテーマは明確に示されています。それは「後宮の新人である主人公が、数えきれないほどの死の危機をすり抜けていくサバイバルロード」です。まるで現実の多くの“打工人”(会社員や労働者)が直面する苦闘、「上司からの好感を維持」「同僚の裏切りへの警戒」「会社の動向を把握」「自身の価値をアピール」といった状況と重なります。New One Studioの脚本家は、この視点に基づいてプロットを設計しているのかもしれません。これにより、多くのプレイヤーは物語に入り込むと同時に、自身の日常生活にも思いを馳せることができるでしょう。
私が体験した範囲では、「主人公・伍元照が韋貴妃のかんざし危機から無事に脱する」というプロットは、すでに「困難な生存」という物語の基調を十分に伝えていました。もちろん、これは始まりに過ぎず、物語はこれから段階的に展開していきます。最大の物語的な挑戦は、その後の転換点とクライマックスにあるでしょう。New One Studioの脚本家チームがここでその手腕を存分に発揮してくれることを期待します。
まとめ:インタラクティブ映画の未来と「語り」へのこだわり
インタラクティブ映画というジャンルにおいて、開発部門の物語担当者が常に学ぶべき基礎的な教訓があります。それは「対話が長すぎるとき、どう対処するか?」という問いへの答えです。答えは、主人公の発言の一部をプレイヤーの選択肢の形式に変更すること。この変更は一見小さいですが、本質的にはプレイヤーを「第三者」から「主導者」の位置へと移行させるものです。ここに、インタラクティブ映画のゲーム性、そして遊びの核心があると言えるでしょう。
だからこそ、物語を体験するだけでなく、「ゲーム性」の問題、すなわち遊びの側面でいかに革新し完成度を高めるかに関心を持つプレイヤーがいることも理解できます。長い時間軸で見れば、インタラクティブ映画はきっと「未来の形」へと進化していくことでしょう。しかし、体験者の視点から見れば、私たちが最も関心を寄せるのは、やはり「刺激的で、夢中になれる物語の饗宴に没入できるか」という点です。
幸いにも、New One Studioは大部分のエネルギーを「良い物語を語る」ことに注ぎ、その物語表現のために「ゲーム性を持った」デザインを補完しています。この方針であれば、今後の物語の全貌がどうなるかは未知数ですが、要点を押さえ、初心を貫くことができれば、最終的な成果は決して道を外れることはないでしょう。日本のエンタメ市場でも、このような質の高いインタラクティブ作品が注目され、新たな体験をもたらすことを期待しています。
元記事: chuapp
Photo by Vincent Tan on Pexels












