中国・深圳を拠点とするある夫婦が、AIブームの波に乗り、わずか数ヶ月で驚くべき資産急増を遂げ、世界中の注目を集めています。彼らが創業したストレージチップ企業「德明利(Demingli)」は、昨年同期には赤字に喘いでいたにもかかわらず、今年に入ってからは想像を絶する急成長を遂げ、創業者の資産は紙面上では半年足らずで320億元(日本円で約6900億円)以上も増加したと報じられています。一体、彼らはどのようにしてこの奇跡的な成功を収めたのでしょうか。その秘密と、急拡大するAI時代におけるストレージチップの重要性について深掘りしていきます。
AIブームが呼んだ奇跡の急成長
「快科技」の報道によると、今年のAIブームは、まさにこの深圳の夫婦を成功の頂点へと押し上げました。昨年はまだ苦境に立たされていた彼らの会社ですが、今やその勢いはとどまるところを知りません。
赤字から巨額の利益へ
中国A株市場に上場する德明利は、今年1月から3月までの第1四半期で、なんと33.5億元(約720億円)という驚異的な利益を計上しました。これは、過去10年間の利益総額の実に2倍以上にも匹敵する数字です。さらに衝撃的なのは、2025年第1四半期には約7000万元の赤字だったにもかかわらず、翌2026年第1四半期には純利益が33.5億元にまで急増し、前年同期比で4943%もの成長を記録した点です。創業者である李虎(Li Hu)氏(51歳)と妻の田華(Tian Hua)氏が共同で立ち上げたこの企業は、今やストレージチップ業界の巨人へと変貌を遂げました。
李虎氏個人は德明利の株式35.01%を保有しており、年初から現在までの間に、彼の紙面上の資産は320億元以上も急騰しました。2025年の「胡潤百富榜(Hurun Rich List)」では、李虎氏と田華氏の夫婦は85億元で全国847位に位置していましたが、今年の予測では大幅なランクアップが見込まれています。
成功の鍵は「先見の明」と「サプライチェーン戦略」
德明利の華麗なる転身は、単なる運によるものではありません。彼らの成功の背景には、業界トレンドを正確に予測し、前もって十分な在庫を準備するという、卓越した経営戦略がありました。
ストレージ産業の「中間者」としての役割
今年4月、李虎氏は30以上の投資機関に対応し、その驚異的な業績成長の理由を説明しました。「ストレージ業界は景気回復の度合いが高く、当社チームは早期から準備を進めてきました。エンタープライズ向け、組み込み型、そして国産化といった分野において、先見的な布陣を敷いてきたのです」と彼は語っています。
德明利はストレージモジュールメーカーとして、チップ産業チェーンの下流に位置します。ストレージウェハーなどの原材料を調達し、パッケージング(梱包)、インテグレーション(統合)を経て、SSD(ソリッドステートドライブ)やメモリモジュールといった最終製品を販売しています。しかし、経営陣は、同社が単に部品を組み立てて販売する業者ではないと強調します。彼らは、上流のストレージチップと、下流のサーバー、車載システム、コンシューマー向け電子機器といった実際のアプリケーションを結びつける「中間者(ブリッジ)」としての役割を担っているのです。
AIサーバーが牽引するストレージ需要
德明利の成功は、AI時代におけるストレージチップの需要激増と密接に関係しています。データによると、AIサーバーは従来のサーバーに比べて、はるかに大量のストレージチップを消費します。
止まらないAI需要と未来への展望
この傾向は今後さらに加速すると予測されています。2026年には、世界中で生産されるメモリ(DRAMなど)の最大70%がデータセンターで消費されると見られており、さらに驚くべきことに、2028年までの生産能力はすでに予約で埋まっているとされています。これは、AI、特に大規模言語モデルや生成AIの発展が、データストレージと処理能力に対する前例のない需要を生み出していることを明確に示しています。
まとめ
中国の德明利夫婦の物語は、AI時代における技術トレンドへの迅速な適応と、戦略的なビジネス展開がいかに大きな成功をもたらすかを示す好例です。赤字から一転、巨額の富を築いた彼らの成功は、単に企業の財務的な躍進だけでなく、今後のストレージ産業、ひいてはAIエコシステム全体の方向性を示唆しています。日本企業にとっても、このような世界的な技術トレンドをいち早く捉え、適切なポジションで価値提供できるかどうかが、今後の成長を左右する重要な鍵となるでしょう。AIが変革する未来において、ストレージチップはまさにその基盤を支える不可欠な要素として、その重要性を増し続けています。
元記事: mydrivers
Photo by Jeremy Waterhouse on Pexels












