中国テック業界のカリスマとして知られる羅永浩(ルオ・ヨンハオ)氏が創業し、一時は「中国のジョブズ」とも称されたスマートフォンメーカー、Hammer Technology(錘子科技)。その成都法人が、この度、2142万元(日本円で約4億5000万円以上)を超える巨額の債務不履行に陥り、「信用失墜被執行人」(通称:老頼)として認定されたことが明らかになりました。北京の裁判所から執行命令を受け、高額消費も制限されるなど、同社の経営は極めて厳しい局面に立たされています。
羅永浩氏率いるHammer Technology、巨額債務で「信用失墜者」に
中国の企業情報プラットフォーム「天眼査(TianYanCha)」のリスク情報によると、羅永浩氏が関与する「錘子科技(成都)股份有限公司」(Hammer Technology・成都)が、新たに2件の「信用失墜被執行人」情報に追加されたことが判明しました。これらは、蘇州紫輝盛網創業投資企業との貸付契約を巡る紛争に関連するもので、いずれも「全て未履行」の状態にあるとされています。執行裁判所は北京市海淀区人民法院です。
以前にも同社は、この件に関連して2142万元(約4億5000万円)を超える金額の執行命令を受けており、加えて高額消費の制限も課されています。「信用失墜被執行人」、通称「老頼(ラオライ)」とは、中国において裁判所の確定判決や調停に従わず、債務を履行しない個人や企業を指す厳しい制度です。これに指定されると、銀行口座の凍結や不動産の差し押さえだけでなく、航空機や高速鉄道の利用、高級ホテル宿泊、さらには子供を私立学校に通わせることなど、多くの高額消費や社会活動が制限されます。
カリスマ起業家・羅永浩氏とHammer Technologyの歩み
Hammer Technology(成都)は2012年5月に設立されました。法定代表者は管志良氏が務め、登録資本金は約3149.8万元(約6億6000万円)に上ります。事業範囲は、基本ソフトウェアサービス、応用ソフトウェアサービス、組織文化芸術交流活動などが含まれています。株主情報によると、羅永浩氏、成都東方広益投資有限公司、北京明凱匯智投資管理合伙企業などが共同で出資しています。
羅永浩氏はこのHammer Technologyの董事長(会長)を務めており、約23%の株式を保有しています。羅永浩氏は元々英語教師として名を馳せ、その後、独自の哲学と革新的なデザイン思想を掲げてスマートフォン市場に参入しました。彼の指揮のもと、「Smartisan(スマートデザイン)」ブランドのスマートフォンは一定の熱狂的なファンを獲得し、一部からは「中国のジョブズ」とも呼ばれるカリスマ的な存在でした。しかし、その革新性とは裏腹に、資金繰りに苦しむことが多く、Smartisanブランドは最終的に字節跳動(ByteDance)に譲渡されました。今回の「老頼」認定は、羅永浩氏にとって再び厳しい逆境を突きつけられた形となります。
中国テック業界における信用と起業家の責任
今回のHammer Technologyの債務不履行と羅永浩氏の「信用失墜被執行人」認定は、中国テック業界における資金調達の難しさや、起業家の責任の重さを改めて浮き彫りにしています。一度「老頼」として認定されてしまうと、企業活動はもちろんのこと、羅永浩氏個人の生活にも大きな影響が及びます。中国政府が推し進める社会信用システムは、こうした債務不履行に対する姿勢を非常に厳しく見ており、日本企業が中国市場でビジネスを行う上でも、パートナー企業の信用状況を徹底的に確認する必要があることを示唆しています。
かつては中国スマホ市場に新たな風を吹き込んだカリスマの苦境は、テック業界の競争の激しさと厳しさを物語っています。羅永浩氏がこの困難をいかに乗り越え、再び表舞台に立てるのか、今後の動向が注目されます。
元記事: gamersky
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