中国で、車の自動運転(正確には「運転支援」)システムを過信したとみられるドライバーの衝撃的な動画が公開され、大きな議論を呼んでいます。高速道路を時速120kmで走行中にもかかわらず、運転席は無人。ドライバーは後部座席でブランケットをかぶってぐっすり眠っている様子が映し出されており、その危険な行為に国内外から驚きの声が上がっています。
高性能化する「運転支援」システムが抱える危険な側面
この驚くべき動画は、とあるインフルエンサーによって公開されました。映像に映るのは、中国のEVブランドである「智己汽車(Zhiji Auto)」の車両です。高速道路を時速120kmで走行しているにもかかわらず、運転席には誰も座っておらず、車両は運転支援機能をオンにした状態で自動走行している様子が確認できます。
さらに衝撃的なのは、ドライバーが後部座席をフラットにして簡易ベッドのようにし、その上でブランケットをかぶって横になり、熟睡している姿でした。彼はこの行為をSNSで「自慢」し、10月1日には1030.4kmを走行したうち、998.1km(737分)を智己汽車とAIスタートアップのMomentaが共同開発した運転支援システム「IM AD」を使って走行したと報告。特に、高速道路での運転支援機能「NOA(Navigate on Autopilot)」の利用率は100%だったと強調していました。
「運転支援」と「自動運転」の厳格な線引きの重要性
自動車メーカーや各国の規制当局は、かねてより「運転支援システムはあくまで運転を補助するものであり、完全な自動運転ではないため、ドライバーは常に運転状況に注意を払い、いつでも運転を交代できる状態になければならない」と繰り返し強調しています。しかし、今回の事例は、システムの高性能化が進むにつれ、ドライバーがその機能を過信し、危険な運転行為に及んでしまう現実を浮き彫りにしました。
智己汽車のIM ADシステムは、全シーンでのナビゲーションや駐車支援機能を備えるなど、その技術的な優秀さは認められています。しかし、それがドライバーの安易な「自動運転」への誤解を招き、人命に関わる危険な行為へと繋がってしまったことは由々しき事態です。
未来のモビリティ社会への課題と日本の状況
このような事例は、自動運転技術の発展が期待される一方で、その運用における倫理的・法的課題がいかに重要であるかを私たちに示しています。自動車メーカーは、技術提供の際にユーザーがシステムを誤解しないよう、より明確な説明と安全対策を講じる必要があります。また、規制当局は、進化する技術に対応した法整備と、悪質な利用に対する厳格な取り締まりが求められます。
日本では、レベル2の運転支援システムが普及し、特定の条件下での自動運転(レベル3)も一部で認可され始めていますが、ドライバーの責任は依然として非常に重いです。今回の中国での事例は、自動運転技術が社会に浸透していく上で、技術の進化と人間の責任、そして安全意識のバランスがいかに重要であるかを改めて問いかけるものと言えるでしょう。
元記事: mydrivers
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