2025年の東京ゲームショウ(TGS)は記録的な規模拡大と、中国メーカーの圧倒的な存在感が際立ちました。110社を超える中国企業が出展する中、NetEaseのMMORPG『逆水寒』は特に注目を集め、その豪華なブースと革新的なAI技術、そして魅力的なパフォーマンスで来場者を魅了。まるでゲームの世界に飛び込んだかのような体験を提供し、今後のグローバル展開に大きな期待を抱かせました。中国ゲームが世界へ向かう新たな一歩を、TGSの『逆水寒』が明確に示しています。
TGSを席巻!『逆水寒』が魅せた圧倒的プレゼンス
「汴京」を再現した豪華絢爛なブース
今年のTGSは、出展社数1100社以上、ブース数4000以上、来場者数30万人超と「過去最高」の規模を記録しました。中でも注目すべきは、110社を超える中国メーカーの存在感です。大手からインディーまで多様な企業が出展し、日本のメディアが「中韓(メーカー)が目を奪う」と感嘆するほどでした。
そんな中、ひときわ異彩を放ったのが『逆水寒』です。会場内でも最大級と思われるブースは、ゲーム内の華やかな都「汴京(べんけい)」の舞台をほぼ実物大で再現。黒瓦、飛檐、豪華な装飾、落ち着いた色彩設計が織りなす中国古典建築の美しさは、まるで物語が今にも始まるかのような期待感を抱かせました。試遊エリアでゲーム内の汴京を体験するプレイヤーにとって、この壮大なブースはより深い没入感を与えたことでしょう。
ブースでは、20名ものCoserがゲーム内の師兄師姐に扮し、精巧な衣装と優れた演技で来場者を楽しませました。デュエットダンス、太鼓、傘の舞といった伝統的なパフォーマンスに加え、ファッションショーやCoserとの記念撮影など、朝から晩まで多彩な演目が繰り広げられました。特に、一人の侠客Coserが日本人プレイヤーにポーズの取り方を教える一幕もあり、会場は終始、熱気に包まれていました。
また、ブースのあちこちでは、中国の伝統文化に触れるミニゲームも開催。「投げ鞠」や「投壺(とうこ)」、扇子への書道体験、さらにはゲームに登場するAIペット「血河の子犬」とのインタラクションなど、賑やかな催しが満載。可愛らしい肉球スタンプや記念品も用意され、多くの来場者が列をなしました。日本のメディアが「ディズニーのフロートパレードに匹敵する」と評したように、『逆水寒』のブースは単なるゲーム展示を超え、お祭りのような空間を作り上げていたのです。
この「賑やかさ」と「楽しさ」は、往々にして「文化輸出」という重いテーマと結びつきがちな中国風ゲームにおいて、「無敵のゆるさ(松弛感)」を示していました。『逆水寒』は、豪華なブースや派手なパフォーマンスを、文化の重圧ではなく、純粋なエンターテイメントとして提供。その結果、日本を含む世界中のプレイヤーが自然とブースに惹きつけられ、ゲームの世界へと誘われていきました。(画像出典:小紅書)
AIが拓くMMORPGの未来:技術的優位性とグローバル戦略
日韓メディアが注目する『逆水寒』のAI技術
『逆水寒』がTGSで見せた「わがまま(任性)」とも言える大胆な出展と「ゆるさ(松弛)」は、その根底にある「自信(底気)」に裏打ちされています。MMORPGとして優れたグラフィック、深遠なストーリー、長期的な運営体制に加え、同ジャンルでは類を見ない技術的優位性がその自信の源です。特にAI技術の活用は、多くの海外メディアの注目を集めました。
朝日新聞はTGSの報道で、『逆水寒』のインテリジェントな顔生成システムや、プレイヤーの写真を基にキャラクターの顔を作成する機能に焦点を当てて紹介。また、別の日本のメディアは、AI駆動のNPCとのインタラクション体験を強調し、NPCがプレイヤーの態度に応じて自然かつ感情豊かに反応することに驚きを示しました。記者たちは当初、AI NPCはシンプルな会話しかできないと考えていたものの、彼らが豊かな感情の起伏を見せることに感銘を受けたといいます。
韓国メディアも同様に、『逆水寒』のAI技術の活用を高く評価しました。聯合ニュースは、NetEaseが1500人以上のAI開発者を擁し、そのうち数百人がゲーム分野に専念していること、そして2023年にリリースされた『逆水寒モバイル』が商業ネットワークゲームとして初めて大規模言語モデル(LLM)を導入したことを強調。韓国のGameView誌は、AI技術を駆使したNPCデザインから差別化されたカスタマイズ技術に至るまで、『逆水寒』が大きな注目を集めていると報じました。
海外メディアが注目するAI技術は、『逆水寒』が近年最も力を入れ、急速に発展させている分野の一つです。国内外の多くのメーカーがAI領域を探索する中で、『逆水寒』は最も積極的にAIを導入し、プレイヤーがゲーム内でその技術進化を直感的に感じられる作品と言えるでしょう。さらに、『逆水寒』はこれらの新しく興味深い技術を、武侠の世界観や中国の伝統文化と融合させています。このような「強者と強者の融合」は、グローバルな舞台で海外の業界関係者やプレイヤーに「計り知れない中国の衝撃」を与えずにはいられません。
TGS期間中、『逆水寒』は日韓メディアだけでなく、東南アジア地域のApp Storeでトップページに推薦され、国際版の事前登録者数は260万人を突破。海外版クローズドベータテスト開始後には、多くの海外ストリーマーが試遊のライブ配信を行うなど、その反響は拡大の一途を辿っています。まもなく日韓版のリリースも控えており、中国発のMMORPGが本当に世界へ羽ばたこうとしています。
グローバルゲーム市場への新たな挑戦:『逆水寒』が示す「中国の態度」
TGSでの『逆水寒』の様子を観察する中で、なぜこれほどまでに特別な存在感を放つのか、という疑問が湧きました。単にCoserやパフォーマンスの質が高いだけでは、他の展示会でも見られる光景です。インタラクティブなミニゲームも、遊び方自体は複雑ではありません。中国風の装飾や写真撮影スポットは差別化に貢献するものの、それだけでは「質の変化」とまでは言えないでしょう。
結局、『逆水寒』が真に人を惹きつけたのは、その「異なる態度」だったのかもしれません。それは、「グローバル化が重要だと誰もが認識し、中国メーカーやゲームが国際的な展示会に参加する能力を持った今、私たちのやり方は変わるべきではないか?」という問いに対する、一つの回答のように思えます。
これまでの中国メーカーは、欧米や日本といった老舗の優良市場と向き合う際、無意識のうちに「試験を受ける」「解答を提出する」ような姿勢を見せがちでした。これは、中国のゲーム業界がスタートが遅く、長らく「追いかける側」の役割を演じてきたことを考えれば、理解できないことではありません。しかし、近年、中国メーカーは目覚ましい進歩と成果を収め、「私たちもできる」という自信を得たことで、国際的な展示会では大規模でハイクオリティな「伝統的」なAAAタイトルを披露する傾向が強まっていました。
もちろん、これは喜ばしいことです。中国メーカーの技術力が世界レベルの大手企業と競えるようになれば、国産ゲームと中国ゲーム業界の影響力は間違いなく向上するでしょう。しかし、『逆水寒』はさらに一歩進んだ「態度」を示しました。単に技術力や制作規模を誇示するだけでなく、AIという最先端技術と、武侠文化という中国独自の魅力を融合させ、それを肩の力が抜けた「ゆるい」アプローチで提示したのです。来場者が楽しみ、驚き、そして魅了されることで、自然と中国のゲームと文化に触れる機会を創出しました。
『逆水寒』は、もはや「中国産ゲームも世界に追いついた」という段階を超え、「中国産ゲームは独自の方法で世界に影響を与えられる」という新しいメッセージを発信しています。この新たな「態度」は、日本のゲーム市場、ひいてはグローバルなゲーム業界全体に、今後どのような影響を与えていくのか。TGSで『逆水寒』が示した一歩は、中国ゲームの未来、そしてグローバルなゲーム開発の新たな方向性を強く示唆していると言えるでしょう。
元記事: chuapp
Photo by cottonbro studio on Pexels












