中国の先端技術スタートアップ「霊明光子(Lingming Photoelectron)」が、大型の資金調達ラウンドC3を完了したことを発表しました。この度の資金調達では、浙江省の国有資本プラットフォームから約1億元(日本円で約20億円)もの大規模な投資を獲得しました。これは、資本市場が中国のハードテクノロジー分野の長期的な価値に強い確信を抱いていることの表れと言えるでしょう。今回の資金は、同社のコア技術のさらなる進化と、量産能力の向上に重点的に投入される予定です。
霊明光子(Lingming Photoelectron)とは? 中国を代表する3Dセンサー技術のパイオニア
霊明光子は2018年5月に、スタンフォード大学とデルフト工科大学で工学博士号を取得した数名の専門家によって共同設立されました。本社を深セン南山に構え、上海張江と浙江徳清には研究開発センターを設置しています。従業員数は100名を超え、その80%以上が研究開発に携わる、高い技術力を持つ企業です。
同社のコアチームは、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)技術に長年深く携わっており、国際的に先行するフルスタックSPADデバイスの設計およびプロセス能力を有しています。国内外で多数の自社開発SPAD特許技術を保有し、その技術力が評価され、中国国家工業情報化部によって国家レベルの「専精特新(せんせいとくしん)」企業、さらにその中でも優れた「小巨人(シャオジュレン)」企業として認定されています。この「専精特新」とは、中国政府が特定のニッチな分野で高い専門性、洗練された技術、独自の強み、革新性を持つ中小企業を育成するプログラムで、特に「小巨人」は、その中でもトップレベルの技術力と市場シェアを持つ企業を指します。
次世代LiDAR技術を支えるSPADセンサーと広がる応用分野
霊明光子は、高品質なdToF(direct Time-of-Flight)センサーチップとシステムソリューションを提供する企業として知られています。主な製品には、SiPM(シリコン光電子増倍管)、SPAD dToFアレイモジュールおよびチップ、SPAD dToFシングルポイントモジュールシリーズなどの最先端プロダクトがあります。
同社は今後、「レーザーレーダーカメラ化」という技術路線を深化させていく方針です。これは、レーザーレーダー(LiDAR)の機能をさらに高性能なカメラのように進化させることを目指すもので、ハードウェアの革新を通じて、スマートドライビング(自動運転)、ロボット、空間認識などの分野における認識能力の飛躍的な向上を推進します。具体的には、極めて弱い光での高感度イメージング、高精度なリアルタイムモデリング、そして柔軟なスマートインタラクションといった能力が、産業のスマート化変革の基盤となると期待されています。
霊明光子の製品は、車載LiDARやスマートコックピットのセンサーシステムから、スマートフォン、XRヘッドマウントディスプレイ、各種ロボット、スマート家電、スマートビル、画像・モーションキャプチャ、データ収集・トレーニングといった多岐にわたる3Dセンサーアプリケーション端末やシーンで広く活用される可能性を秘めています。これは、日本の自動車産業、ロボット産業、家電メーカーなどにとっても、今後の技術提携やサプライチェーンの変化を注視すべき重要な動向と言えるでしょう。
まとめ
今回のC3ラウンド資金調達は、霊明光子が持つ最先端のSPAD dToF技術への期待と、その将来性を裏付けるものです。中国の国有資本からの大規模な投資は、国家戦略としても同社の技術開発と市場展開が重視されていることを示唆しています。霊明光子は、核となる技術の進化と生産能力の増強により、自動運転、ロボット、XRデバイスといった次世代産業の「目」となる3Dセンサー市場において、その存在感をさらに高めていくことでしょう。このような中国発のハードテクノロジー企業の台頭は、グローバルな技術競争に大きな影響を与え、日本の関連企業もその動向を注視し、新たなビジネスチャンスや競争環境の変化に対応していく必要がありそうです。
元記事: pedaily












